東京都における公共スケートボード場の必要性を強く訴えます。無料相談を受け付けておりますので…
──第23回:東京都議会への公開書簡
拝啓
東京都における公共スケートボード場の必要性を強く訴えます。
東京でまともにスケートボードができた渋谷の宮下公園は、オリンピックに向けてホテルを建設する場所を確保するという理由で数年前に跡形もなく取り壊されてしまいました(そんなホテルもオリンピックが終われば閑古鳥が鳴くことでしょう)。現在、そこに残っているのは見苦しい巨大な白い仮囲い壁。そこにはスケートボードを持ってショッピングに出掛ける夢想的なイラストが描かれています。しかも、その仮囲いの周りには「スケートボード禁止」のサインが数え切れないほど貼られています。
2020年の東京オリンピックでスケートボードが正式種目としてお披露目されるというのに、このような光景を目にすると侮辱されたような気持ちにならざるを得ません。
スケートボードがオリンピックの正式種目に抜擢されたのは、レオタードに身を包んだ男性が体操をしたり、どれだけ遠く棒を投げられるか、どれだけ速く泳げるか競ったり…そんな光景をミレニアル世代が何時間も観ていられないことが大部分の理由です。さらに、地球上の90%の若者の頭がスマートフォンやインスタグラムで溶けてしまい、集中して観られるのは@drunkpeopledoingthingsなどの15秒の動画くらいというのが現状…。30歳未満の人が静かに腰を落ち着け、50kmの競歩に1時間半も釘付けになるというのは無理な話です。短距離走や長距離走が発案される以前、第1回大会が開催された紀元前776年なら競歩が最もエキサイティングなシットだったでしょうが、現代においてはもっと若者の注意を引くことができる何かが必要というわけです。ケツの穴に何かが刺さったペンギンのようにそこいらをちょこまか進む光景をおもしろいと感じられるのはせいぜい5秒でしょう。次の瞬間、若者はスマートフォンの画面をスワイプし、チャドくんがビールを一気飲みして屋根から飛び降り、着地用クッションをミスって地面に叩きつけられるおもしろ映像を観て笑っているのです。
オリンピックがスケートボードを必要としているのは、今の時代に適応してることを証明し、インスタグラムに相応しい素材を求めているからでしょう。そうして、オリンピックまでの数年間は東京にお金が入ってくるでしょう。その見返りとして、スケートボードというスポーツを活性化させるためにも然るべき公共施設を設けるのが当然だと思いませんか? 北朝鮮の平壌でさえ日本よりも良いスケートパークがあるのですよ?
それに、適切な練習ができるスケートパークなくして、日本人がアサイーやガラナで育ってモンスター級のポップでスイッチテールスライドを決めるブラジル人に勝てるわけないじゃないですか…。
さらに特筆すべきは、スケートボーダーは誰よりもストイックなゴキブリのような存在です。スケートボードを禁止されても絶対に屈することはありません。我々をどこかに閉じ込めたいなら、自由に利用することができる公共スペースを与えるしかありません。少なくとも、そうすれば警察のみなさまも「迷惑をかけることなくできる場所に行け」と言えるわけです。
現代文化を活性化させるべく公共スペースをポジティブな形で活用している例が世界中にたくさん存在します。おかげで街の治安は改善され、観光を通してお金が集まり、現代文化の発信地として注目を集めるようになるのです。
イギリス・サウスバンク:http://llsb.com/theproject/
オーストリア・ランドハウスプラッツ:https://www.dezeen.com/2011/06/02/landhausplatz-by-laac-architekten-and-stiefel-kramer-architecture/
イギリス・ハル:https://kingpinmag.com/features/articles/skate-hull-hull-plans-become-uks-first-skate-city.html
デンマーク・ストリートドーム:https://www.visithaderslev.info/ln-int/haderslev/children/streetdome
オーストラリア・メルボルン:https://www.youtube.com/watch?v=LhTOaai6q8A
東京都議会のみなさま、無料相談を受け付けておりますのでご一報ください。
ローレンス・キーフより
Laurence Keefe
@laurencekeefe
エンゲル係数高すぎスネークスタイルで、世界の秘境をスケボー片手に渡り歩くザ・トラベラー。合言葉は「旅の恥はかき捨て」。ローレンス流、地球の歩き方。