SLIDER Vol. 13のメイン特集はGirlとChocolateが5年の歳月をかけて完成させた最高傑作『PRETTY SWEET』。Girl系の作品の魅力は、登場するスケーターのパートだけでなく、要所要所に散りばめられたスパイク・ジョーンズの奇抜なアイデアやスキットでもあると思う。『Goldfish』ではランス・マウンテンを起用したミニドラマ『The Parallel』。Chocolateの『Las Nueve Vidas De Paco』や『The Chocolate Tour』は全編を通して軸となるストーリーラインがあった。『Mouse』ではネズミの着ぐるみや森の中をクルージングするリック・ハワードのスキット。『Yeah Right!』ではハリウッドスターのオーウェン・ウィルソンがカメオ出演した。
そして昨年末にリリースされた『PRETTY SWEET』。本作では日本でも人気を集める俳優、ジャック・ブラックがフィルマーという設定で登場し、最終的に全裸になるというコント仕立てのスキットで笑いを誘った。さらには日本ではあまり馴染みがないが、コリー・ケネディとレイヴン・ターシーのパートの間に挿入されたスキットには、アメリカでは超有名な俳優であるウィル・アーネットが登場。彼は全裸になるわけでもなし、ただ喋りまくっているだけなので、英語がわからない人にとってはチンプンカンプンかもしれない。というわけで、彼が本作で言い放った台詞をいくつかご紹介。
「ダニエル、昔に足を撃たれたことがあったよな? そんなに短いのによく命中したな!」
「いい考えがあるんだ。今後、30歳以下のスケーターが喜ぶトリックをしたらどうだ?」
「オマエがツアーに参加したのは、ファーストクラスで行った上海だけだったな。しかも思うように事が進まなかったからボードを折って20分後に帰ったよな」
このように、事実と思われる……というか事実を面と向かって各スケーターに言い放つというブラックユーモア。台詞はすべてスパイクが考えたものだとエンディングで明かされている。このように著名人が登場するというサプライズや素晴らしいアイデアはGirl系の作品ならではだろう。そして本作を観た人ならわかると思うが、あの壮大なオープニング。オープニングの秘話は、SLIDER最新号で紹介しているのでそちらもお見逃しなく。
ということで、以上のウィル・アーネットの台詞を理解した上で、あのスキットを観なおしてみよう。『PRETTY SWEET』の素晴らしさがよりいっそう伝わるかもしれない。