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第一回の自己紹介でなんとなく俺、俺の周りの友人達のSKATEの特性を掴…
──第2回

2011.04.14

第一回の自己紹介でなんとなく俺、俺の周りの友人達のSKATEの特性を掴んで貰えたかと思います。
で、今回はさらに俺の持つ考えを理解してもらうべく、以前にインタースタイルコラムコーナーで書かせて貰った自身のコラムより一部抜粋し紹介させてもらいます。
ちなみに、インタースタイルとは日本最大級のスケート、サーフ、スノー、の合同展示会で、最近では年2回、横浜パシフィコで行われています。
主にSKATE業界の裏方で活躍している人達や国内のトップレベルのスケーターが一同に会する、一部お祭り的な性質も担っている展示会なので、今はビギナーでも将来プロを目指している人、スケート業界で働きたい人はチェックしてみて下さい。

↓抜粋

俺が15年程度前のAJSA公認プロに昇格した時には、当時なりのニュースクール系と言われる様な回し技メインのルーティーンでちゃんと大会で結果を出した上でプロになっています。
具体的なトリックで説明した方がわかりやすいかとおもいますが、その15年程度前の時点の大会本番中でフラットバンクでスイッチで360キックフリップをメイクする程度の事は出来ていましたし(勿論、レギュラーの360も出来た上でだと言う事と、特にこだわっていた得意技でもないのでメイク率が高かったという意味でもなく、漠然と技術力を想像してもらう上での一例です)、日常の練習レベルで調子が良い時などはキャバレリアルフリップ(pjラッドが得意そうな技)をノーリーからとフェイキーからをラインで繋げる程度の事も出来ていたので、早い話、まあその辺にいる回し技がそこそこ上手い奴程度の技術はあったという事です。
なぜそんな俺が今の様なスタイルにシフトしていったかには密かに興味深い人もいるのではないかと思うので今その真実を語ります(笑)。

というと大げさに聞こえますが、単に自分にとってその様なスケートは無意味だと気がついたのです。
プロになるまでは、自身にリミットなど引かず努力次第でどこまでも行けると思っていました。
が、日本中で何万人もスケートボーダーがいるであろう中、いざ年間10人しか上がれないプロ昇格の壁を超えた時に、現実はそんなに甘くない事に気がついたのです。

それ以前は小柄(162cm)で身体的には不利な自分自身が唯一人に勝つ方法は努力量だと感じていましたが、さすがにその10人の狭き門をくぐってきた人は皆同じように努力量が最低条件になっていて、同じ努力量である10人の中でさらにトップに立つには物理的な限界を感じたのです。
全く同じ事をしても、体格の大きな人や先天的に跳躍能力に長けている人が見せる技のダイナミックさにはかなわないという普遍の事実に気がついたのです。
これは安易なあきらめの言葉ではなく、努力の意味を知り、実践してきたからこそ現実に目を向けざるを得なかったという事です。
例えると、ボクシングのフライ級のチャンピオンが同じ努力量で挑んでいるヘビー級のチャンピオンに勝とうとするのと同じ様なもので、志はそこにあるべきだとしても現実を見据える場所は他にあるべきだという事だったのです。

そんな考えが生まれてからは、例えば日本という国と同じく、資源がないなら知的財産で勝負するしかないという事に気がつきました。
パーク等の環境や体格でスタート地点から差のあるアメリカのトッププロに技術で勝つ事は難しくても、環境や状況が整っていないからこそ、それをバネにアイディア勝負でクリエィティブな技を開発し世界初の技を生み出す事なら日本人にも出来るはずだと思ったのです。

有名な歌謡曲ではないですが、いくらナンバーワンを目指しても理想止まりで結果がナンバーテンになってしまうよりも、オンリーワンを目指した方が自分に合っていると気がついたのです。

さらに批判を恐れずに言うなら、俺に限らず多くの日本のスケーターはそろそろこういう思考も含めてスケートに取り組まないと、いつまでたっても世界を相手に勝負が出来ないのではないでしょうか?

仮にスイッチ360キックフリップからマニュアルをしてスイッチ360キックフリップアウトが出来た所で、そんな創造性の無い技は想定内でしかなく、ほっといてもいつか誰かがビデオにおさめるであろう事が想像できてしまい、俺にとっては始める前からすでにセピア色になってしまっていてそんな所に感動はありません(勿論、技術力の向上の為に努力した事に対する敬意はありますが)。

例えば、プロフィールのCHOPPER-TUBEにもある“世界初”と銘打った動画の一部を見てみて下さい。

この動画に出てくるヘリコプターボンレスも俺のアイディアですが、俺が知っている限り恐らく世界初だと思います。
仮にこの映像と別の日本人スケーターが撮影したスイッチキックフリップバックテールtoスイッチキックフリップアウトをベリックス等の海外の有名サイトに送ったとしたら
話題になるのは恐らくヘリコプターボンレスの方ではないでしょうか?
だって普通に想像するに、スイッチキックフリップバックテールtoスイッチキックフリップアウトを出来る人は世界に何百人といるでしょうが、このヘリコプターボンレスは世界で誰も開発していない可能性が高いからです。
ですが、折角の世界初のトリックも情報発信しているのが日本人の俺だというレッテルをもとに日本国内では軽く流されてしまう事も想像できます。
でも、もし海外の有名サイトでヘリコプターボンレスが紹介されたとしたら、恐らく逆輸入状態になり、その時点でやっと日本でも噂になりだす事が想像できてしまいます。
ですが、15年前にはそんな俺の考えが受け入れてもらえなかった主体性の無い日本のシーンも、今の若い人達の活躍を見ていると、そろそろどうにか出来る良い時期に来ている気もしているのですが、これを読んでいる業界関係者の皆様はどう感じているのかは興味深い所です。
もしこれを読んで共感してもらえる人がいるなら、またどこかでお会いした時には声をかけて下さい。
若者の未来は俺らのようなオッサンスケーターの手にもかかっているのかもしれません(笑)!!
See you next time!!

↑抜粋ここまで
(抜粋中に出てくるへリコプターボンレスとは前回紹介した動画中にあるトリックです)

ここまで読んでもらえれば、何故、俺が前回紹介した動画のような技をやっているのかを理解して貰えるかと思いますし、回し技などのテクニカルな動きが“出来ない事”をスタイルという言葉で誤魔化す事と“出来る上でやらない事”の違いも分かって貰えるのではないでしょうか。

とにかく、これら偏屈な考えを基に俺のスケートは成り立っているので、素人目で見て理解して貰えない事も多いかと思いますが、それなりの理由が隠されています。
今はビギナーでも将来プロを目指しているような人は、これらに対する理解も深めてもらえる事により、ようやく日本からも真に世界に通用する技術、独創性、スタイル、の伴った、世界水準のプロが現れる日も近くなるかもしれません。

前回、今回と長ったらしい自己紹介になりましたが、前回述べたように日常からもその人のスタイルの根源は見出せるので、次回からは一見浅く広くなるかも知れませんが、スピード感、更新頻度を意識し日常をお伝えしていきます。

宜しく!!

追記

DALのキャップのコマーシャルが出来たようです。

&偶然にも本日!!

CHOPPER
中村泰一郎:ナカムラ タイイチロウ
日本で唯一の国際プロスケートボーダー。
世界流通を持つBAKER BOYS DISTRIBUTIONの傘下ブランドHEROIN SKATEBOARDS所属。
世界流通で定期的にプロモデルをリリースしている。
世界的に知る人ぞ知るOSAKA DAGGERSのリーダー。

INSTAGRAM:@CHOPPEROSAKAJPN
FACEBOOK:中村泰一郎(CHOPPER) 
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