“Yo! Chui”なるコンテンツがVHSMAG内にあります。YouTube上に上がっている懐かし(?)の映像を担当者の独断と偏見でセレクトして紹介するといった内容のもの。毎週金曜日の午後一に更新される隠れ人気コンテンツで、毎回豊富な知識とユニークな切り口で紹介されるトピックは、個人的にも楽しみのひとつとなっています。
そんなYo! Chuiをハイペースで切り盛りする隠れスケート知識人ことTH(FatBros)とは何者なのか? と気になっている方も少なくないかと思いますので、僕のほうからひとつ暴露。彼のバックグラウンドというか人なりがわかるほうが、ストーリーに親近感が増すのではないかと勝手に考えております。
クレジットを呼んでそのままに、THというのは彼のイニシャルです。現在は中野のスケートショップのFatBrosのスタッフとして働く傍ら、なにやら別の仕事も持ちあわせているというマルチプレイヤー。そんな彼は、僕の地元の先輩にあたります。正確には自分が高円寺でTH氏は中野なのでお隣になるのですが、学生の頃より親しくさせてもらっているのと、年齢も上なので一応先輩という位置づけとさせてもらっています。
そんなTH氏とは、幼馴染みスケーターの某FESNを主宰するMを介して知り合いました。中野サンプラザ(以下サンプラ)がスケート的な全盛期を迎える前ぐらいに、サンプラにて紹介されました。ティーンだった頃の自分はクソ生意気だったので、少し童顔気味のTH氏を年上だとはしらず、いきなりタメ口でいい加減なことをまくし立てていたそうです。そんな生意気な自分に怒りの制裁を加えるでもなく、普通に大人な対応で接してくれたことから、フレンドシップがスタートしたのでした。初対面のとき、自分の無礼な態度にかなりムカついていたとは後で知りました。そのときはまだ、TH氏の本性を知らなかったわけです…。
それからというもの、TH氏とはホームスポットも同じということもあり、連日連夜スケートを共にするという流れが自然にできるわけです。しかも縁あって、バイト先も同じという謎なシンクロ率高めの日々がスタート。バイト先というのは、銀座にある某大手アパレル屋なのですが、見た目に油断させられたと思われるマネージャーが、TH氏をキャッシャーに配属したのです。キャッシャーはお客さんとお金のやり取りをする、いわばクールで花型ポジション。しかも大切なお金のやり取りをする立場とあって、社内では信頼のおける人が担当するというような位置づけがありました。一方自分は、なぜかレディースの販売スタッフに配属され、レディースクルーの中の数少ない男子として右往左往することになるのです。男子のお客さんよりも、女子のお客さんの方がモンスタークレーマーが多かったり(特に年配の方)、スタッフ内でも女子の派閥(?)というか確執みたいなものが存在し、ヤングだった頃の自分が何故かウーマン・ウォーズに巻き込まれることになったりと、初めて女の世界の息苦しさを知ることになるのでした…。
そうこうしていうちに、そんなバイト、学校、スケートという三本柱の生活が続く中で、あるイベントを介して劇的とも呼べる転換期を迎えたのでした。1996年の春休み─。
僕とTH氏は大学の春休みを利用して、LA⇔SFトリップを敢行することを決定。しかも、同じバイト先の女の子ふたりも同行したいとのこと。海外にスケートしに行くってだけでカオスの匂いがするところに、バイト先の女の子がふたりがついてくる…。それでも若かった僕らは、ノリで彼女たちのオファーを承諾し、いざ成田空港へ。ここからカオスセオリーが始まることは、このときは知るよしもなかったが…。(続く)