少年少女のみんな、こんにちは。今日は「人種差別」というものについて考えてみたいと思う。この言葉の意味を知っている人はいるかな? いないって? では、ゆっくり腰を下ろしてオレの愛に満ちた外国人嫌悪の話を聞いてくれ。
オレが人間として30年間も無事に生きながらえたことを祝福するという意味で、人生初のひとり暮らしを決めたのがすべての始まりだった。窓の外はレンガ以外何もなく、外では極めて控えめにしている女性の放屁の音がサラウンドスピーカーから鳴っているかの如くはっきりと聞こえるほどの薄い壁。オレはこのような部屋にはもう住むことができなかった。
そうしてインターネットでアパートを探し始めたのだが、いくつか物件を確認するうちに驚くべきことに気がついてしまった。そのすべてに「外国人お断り」という厳しい条件が記載されているのだ。どうしてそんな条件が必要なんだ? オレは友人にそう尋ねたところ、全員からまったく同じ答えが返ってきた。
「外国人はいつ退室して国に帰るかわからないからだよ」
しかし、契約満期になる前に退室する日本人だっているはずだろう? さらに言えば、そのために敷金があるのではないか?
「外国人が小さなアパートを借りて、気がつけば10人とかで生活している。そんなことが多いんだよ」
そんなことがこの日本で本当に多いのだろうか? このオレがそんなことをすると思っているのか? そんなわけないだろう…。そんな生活がイヤだからこそシェアハウスを出ようとしているのだ。違うか? しかも、多額の敷金を払い、入居審査で収入証明を見せなければならないことを考えれば、どちらにせよ10人で生活しようとするような人間が審査に通らないことは明確だと思うのだが…。
「たぶん外国人は家賃を払わなかったり、近所と問題を起こしたりするからだよ」
前に住んでいたシェアハウスで唯一家賃を払わなかったのは日本人だった。近所でうんざりさせられたのも、インターネットゲームをやりながらヘッドセットのマイクに向かって金切り声で叫び、『ダンジョン&ドラゴンズ』か何かのアニメ版ポルノで毎晩オナニーをしている日本人のオタクだった。ある夏の深夜3時頃、オレは半裸でそいつの家のドアをバンバン叩きながら家族を起こして怒鳴らなければならないことがあった。それからは静かになったが…。
ヨーロッパやアメリカでは、「外国人お断り」と掲載すること自体がおそらく違法だろう。
結局、オレは不動産会社に勤めるスケーターを紹介してもらい、何度も物件の問い合わせをして、外国人というキーワードを出す度に冷たい対応を受けなければならないという苦痛に満ちた作業を続けることとなった。何度も繰り返し断られることで、その彼もガッカリした様子。不純な血種を受け入れてくれる物件なんてほとんどなかったが、一緒にプッシュで(不動産業者の彼はスーツ姿)最適な物件が見つかるまで限られた薄汚い部屋を見て回った。
オレは日本での暮らしが大好きだ。外国人にわざとイヤな思いをさせようと思う日本人なんてほとんどいないと思う。世界基準で人種差別的だとされる発言や行動があったとしても、そこに悪気がないのもわかっている。しかし、やはり良くないと思う…。日本は国際社会の一員であり、他のアジア諸国でさまざまなものを生産してヨーロッパやアジアに輸出をしている国だ。外国人の協力は不可欠。
それに、よく聞く「外人」という言葉も文字通りずいぶん排他的だし、そもそも日本という国以外の出身者をすべて一括りにすること自体が極めてクレイジーな話だと思う。特に、「外国人は問題を起こす」という日本の一般的な見解を考えればなおさらだ。外国人を断るわけを説明してくれた物件がひとつだけあったのだが、それは以前に中国人の入居者ともめたのが原因とのことだった。では、「ひとりの中国人が問題を起こす=日本人以外の外国人は悪い」ということか? オレのようなイギリス紳士も悪人だと言うのか?
たったひとりの日本人の言動でその人種すべての人間がジャッジされたらどう思うだろうか? たとえば、以下の動画を観て、日本人は誰でも電車で痴漢をして喧嘩するのが好きだと判断されたらどう思うだろうか?
とにかく、最後はポジティブな感じで今回のコラムを締めくくりたいと思う。オレの親友である村岡洋樹の地元鳥取に行ったときに発見したものがある。それは彼が学生時代に描いた絵で、『Eastern Exposure』に収録されたシーンのバックのグラフィティにインスパイアされたもの。タイトルは『人種差別反対』。洋樹、ありがとう!!!
Laurence Keefe
@laurencekeefe
エンゲル係数高すぎスネークスタイルで、世界の秘境をスケボー片手に渡り歩くザ・トラベラー。合言葉は「旅の恥はかき捨て」。ローレンス流、地球の歩き方。