撮影の仕事で久しぶりにDVテープのカメラを使った。スケートとはまったく関係ない撮影で、5本のテープを通しで撮影した。当然の話だけど、取り込みに5時間を要する。HDDカメラでの撮影に慣れている分、取り込みの時間が苦痛でしかたなかった。1時間ごとにテープを変えて、始めまで巻き戻し、リールの名前を設定して取り込み。ノイズでタイムコードが飛んでいてやり直し…。なんてもことも2度ほどあった。しかもテープチェンジの間は録画ができないから、保険で撮影していた定点のHDDカメラ映像を使用。HDDカメラの取り込みは映像を選択してドラック。クリックひとつで朝までにはPCに映像データとしてコピーされている。編集可能なデータに変換する時間はPCの馬力によって違うかもしれないが、兎に角テープより利便性が高いことには間違いない。
アナログ最前線という話ではあるが、DVテープのタイムコードは最後まで切れなければ、00:00:00~01:02:00(約)まで存在することになる。途中で切れてしまうと、また始めからタイムコードが刻まれることになり、タイムコードが切れまくると同じテープに「00:10:20」なんてコードがふたつ、3つ存在することになってしまう。
スケートの撮影ではオンオフをこまめに行うし、アングルチェックで何度も確認するからタイムコードが特に切れやすい。はじめは “タイムコードが切れる”ということをまったく意識していなかった。編集の前段階作業として「タイムコードの書き起こし」という作業がある。テープのどの位置にどんな映像が入っているのか。本当にアナログ的で究極にミニマムな作業だけれど、意外と慣れると時間を忘れる程に没頭できる作業でもある(雨の日なんかはこの作業をするのに最適かもしれない)。この時はこんなこと考えてたな、もっと良いアドバイスできたな、なんて思いながら進めていくと、時には思いもよらなかった掘り出し映像なんかにも出会えることもしばしば。100本以上のテープを作業していると、タイムコードが切れる度に「00:23:33_タイムコード切れ」と備考欄に入れ、00:00:00からまた書き起こしが始まることになる。何度も切れると結局どこにどの映像が入っているかがまったく分からなくなってしまう。この作業を行うと撮影する時にタイムコードが切れると巻き戻してタイムコードをつなげたくなる。テープを撮り終わってタイムコードが01:02:00を越えていると「良し」という気持ちになる。
もっともHDDカメラが主流の今はデータに撮影した日付けも残るし、PC内でフォルダで管理すれば効率的だと思う。でもタイムコードが最後まで続いたテープの書き起こしをやると変な達成感に浸れたりするので、困ったものです(笑)。
Takuya Nakajima
2002年よりFESNの専属フィルマーとして活動後、現在は都内の医療機関にて理学療法士として勤める傍ら、某デジタル系会社に勤務するMr.魚眼レンズ。