イトシンこと伊藤慎一のフルパートが公開されました。フルパートって言ってもいわゆるスケートボードに精通していない人たちからすると「なんのこっちゃ?」となりかねないので、誰からも頼まれてないけど簡単にご説明を。
まずはこのフルパートってやつを身近(?)なモノに置き換えるとすると、大学の教授や研究者たちの論文の発表に近いと思ってもらっても差し支えないかと思います。特定の分野の研究者(スケーター)が身を削って追求した集大成的な作品というわけです。とはいってもピンキリで、園児の発表会的なモノから大学生の卒論程度のモノ、少し前に巷を騒がせた疑惑モノもあったりと千差万別です。なにしろスケーター個人の持つ技量が公に発表されるわけですので、真剣勝負そのものです。
撮影過程のスケート的な大変さをあれこれ語っても観ている側からは知ったことではないでしょうから割愛しますが、イトシンのパーソナルな部分について少しだけ補足させてもらいます。今回のFeatureパートの撮影期間は約1年半。とはいえ若い頃のように連日連夜撮影というわけにはいきません。イトシンに関しては言えば普段はウェブ関連会社に勤めながら、自身のデッキやアパレルブランドを運営。加えて小さい娘さんを育てる一児のパパ。その通常業務をこなした上で、プロスケーターとしての活動+今回のフルパート撮影っていうんだから、超が付くほど多忙。その中で少ない休日を狙って撮影を繰り返し、まとまった休みのタイミングでは海外や地方へ遠征し、なんとか1年半で形にすることができたというわけです。しかも、この1年半にこの撮影だけをしていたわけではなく、自分と動いただけでも『Mother Lake』、『Vantan Skateboard Society』、『Introducing...SLD』の動画を形にしています。他にもイトシンが手掛けるアパレルのEAZY M!SSやスポンサーを受けているシューズや小物ブランドなどのCM動画やインスタ素材、または雑誌のスチール撮影なんかもこなしてきているわけなので開いた口が塞がりません。まあ、こんだけ忙しくしていればミスも発生するわけで、撮影現場に到着して車のトランクを開けたらスケートボードが入ってなかったり、自身のデッキの綴りがITOSHINE(伊藤シャイン、伊藤死ね…?)になっていたりと、EAZY M!SSも多々ありました。職場や家庭ではさらなるカオスを起こしていたことは想像に難くありません。
でもね、オレは知っているんですよ。彼の天然キャラは実は演出されているってことを。映画『ユージュアル・サスペクツ』のカイザー・ソゼのように、引きずってみせていた足は実はなんともなくて、最後は競歩で離れていく確信犯だってことを(笑)。
--KE