広告は「主に商品や興行物を世間に広く知らせ、人の関心を引きつける」という目的があります。スケートボードやスケートボーダーを起用した広告も世の中には数多く存在します。スケートボードカンパニーが自らの宣伝のために制作したり、スケートボードに関係のない企業がスケートボードやスケートボーダーを起用して制作する広告などさまざまです。
今では街中やTVなどでスケートボードが登場する広告を見かけることが一般的になりました。公共機関やラグジュアリーブランドもスケートボードを取り入れた広告を制作しています。現在はインターネットという世界規模の媒体の普及により、静止画を使用した広告だけでなく、動画を使用した広告がより効果的になっています。動画を使用した広告には、スピード感もあり動作の大きいスケートボードが適しています。そのため、スケートボードが広告に取り上げられる機会が増えているのだと考えられます。
スケートボードカンパニーや関連会社が生み出す広告は、写真や動画を使用してスケートボードのイメージを強調したものが多いです。使われる写真や動画はより強烈なトリックやスポットで撮影される場合が多く、ライダーたちが競い合う場所になっています。インパクトのある広告には、よりライブ感を感じられる写真や動画が求められます。昔は動画を使用した広告を配信する場所がTV以外無かったために、静止画の写真を使用して雰囲気を伝える必要がありました。そして現在は以前よりも動画広告が多くなりました。それは動画広告を配信できるインターネットという場所ができたことと、撮影に必要な機材も以前と比べ物にならない程いい品が入手しやすくなったことが原因だと思います。またスケートボード誌は広告ページが多いですが、広告自体がひとつの記事のようで観て楽しむことができるので飽きることもありません。現在もさまざまなカンパニーが、その個性を打ち出した広告を競って制作しています。
日本の企業がスケートボードを起用した広告は意外とたくさんあり、出演経験のあるスケーターも大勢います。さらにリサーチしたところ、スケーターが出演している、自分の知らなかった作品もたくさんありました。自分も2000年頃に金融会社のTV CMの撮影に参加したことがあります。スーツ姿のビジネスマンがスケートボードに乗って夜の街を帰宅する、というような設定でした。自分以外に4人のスケーターが撮影に参加したのですが、そのメンバーが面白い組み合わせだったのでよく覚えています。T19の大瀧ひろし氏と、'80年代から現在も現役で活躍するスケーターの長島 亘氏も撮影のメンバーに入ってました。とにかく猛プッシュで街を駆け抜けるカットの撮影を、夜中に何度も繰り返したのが印象的でした。
今の日本国内スケートボードカンパニーの広告はかなりハイクオリティで、そのアイデアと撮影技法は日本特有のスタイルがありとても興味深く、注目しています。海外でも興味を引く要素がある内容のものが多いのでどんどん進出して欲しいと思っています。今はその気になれば、どんなに小さい規模の企業でも自分たちで広告を作りインターネット上でアピールすることができます。規模が小さい企業でも、アイデアと技術を盛り込み、低予算で制作されたにも関わらずスケートボードの魅力が伝わってくる広告がインターネット上で膨大な閲覧者数を獲得する世の中になりました。スモールカンパニーが注目される今、これからもどんどん面白い広告が出てきて欲しいと思っています。
Thrasher 1987年7月号掲載
Thrasher 1987年2月号掲載
Hiroyuki Wakabayashi
@possessed_shoe
Possessed SHOE. CO 代表。1969年生まれ。極上のスケートセッションをこよなく愛す自称Skate Rat。SKATEBOARDING IS PUNK ROCK!