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BURDENのフルレングス撮影の舞台裏、そして今後の展望について
──HIROYUKI MATSUO

2016.06.29

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松尾裕幸、阿部涼太、村井海斗のフルパートが収録されたフルレングス作品『BETWEEN THE GROUND AND YOUR SHOES』がBURDENよりリリース。本作のディレクションを手がけた松尾裕幸に、撮影の舞台裏、そしてBURDENの展望について話を聞いた。
[JAPANESE / ENGLISH]

Interview by VHSMAG, Photos courtesy of Goat

VHSMAG(以下V): まず『Between The Ground And Your Shoes』が完成した率直な感想を聞かせてください。

松尾裕幸(以下H): ビデオ全体を通してスケートの価値観、またライダーの個性やスタイルを表現できたかなと思います。出演、協力してくれたライダーやカメラマンにはとても感謝しています。

V: Burdenについて聞かせください。

H: “人生には「面倒なこと(=Burden)」がたくさんある。だからこそ自分らしさを見失わないために夢中になるものをいつまでも大切にしたい”という意味で命名しました。Burdenとは各ライダーの価値観を表現するための旗印であり、今後スケートカルチャーを中心としたさまざまな発信をしていきたいと思い立ち上げました。まず第1弾が今回の『Between The Ground And Your Shoes』になります。このBurdenの持つ価値観に賛同し旗印に集ってくれる人であればいろんな人とコラボしていきたいです。もちろん新しいスケートビデオの制作も進めながら、今後は各分野でのアウトプットも考えていきたいと思っています。


『Between The Ground And Your Shoes』のトレーラー。 

V: 今作の撮影期間はどれくらいでしたか?

H: 国内のスポット以外での映像も入れたかったので約2年かかりました。

V: 海外はどこで撮影したのですか?

H: 中国、台湾、バルセロナ、アメリカで撮影しました。国によって街並みとか雰囲気が違うので、作品全体で観たときにロケーションの変化が伝わってくると思います。

V: 本作は日本人が苦手とされていたハンマートリックが満載ですが、日本人のハンマーの可能性を広げようと意識していましたか?

H: 自分がスケートを始めた頃、ステアやハンドレールでのビッグトリックをビデオで観たときに衝撃を受けました。かっこいいし凄いなって思いましたね。自然と自分もそういうスケートをしたいって思うようになって滑っているだけです。特に意識しているとかはないかな。最近はスポットやトリックにもこだわりながら撮影するのが特に楽しいですね。

V: パートを担当した松尾裕幸、阿部涼太、村井海斗のそれぞれが知られているスポットでトリックレコードを更新しています。意識的に更新したいと思ったスポットはありましたか?

H: すでにメディアに出ているスポットで撮影する場合は、まだ出ていないトリックを選んでトライするように意識しています。これは割と普通のことで、スケーターの間でそういう暗黙のルールみたいなのがあるからこそ、スポットやスケーターの価値があるのかなと思っています。スケーターの間では「このスポットでは誰が何をやっている」とかよく話をするんですよね。だから自分の名前を残したいならなおさら意識をするし、アメリカの有名スポットでトリックレコードを更新できたら凄いことですね。先日、The Skateboard Magを見ていて堀米雄斗がアメリカの有名スポット(昔DCのCMでロブ・デューデックがFs 50-50をしていた)でFs 5-0の写真が出ていたんだけど、あれはヤバかった。きっと今頃「あのスポットではYutoがFs 5-0をやっている」って世界中で噂になっていると思います。

V: ハンマーの撮影が続くと緊張感や焦燥感などでピリピリすることがあると思いますが、仲間同士で衝突はありませんでしたか?

H: 衝突はないかな。むしろお互いを刺激し合い、高め合うことができる。誰かがヤバいトリックをメイクするとみんなが自分のことのように喜び、そこにいた全員で最高の時間を共有することができているから、一緒に撮影するのが楽しいですね。


オープニングパートを飾った阿部涼太のRAW & OTHER FOOTAGE。

V: 本作で一番印象深い撮影について聞かせてください。

H: お台場の3段のウッドデッキでの撮影かな。スポットに着いてトライし始めると、何人か歩行者が立ちどまって見物し始め、トライを重ねるごとにいつの間にか観客が増えてきて、中には携帯でムービーを撮り始める人までいて。メイクしたときには歓声と拍手。終いには「これで飲み物でも」ってお金までくれて(笑)。ストリートで滑っていると、スケートは危ないとかうるさいとか言う人ももちろんいますけど、スケートを素直に「凄いね」って思う人も多いからアガりますね。

V: 本作の撮影で苦労したこと、そして一番達成感を感じられた瞬間は?

H: スケートや撮影するのが好きだから苦労だと思うことはあまりないかな。アメリカのネット環境の悪さにはかなり苦労しましたけど(笑)。ここからがスタートだと思うので次に繋げられるようにしていきたいですね。

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V: 自身のパートの中で、思い入れのあるトリックを教えてください。

H: パートの中盤に出でくる橋の上のバンクからのレールでのFsスミスのシーンかな。場所は中国の佛山市ってところのかなり田舎の方のスポットで、まるで中国の映画のワンシーンにいるかのような感じ。「あっ、本当にこういうところに住んでいる人がいるんだ」って思いましたね。おそらくスケートの文化がないから物珍しそうに撮影を見ていました。逆に僕らは彼らの文化を知らないから、彼らの生活を知るという経験ができました。ボーナス映像にそういったシーンが出ているので是非観てください。

V: 東京を皮切りに、全国8ヵ所でプレミアツアーを行っていますが、各地での反響や印象深い出来事を聞かせてください。

H: どの会場でも多くの人たちが観に来てくれて、スケートを通じて知り合えた人や仲間と時間を共有でき、また刺激し合えたことがすごく良かったと思います。

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V: タイトルに込められたメッセージは?

H: ビデオタイトルは『Between The Ground And Your Shoes』。その意味ですが、僕らの地面と靴の間にスケートボードが存在しており、スケートボードは地面と靴の間の数センチの世界で無限大の楽しみを与えてくれます。この数センチの世界を敢えてタイトルにしてみました。また自分や阿部涼太、村井海斗はみんな地方出身で、いまは東京や横浜でスケートをしている。みんなの地元はThe Groundで、今Shoesを履いて生きている場所が東京、横浜である。その距離を繋げたものはやっぱりスケートで、スケートがなければこの3人が一緒に活動することはなかった。

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V: 本作で伝えたかったことは?

H: みんなを繋げてくれたのはスケートだし、スケートがあったからこそ今の自分がある。これからさまざまな経験や学ぶことが数多くあると思いますが、それらをスケートとともに見つけていきたいです。

V: 今後の自身の活動予定とBurdenの展開を教えてください。

H: これからもスケートしていきたいし、次の撮影も始まっているので、また新たなパートも作りたいですね。また、先ほど言ったように各分野でのアウトプットも考えているので、今後の展開を楽しみにしていてもらえたらうれしいです。

 

Hiroyuki Matsuo

1985年5月31日生まれ。長野県出身。テクニカルからハンマーまで幅広いテラインに対応する日本人離れしたスキルを誇る。Burdenのデビュー作品『Between The Ground And Your Shoes』は絶賛販売中。
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