革命家チェ・ゲバラは、ゲリラ戦において一番重要なことは「最後まで生き残ることだ」と言っています。少し大げさかもしれませんが、ストリートにおけるスケートシューティング(※シューティング=撮影)はまさにゲリラ戦と同じではないでしょうか。
では、ストリートシューティングで一番重要なことはなんでしょうか? またスケーターとともに行動するフィルマーの役割とはなんでしょうか。少し距離をおいてストリートシューティングに目を向けてみると非常に肯定しずらい部分が多々見えてきます。まず大きくふたつあります。ひとつは無断で他人の敷地でスケートをすること、もうひとつはグラインドやスライドで建物等を傷つけていることなどです。もちろんストリートスケーターならこの大きなふたつの大罪を正当化する理由を持ち合わせなければいけません。もちろん自分にだけに都合のいい言い訳ではなく、相手を納得させるだけの理由が必要です。
もし本物のストリートスケーターとフィルマーのコンビなら、スケーターが警備員と話している間にフィルマーやフォトグラファーは機材をまとめ、退散の準備をするでしょう。フォトグラファーは特に機材が多い上に、その場所で撮影した証拠を持ち合わせています。だからこそいち早く機材をまとめる必要があります。もしフォトグラファーがアツくなり過ぎて口論に混ざったら、より一層問題が複雑化した時に収集がつかなくなります。フォトグラファーが警備員に尋問を受けた時の言い訳はこうです。「スケートしてたのは彼らです、僕は何もしてません」こういえば警備員は何も言えないはずです。
この他には、車移動でシューティングを行っている場合は、車を少し離れたところに止めるなどの配慮は必要だと思います。もちろん僕たちスケーターは街を傷つけようと思ってスケートをしている訳ではありません。しかし、捉え方次第では苦情や被害届を出されるような悪い印象を与えてしまう場合があります。相手が警備員ならまだしも、もっと危ない人だっているかもしれません。ストリートは思いつかないような魔物が住んでいます。一番大事なことは冷静に対応して、その場を迅速に立ち去ることです。ゲバラと同じように無傷で家に帰ること、そして改めて出直せばいいのです。その場の感情に流されず、一番重要なことは何かをしっかり考えて行動しましょう。トライしているスケーターはアツくなってしまうかもしれませんが、フィルマーやフォトグラファーはつねに冷静である必要があります。
Takuya Nakajima
2002年よりFESNの専属フィルマーとして活動後、現在は都内の医療機関にて理学療法士として勤める傍ら、某デジタル系会社に勤務するMr.魚眼レンズ。