今回はLA特集。そうです、スケート誌SLIDER Vol. 16のメイン企画は天使の街“LA: ロサンゼルス”。LAといえばハリウッドを拠点に映画産業の中心地として長年栄えています。LAを舞台にした映画の中でも『パルプ・フィクション』、『クラッシュ』、『Heat』、『コラテラル』、『マグノリア』、『トレーニングデイ』なんかは個人的にLAフレーバー全開で大好きです。スケートボードに戻りますが、映画産業と同様に、LAはスケート産業の中心地でもあります。スケートメディア、ブランド、メーカー、プロスケーターの数のどれをとっても世界随一を誇ります。もちろん無駄に数だけ多いのではなく、世界のスケートシーンをリードしていくしっかりとした土台が築かれています。そんな中、今回は成熟したスケートシーンの最前線で活躍するスケーター、フィルマー、フォトグラファー、アーティストを10数名取材させてもらったのですが、どの分野においても一流と呼ばれる人たちに共通していたのが、物腰が柔らかいということ。人として高度に成長すると視野が広がり、違いに対して寛容になることを目の当たりにしました。それは無関心ではなく、認識です。そのあたりの話はここで延々語るよりも、実際に本誌を読んでいただければ書き手としては幸いです。
LA企画において、ビハインド・ストーリーというほど大袈裟なものではないですが、個人的な想いが反映されているのがLA特集の扉。LA特集のタイトルやクレジットなんかが入ったいわゆる特集の表紙的役割のページのことを指すのですが、LAのダウンタウンを一望できる扉の写真は、グリフィス天文台から撮影してもらいました。LA特集の構想が上がった段階で、扉の撮影はここからすると決めていたのです。観光地としても有名なので、実際に行ったことのある人も多いかと思います。映画『ターミネーター』でアーノルド・シュワルツェネッガー扮するT-800が素っ裸で地球に上陸して夜景を一望するシーンはあまりにも有名ですが、まさに同じスポット(グリフィス天文台)です。
そんなグリフィス天文台に初めて訪れたのは16歳のとき。当時お世話になっていた人に連れていってもらったのですが、ガキんちょながら100万ドルの夜景に強い感銘を受けました。まともな夜景を見たのがそのときが初めてだったこともあり、目の前に拡がる光の海に心打たれたことを昨日のように覚えています。
そしてそのとき、心に決めたことがあります。「よし、ここで将来のお嫁さんに絶対プロボーズするぞ!」と。
その誓いから20年余り経ちましたが、いまだ自分への約束は果たせていません。実は何度か女の子を連れていったこともあるのですが、あえなくフェイキーアウト。10代の自分とのコミットメントを守るというくだらない男の意地に、いまだに捕われながら生きています。「I'll be back」。