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おケツに乾杯!
──第34回:CHEERS TO ASS!

2020.10.26

 夏も終盤を迎え、よくわからない「終わっちまった感」に襲われる9月中旬。EM=EAZY MISS首謀者イトシンから我らがMxMxM系列ショップHS=HIGHSOXとの合同ツアーの話をもらい、行き先を模索していたところ2週間前から予報は雨! 1週間前でも予報は雨! 3日前でも予報は雨。「最近の天気予報ってまったく当たらないよね〜」という風潮に少しも当てはまってません。しかし予定は予定、誰も中止という思考回路を持ち合わせていないため、雨にも負けない室内パーク巡りのツアーに急遽変更して車3台総勢13名の関東近郊EM×HSツアーで話はまとまりました。

 車3台の大所帯のツアーということもあり、全員集合してからGO! という戦術では一生出発できないパターンと予想し、ある程度郊外に出てからの合流に。しかし僕が運転する車のメンバー、きな粉棒が「西荻窪の駅に8時半ね」っていう約束に対し8時半に高円寺の自宅で目覚めるというハンマーを見事メイクし、幸先の良いスタートを切ったのであります。

 僕の車JIMA号、 TK号、そしていつもはMxMxMで同じメンバーだけど今回はEMクルーとして参加のHINO号の3台の合流地点は関越道で首都圏を抜け出したところの上里SA。LINEのグループトークでは一番先を走っているはずだったHINO号がなぜか一番最後に現れるいうテクニカルなトリックメイクで合流し、おいっすおいっすを済ませ群馬県の川場スキー場駐車場のスケートパークへと向かいました。

 3台で追い越し追い越され、ぽおぽぅ、へーい、ぷっぷーなどと運転しながらやっていると、僕の左の視界に入って来たTK号の窓からなにやらベージュっぽいものが見えてきます。違和感を覚えちらっと見るとケツだ! 窓からケツが出ている。TK号の後部座席右側に乗っているムッツが窓からケツを出して僕の車を追い越している…。「お、おい!」と僕は焦って左後部座席に座っていた元気に向かって「元気もケツ出して対抗しろ」と指示をすると元気はニコっと笑っただけでそれ以上は何も起こりませんでした。TK号は最終的に助手席側の逆サイドからもケツを出しながら走り、運転手のTK以外は全員ケツ出しをメイク。この時点でハンマー、テック、スタイルと三拍子揃っておりました。

 川場スキー場というのはどうやら駐車場の建設会社が運営しているスキー場らしく、それもあってか立派な立体駐車場(もちろん屋根付き)がスキー場入り口に鎮座しています。冬場はスキーやスノーボードの客で溢れかえるこの駐車場も夏場はすっからかんってことで考えられたのが夏場限定での駐車場スケートパーク。標高も高く、気温も低いため夏場でもかなり涼しい避暑パークで、相当な横殴りの雨でない限りは滑れちゃうっていう最高な物件なのです。

 着いた瞬間パークには濃厚な霧…というかこれ雲? にまみれた幻想的な演出と9月なのに「寒っ! さっむ!!」という声が聞こえて来るほどの気温。しかしこれは滑り出すと丁度よく、アホみたいに滑りまくれるし、今回はフィルマーが僕を含め3人いるってこともあり、あっちでライン撮り、こっちでハンマー、ロングレンズで隠し撮り、などなど撮れ高は申し分ナッシング。

 川場でのスケートを終えて宿へと向かいます。今回は大人数ということもありエアビー (民泊)のできるだけ安いのを検索した結果、群馬県高崎にある「オーナーが1階に住んでいる1軒家の2階」という物件がHIT。迷わずそこに決めたものの、知らない人の家に泊まりに行く感は否めず、これはツアーにはつきものの夜のパーリーっていう大騒ぎはできないね…という共通認識がみんなの中に流れていました。

 宿に着くと予想通りオーナーがしっかりと僕たちに家のルールを説明してくれます。ものすごいお金持ちのお父さんが子供たちが全員出てしまった家を有効活用しようとエアビーで小遣い稼いでいるといった感じなのですが、剥製やぬいぐるみ、壁にかかった動物のお面などなど、オーナーの趣味が垣間見えます。「お風呂はこちらで、リビングと寝室があります…」とかなんとかいっている最中にムッツが壁掛けの高そうなオブジェをバッグに引っ掛けて落とすし、レオは子供用のシマウマの置物にまたがって「それはちょっとやめてください」とか注意されるしで、「とんでもないお客を招いしてしまった」とオーナーもすぐに理解したと思います。

 最初は勘ぐって静かに過ごそうムードなのに、少し時間が経つだけで全員ここは無法地帯だと勘違いするのはなぜなんでしょうか? 人間とは怖いものです。最終的にはギターをかき鳴らし、全裸でケツの穴を寝ているヤツに押し付けたり、大声で面白くない一発ギャグを披露したりと修学旅行以来の大人のはしゃぎっぷりを堪能し夜は更けていきました。

 途中何度か下で寝ているはずのオーナーを思い出すんですが、全員の思考回路は「まあ大丈夫でしょう」というミラクルなプラス思考ですので、静かに楽しもう! という風潮は一切なかったように思います。

 散々遊んだ次の日は秩父にあるキャンプ場兼スケートパークUNCHAINZに突撃。奇跡的にそこのタイミングだけ雨は止み、とりあえずパーク裏にある増水しまくった川に飛び込んでさっぱりしたところでまたスケボー開始。ここではEMの冨川蒼太がありえないトランジションの安定感を見せつけ、全員が負けじとそれぞれの最大限の滑りを見せていたような気がします。

 ですが、みんなが楽しく滑っているなか、僕には一抹の不安がありました。昨晩の宿を手配したのはまぎれもないこの僕。エアビーというのは泊まる側も宿を提供する側もお互いを評価するというシステムなので、昨晩のどんちゃん騒ぎが僕の低評価に繋がったらどうしようかと思っていたところ、オーナーが出してくれた評価は 「とてもマナーの良いゲストです」と。いやぁ、世の中にはいい人がたくさんいるもんですね。ツアー最高!

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