今年9月に敢行されたHUFによるアジアツアー、その名もStoops Asia Tourをフィーチャーしたミニビデオがついに先日公開されました。ちなみにこのツアー、日本ではVHSMAGがツアーのコーディネートとアテンドのご協力をさせていただきました。ツアーに参加したスケーターはブラッド・クローマー、ピーター・ラモンデッタ、ダン・プランケット、ジョーイ・ペッパー、ジョシュ・マシューズ、ケヴィン・ターペニング、サミー・ウィンター、そしてキース・ハフナゲル。それに加え、フォトグラファー2名にフィルマー2名、そしてチームマネージャーとかなりの大所帯でのツアー(日本国内ではアーティストのHaroshiも参加)。
人が多ければ多いほどカオスが発生しやすくなるというのは世の常です。毎朝の集合場所に全員が集まらず待ち時間が多くなったり、移動の際に誰かが行方不明になってテンパりながら走るハメになったり(特に新幹線や飛行機での移動)、スポットを用意してもお気に召さず誰もまったく滑らなかったりと厄介なことが腐るほど出てきます。しかし、そんな心配をよそに、HUFチームはそういった面においてかなりの優等生でした。集合時間に誰も欠けることなく、ほぼすべてのスポットで誰かしらがフッテージをゲットする。外部から撮影の邪魔が入れば仲間の誰かがその人物に延々と話しかけ、トリックをメイクして撮影が無事に終了するまで邪魔者の邪魔をする。これはツアー中のスケーターとしては当たり前の行動かもしれませんが、ツアーに同行した自分が感じたのは、HUFは相当統制のとれたバランスのいいチームだという印象。
それもボスであるキース・ハフナゲルの存在があるからこそかもしれません。NY、SF、LAとスケートをはじめとするストリートカルチャーの発信源ともいえる街々でプロスケーターとしての立ち位置を確立し、Deluxe、SupremeやStussyと深く関わってきたことでブランドの運営について学んできました。そして、それら一流ブランドから学んだノウハウを活かして、かつて自身がそうされてきたように次世代を支え、彼らが生計を立てることのできる環境作りをする。そういったことをしてきたハフナゲルへの揺ぎないリスペクトをツアーに参加した面々が持っているとひしひしと感じました。
大阪の中の島公園の3アップ3ダウンのスポットでジョシュ・マシューズがブラントの全流しを繰り返しトライしているとき、ハフナゲルがその様子を見ながら「Struggle of life(人生の苦難)」とぼそっと呟いていたのを思い出します。ブランドとしてのHUFはこれまで問題なく順風満帆にすべてがうまく進んできたわけではありません。さまざまな苦難を乗り越えてきたからこそ今の姿があるのです。だからこそ、あのような言葉が出たのだと感じました。そして、ハフナゲルはそのようなHUFのこれまでの経験や在り方を通してライダーやスタッフにいろんなことを伝えているのだと思います。
そんな今回のStoops Asia Tourは、これまでにアテンドしたどのツアーよりも印象的なものとなりました。とは言え、やはりツアーのコーディネートやアテンドにはストレス、プレッシャーや心配事がつきものです。しかし、完成したツアービデオを観ると、そんなものはきれいサッパリ吹っ飛ぶものです。今一度、HUFのStoops Asia Tourの模様をご覧ください。そして、ハフナゲルがこれまでのスケートキャリアを通して築き上げてきたものを堪能してください。