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 以前、僕とスケーターの友達、そしてスケートをほぼ知らない友達2人の合…
──第12回:スケボー依存症

2014.05.13

 以前、僕とスケーターの友達、そしてスケートをほぼ知らない友達2人の合計4人で車に乗って走っていた時のことです。僕は後部座席にスケーターの友達と一緒に座りながら、何気なくボケっと外を見ていると、僕とスケーターの友達はほぼ同じ瞬間に声が出ました。「おっ……」とかそんな感じだったでしょうか。そうです。ちょっとしたスポットがあったのです。
 僕と友達はもちろんそこで会話する訳です。

 「ちょっと良さそうなお手軽ステアあったね~」

 「ね。路面は相当良さそうだったけど、点字(ブロック)があったからオーリーで軽く超えてのラインとかだね」

 「あ、マジで……あった? 確かにそのあと少し下ってたから良さそうね」

 僕らからしたらいつもの会話なのですが、運転していたスケーターではない友達からしたら、60キロそこそこの結構なスピードで走っている車からの景色で、一瞬のうちにそこまでの情報を得ることができた僕らに相当びっくりしていました。

 「えっ!? いつもそんなとこ見てるの?」

 確かに。自転車に乗っているスカートの短い女性がたとえ若いギャルであろうと買い物帰りのおばさんだろうと、そこからパンツが見えそうな場合はついつい見てしまいます。いや、「見ないぞ〜!」と思っているんだけど、そう思った時にはすでに遅く、ほぼ瞬間的にそのポイントに目線が吸い込まれるという……。胸元もしかり。そのおかしな習慣の方が全然健全だと言えるくらい、僕らのそれは病気なのかもしれません。路面、交通量、高さ、距離、明るさ、セキュリティ、ランウェイ、着地地点…。すべては一瞬では分かりませんが、基本的にはそれらの情報を得ようとしてしまいます。どうしても気になるスポットを発見してしまえば、車をUターンさせてでも確認しにいきます。車から降りてそれらの要素をじっくり吟味し自分のスキルと照らせ合わしたりして、人によってはちょっとカクカクしたフラダンスの様な動きで、テールをはじくモーションを手で再現してみたりする人もいます。テンションさえあえばその場で滑ってしまいます。

 変な話ですが、Uターンするちょい前くらいから、何も知らない誰かにずっと見られでもしていたら相当な変態扱いでしょう。いきなりきょろきょろしだして不審な動きでUターン。かと思えば何でもないとこをじっと眺めて、また違う角度から見てみたりしている。あげくの果てにはおかしなフラダンスをしているとなれば、そいつの動画を携帯で撮って即インスタいきでしょう。 #理解不能 とか。やっぱり思いますが、僕たちは重度の病気と言えるでしょう。そして相当な怪我をしているにもかかわらず、スケートをやめるという考えが一切出てこないところを見ると、中毒性も存分にあるようです。

 例えばの話ですが、スケートボードが犯罪だったとします(半分くらいそうかもしれませんが)。いや、犯罪というか非合法のものだったとしましょう。法律で「スケートボード売買」とか「スケートボード使用」とか「スケートボード所持」とかいう罪があったとします。売り買い、滑る、持っている、すべてが禁止されるわけです。これは相当大変です。僕らはどっぷり浸かって重度の中毒になってしまっているので、禁止されていてもやめることができません。禁断症状すらでてきます。室内でパークを持つとかは一見安全そうに見えますが、通報なんかされた日には足がついてしまいますから、誰もやりたくはありません。そうなると、やはりストリートでHIT & RUNするしかないという選択になるでしょう。スケボーのデッキやらトラック、ウィールなどは売人に連絡してマンションの一室とかで取引ということになってしまいます。持ち検なんかされたら困るので、ギターケースとかを巧妙に改造してそこに隠せるようにしちゃったりして。そこは人それぞれスタイルが出るところかと思います。

 「まったく誰だよ。スケートを非合法とか言い出したヤツは!?」

 「アメリカの押しつけか!?」

 「てか単純にその政治家がスケボー嫌いだっただけだろ!」

 みたいなことをぶつくさ言うことになるでしょう。実際世の中で禁止されているもので、よく考えたら正当な理由無く禁止されていたりするものごとがあるかもしれません。ちょっと話がそれたかな? そうそう、僕が言いたかったのは、スケートボードにはそれくらい“中毒性=スケートでしか得られないもの”があるということです。というか、このコラムを書き出した時は、最近よく耳にする「インターネット中毒」、「ネット依存」、「若者」なるものをテーマに書こうかなと思って書き出しました。が、こんなところに着地してしまった今、話がそれたもクソもありませんでした。その話はまたいつか別の機会にすることにします。

 「スケートボードで何を得るか」というのは人それぞれ違うと思いますが、「それでしか得られない特別なものを手に入れた」、「それに出会えた」というのはとんでもなく幸せなことかもしれません。スケボーが非合法とかの世界に生まれなくてマジで良かった~。

Daisuke Miyajima
@jimabien

M×M×Mの敏腕スタッフにして自称映像作家のジマこと宮島大介。伝家の宝刀Fs 180フリップをなくした今、どこへ向かっていけばいいのか迷走中。本能の閃きをたよりに書き綴る出口なしコラム。

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