SLIDERもあっという間に16号目を迎えました。たしか2009年12月に創刊したので、今年12月で丸4年になります。時の経つのは本当に早いものです。僕はSLIDERで主に海外の現地取材を担当しているのですが、創刊号のボーンズ・ブリゲード特集が初の現地取材でした。現地取材で一番大変なのは、アポ取りです。日本を発つ前からアポを入れてないと、現地で右往左往することになってしまいます。創刊号の取材に関して言えば、キャバレロなんてまったくメールのレスなし。なんでも彼はメールに無頓着とのことで悪気はないらしいのですが、メールがダメなら電話だ、と同行フォトグラファーのゴトーが電話番号をゲットしてようやくアポ取り成功。うれしさあまり、LAのモールで思いっきり彼とハイタッチしたのを思い出します。アポさえ取ってしまえば、後はなんとかなります。インタビューの質問も事前に用意してありますし、急きょ予定していなかったスケーターを取材することになっても、即興でなんとかなります。雑誌の取材ということで、相手も快く何でも話してくれます。特に緊張することもなく、相手とのおしゃべりを楽しみながら話しを膨らまして聞きたいことを聞き出せれば完璧です。
でも、今までに取材中に頭が真っ白になったことが一度だけあります。それは、5号目のDeluxe特集で取材したジュリアン・ストレンジャー。まず、よかれと思い、取材前にジュリアンにコーヒーを差し入れするも「胃に悪いから1日1杯しか飲まない」と言われ、コーヒーを捨てられちゃいました。そして、インタビューを開始するも、個人的に尊敬するスケーター、寡黙な取材対象、そして質問を完璧に用意していなかったということもあり、頭が突然真っ白になってしまいました。そこで、ゴトーが横からヘルプしてくれ、なんとか取材を無事に終えることができたという始末。こちらが構えすぎたというのもありますが、あれは二度と味わいたくない緊張感です。しかし、ジュリアンは快くゴトーの要望に応えてくれ、Deluxeの近所のダウンヒルも何度か下ってくれ、素晴らしい1枚を収めることができました。最後には「あまり欲張るなよ」と言い、トラックバイクに乗って街へと消えて行きましたが…。ジュリアンの取材は、今でも強烈な思い出として残っています。あまり取材対象に構えすぎるのはNGということを学んだ反省の1日でした。
そんなこんなで、SLIDER創刊から今まで、いろんな珍事件に巻き込まれながらも(SFではゴトーのアパートの隣の部屋が大火事になり避難。ポートランドではサイラスとアイスピックを持った大男との乱闘事件)16の特集企画を形にすることができ、スケートの歴史や知識を学ぶことができました。スケートそのものを楽しむことも大切ですが、その歴史や文化を知ることも同じくらい大切だと思います。SLIDERを通して、スケートの本場であるアメリカのシーンを支えるスケーター、アーティスト、フォトグラファー、フィルマー、ブランドオーナーなど、さまざまな才能の生の声をこれからも読者のみなさんに届けられればと思います。その生の声にこそ、日本のスケートシーンをさらによくするヒントが隠されているかもしれません。まあ、そんな大げさなものじゃないかもしれませんが、是非とも特集記事を楽しんでいただければと思います。これからもSLIDERの応援よろしくお願いします。