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で、日数がたってしまいましたが、話はルアンに戻ります。 (一応、動画も…
──LUAN OLIVEIRA (ルアン・オリベラ) – IT MUST BE NICE  ちょっとした裏話 part2

2017.04.29

で、日数がたってしまいましたが、話はルアンに戻ります。
(一応、動画も貼っておきますが、話の流れが分からない人はコチラを先に読んで下さい。)

 

カメラアングルを見てもらうと分かりますが、この時は2Fからカメラを回しっぱなしの様な撮り方をしていた様で、俺も今回のフッテージを見るまでは撮影していた事は知りませんでした。
また俺も途中でパークから出たり入ったりしていたので最初から最後まで見ていたわけではありませんが、うろ覚えの記憶で恐らくトータル2~3時間程度の撮影だったと思います。
実際、俺の見ていた限りでは撮影スタッフから途中で特に細かい指示がなされるわけでもなく、完全にプライベートのスケートの様な感じでした。
案外、ここは重要で、完全にプロジェクト化されたスポンサーチームのフッテージ撮影やデモ、TAMPA PROSTREET LEAGUE等といった超集中力を要する表舞台のコンテストの場とは異なります。
その中で、これだけのメイク率は本当に世界のトップ中のトップだなとあらためて感じさせられたのを覚えています。

若い時の俺なら「実は数日かけて撮影したものを、サラッメイクしている様に見せる為の演出で服装を同じにしているのでは?」と疑ったかもしれませんし、同じように考える若い人がいてもおかしくないくらいのメイク率ですが、俺はこの目で生で見てしまったので、その様な演出はありません。

その中で個人的に印象深かったのは、この映像の中でも出てくるクォーターでのフロントピボット270アウト。
俺はスケートビデオオタクではないので、ルアンの全フッテージをチェックしているわけではありませんが、何となく印象としてはトランジション系の映像は多くはないと思います。
そんな中、このピボットもなんとなく流れでクォーターに向かい、サクッと流れでメイクしていったのには感動しました。

更に言うと、この日はルアンと同郷のカルロス・リベイロも一緒にルアンと楽しそうに滑っていたのですが、カルロスも同じく色々普通にラインでメイクしている流れから、画面左奥の大きい方のクォーターに向かったかと思うと、ノーハンドキャバレリアルをメイク(メイクという表現すら厳密には的確な表現ではないと俺は考えていて、スケートボードを自然に操っているうちの流れに過ぎず、トリックという概念ですらないレベルに俺には見えた)し、何事もなかった様に次のセクションへと向かっていました。

俺自身、何でもかんでも出来るわけではないので偉そうな事を言うつもりはありませんが、個人的なスケートボーディングに対する理想像、美学、哲学としては、「フリースタイル、ストリート、トランジション、等々といったジャンルにとらわれず、本当に板に乗りこなせスケートボーディングをいかに深く理解している事こそが本物!!」だという持論があります。
また、この考えは俺の個人的な主観ではなく、必然的に世界の表舞台を目指すのであれば基本的な要素だというのは明らかな事実ではないでしょうか。

 
それらを目の当たりにした中で、これら世界のトッププロのビデオパートの中でトランジション等のカットがあまりない理由が推測出来ます。
個人的な推測なので正しいかどうかは分かりませんが「世界最高峰のアメリカでトランジションに特化したスケーターが多くいる中、ストリートスケートがメインの人間が魅せれるトランジションの映像なんてそれなりの事しか出来ないし、そんなレベルのものを見せても意味が無い。」と考えているのではないでしょうか?
実際、うろ覚えですが、もっと沢山の技をメイクしていたかと思いますが、恐らく本人的にレベルの低い技の多くは編集でカットしているのだと思われます。
単に「出来ない」事と、プロ意識が高い為「出来るけど、あえてやらない」「あえて見せない」のとでは似て異なります。
日本のレベルの底上げを図るにはこの様なエンターテイメント性、プロ意識をもっと学習しなくてはならないのではないでしょうか。

 
他にも海外のトッププロを生で見た時には同じことを感じる事が多くあります。
これは7~8年くらい前になるので同じ事をどこかでも書いたかもしれませんが、アディダスチームの撮影に同行していた時の事です。
神戸のハネッコのステアでLem villeminがトレフリップを撮影していた時の事です。
今では日本の若いスケーターでも同じ事をするのは難しくないのかもしれませんが、当時の日本の映像制作の現場だと、辛うじてメイクしたものをどうにか使う、という場面も多かった様に思います(もしかすると今でもそうなのかもしれませんが)。
そんな中、レムはサクッとメイクしているに関わらず「スタイルが汚いから納得いかない!」と更に撮影し、合計3回もメイクしていました。
汚いかどうかは主観になるかと思いますが、横で見ていた俺としてはどこをどう見たら汚いのか全く理解できないレベルのクリーンなメイクに関わらず、更に撮影しようとしていた所を周りのスタッフに「全然汚くないから問題ない!!」と止められている現場を目の当たりにしたのは印象深い思い出です。

そんな事を一つとっても世界と日本のレベルの違いを感じます。

なので、今回の話の主題になりますが、折角のネットの発達によるスケートシーンのグローバル化も、単に情報を鵜呑みにしているだけでは、いつまでたっても日本は「井の中の蛙」で終わってしまいます。

さらに厳しい事を言うなら、世界を標準とすると、個人的な体感としては、ネットの発達により、他の後進国が追い上げている事も含め考えると、相対的に日本のレベルは世界の中で上がっているどころか、下がっているのが現実の様に俺は考えています。

というか、更に事実、現実を理性的に見ると、日本にスケートボードが入ってきて約50年、本質的に日本のシーンは何も進歩していない

この様な事を述べると、一部の人達には「ネガティブな発言」と捉えられるのは勿論想定出来るので、単にヘイトな意見ではなく、真の進歩の為の意見だと理解してもらうべく説明すると、

 
一旦、深呼吸して冷静に思い返してみてほしいのは、進歩しているのは日本のスケーターではなく、実はネットなどのインフラ環境でしかない。
勿論、技の水準が日本でもアメリカに追従しつつ50年前より増しているのは当たり前の話で、そんな話を引き合いに出すなら、地球規模で石器時代よりも現在の科学技術が発展している事を引き合いに出すのと同じレベルでしかない。
例えると、仮にアフリカなどの科学技術の後進国も、グローバリズムにより自ずとネットを含めたインフラがある意味自動で進歩していくのと同じ話でしかない。
自身はその科学の発展に何も関与、貢献していない人達が「アフリカも昔のアフリカに比べると進歩しているやないか!!」と鼻息を荒くしてしまうのと本質的には同じ話になってしまう。
そういう意味の進歩は世の流れに身を任せておけば、自身が関与せずとも自動的に進んでいくので日本のスケーターの努力や創意工夫のもとにあるものではないし、先ほども述べた様に、後進国が追い上げてくる速度や本場アメリカの進歩率と相対的に比べると、何も進歩していないどころか、どんどん日本のレベルは低くなっているともいえる。
要は頑張っているのはそれらインフラ環境を整備してくれている技術者や企業や国、それに取り巻く人達のおかげでしななく、一部を除き、実は日本のスケーター自身が日本のスケーターの手で作り上げた世界に誇れる日本のスケートボードは未だ何もない
に関わらず、それらインフラ整備をしてくれた人達に対するリスペクトもなく、さも自分達で日本のスケートシーンを進歩させているという勘違いをしている人が多いのではないでしょうか。

それら状況から脱却するには、折角のネットでの情報を誰にでもできるレベルで受動的にとらえるだけで終わるのではなく、能動的に活かし、いかにその情報を有効的に消化、活用し、想像力、創造力も併せ含めアウトプットしていくかが重要なこれからの日本のシーンの発展へとつながていくのだと思います。
本当にシーンを"切り"拓くなら、読んで字のごとく、エッジのきいた言動で切り拓いていく事が必要なのは歴史の事実からも明らかです。
誰かが先の尖った出る杭にならなくては、日本のシーンは本当にダメになってしまうでしょう。

そういう本質が見えてくると、真の意味でネガティブなのは誰で、また、実は、行動していた"つもり"でしか無かったのもどういう人達かの真実が見えてくるのではないでしょうか?

 

↓俺のインスタグラム
CHOPPEROSAKAJPN

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CHOPPER
中村泰一郎:ナカムラ タイイチロウ
日本で唯一の国際プロスケートボーダー。
世界流通を持つBAKER BOYS DISTRIBUTIONの傘下ブランドHEROIN SKATEBOARDS所属。
世界流通で定期的にプロモデルをリリースしている。
世界的に知る人ぞ知るOSAKA DAGGERSのリーダー。

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FACEBOOK:中村泰一郎(CHOPPER) 
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