スケーターのみなさんは、自分や友人がクラッシュ(※スケートの場合はスラム)して“ヤバイ”と思った経験をしたことがあると思います。自分はスケートではありませんが、BMXでそんな危機的場面に何度か遭遇したことがあります。ドロップオフからの顔着、痙攣。レールグラインドからの顔着、顎骨折、背中から地面に叩き落されて数分間呼吸困難などさまざまな場面に遭遇しましたが、その中でも印象に残っているクラッシュがあります。
あれは僕が高校に入学したばかりのころ、BMXで5段のステアからの360ドロップオフを狙って、とあるスポットを訪れました。軽くウォーミングアップを終え「1発で決めちゃうよ!」と気合は十分。勢いよくペダルを踏み込み、ステアに突っ込んだ。当時、若気の至りで勢いはあったもののスキルは追いついておらず、案の定、空中で回転数がたりずにコンクリートに頭から着地。一発で脳震盪を起こしてしまいました。すぐにその場にいた友人が救急車を呼んでくれて病院に運ばれましたが、幸いにも「頑丈な頭蓋骨に守られていて問題ありません」と医者に言われ胸を撫で下ろしたのを覚えています。
それから数ヵ月後、事故のことも忘れ充実した高校生活を送っていました。学校では当時目新しかった、世界中の衛星写真を見ることができる“Google Earth”が流行中。友人と何人かで学校のパソコンルームに行き、「あいつの家見てみようぜ」とか、「あのスポット見てみようぜ」などといって、がむしゃらにいろんな衛星写真を見ていました。すると突然、あの事故の日に救急車を呼んでくれた友人が「お前がコケたスポット見てみようぜ」と言い、自分にとって苦い思い出となったスポットを検索しました。すると、その場所に1台の救急車と地面に大の字になった自分らしき人影が映っているではないですか! 「これオレじゃん」。そう、自分がクラッシュしたその日時に、宇宙から自分が撮影されていたのです! こんな奇遇なことがあるのか!? と思ったのですが、それは確実に自分の姿でありました。これがいままでで一番忘れられないクラッシュ。最悪な出来事ではありましたが、なんとも記憶に深く残る思い出です。そもそも脳震盪の影響で記憶が無くならなくてよかったですが……。是非みなさんも自分や友人がクラッシュしたスポットを“Google Earth”で検索してみてはいかがでしょうか。意外な発見があるかもしれません。