Video_A Haters Production
Photos_Junpei Ishikawa
[JAPANESE / ENGLISH]
VHSMAG(以下V): 2016年のPick Upが初パートだったんだよね? 当時はどんな感じで動いてたの?
有馬昂希(以下K): あれはOursの店長のホンちゃん(本多聡宏)とずっと動いて形になったパートですね。その年にワーキングホリデーでカナダに行くことになってたんです。だからその前に名刺代わりみたいな感じで横須賀で撮ったパートを作ろうってなって。その前の年にOursのライダーになったんで、そういうタイミングも重なってパートを撮るようになりました。
V: 当時と比べて今回のパートで変わったと思うことは? パンツのサイズ以外で(笑)。
K: (笑)。やっぱ当時と比べると対応力がついたかなと。身体もだいぶ張れるようになったと思います。
V: 当時は完全に横須賀が拠点だったけど、今は横須賀と東京の半々を拠点に活動してるんだよね?
K: そうですね。東京でパートを撮るって昨年から決めてたんで。だから今年はそれだけに集中した感じでした。東京が拠点だといつでも動けるのが調子いいですね。横須賀から東京まで片道1時間半かかるし交通費もそれなりにかかるけど、東京にいると2日に1回は撮影に出られるし。10分とかでフィルマーと合流できるから。だから動くには最高です。
V: 今年はマジで動きまくってたよね。東京でパートを撮るっていう明確な目標が最初からあったんだね。
K: とりあえず手の届きそうな目標をしっかりこなしてるって感じです。東京には住めないかな…と思うこともありますけど、それ以上にやるべきことがあったっていうか。そんな感じで今年は動いてました。
V: ここ数年の横須賀スケーターの勢いはすさまじいね。
K: 今は超ヤバいと思いますね。(本郷)真太郎と真輝、守重琳央もいるし。
V: 横須賀のスケーターが都内のスポットをやっつけまくってる印象があるもんね。
K: 他のみんなはどう思ってるかわからないですけど、東京で一発勝負しなきゃなって思ってたんです。それで真太郎がVHSMAGのKEとずっと動いてたっていうのもあって、そこから自分も撮影に力を入れるようになりました。
V: 今回のパートを作ることになったきっかけは?
K: パートを作る前からKEとずっと動いてたんですよ。それでちょくちょく映像を撮ってもらってたんですけど、動けば結構撮れるなって思って。それで新型コロナで緊急事態宣言になったタイミングでパートを撮ることになりました。3月の終わりか4月の頭とか。それが始まりですね。
V: ということはパート完成まで1年もかけてないんだね。マジで動きまくったって感じだ。
K: 8ヵ月くらいですかね。しかも新型コロナの影響で人が少なかったんで4月と5月は夜オンリーのスポットも昼間に攻めることができました。
V: 今回の撮影期間中によく観たパートとかはあった?
K: 全然スケートスタイルは違うかもしれないですけど、海外だとルイ・ロペスとメイソン・シルヴァのパート。あと日本だと真太郎、(佐川)海斗、ネギソラ(根岸 空)、座間(翔吾)ちゃんのVHSMAGのパートを頻繁に観てました。それでスポットのイメージをしたりとか。
V: ストリートで動いてるといろんなことが起きると思うけど、今回の撮影で印象的だった出来事は?
K: 新宿のハンドレールで撮影したときに若い子が結構いたんですけど、気にせず撮ってたんですよ。それでメイクして「よかった〜」みたいな感じで携帯を見たら「さっき撮影してるのを見かけました。がんばってください」ってDMが来てて。それは上がりましたね。こういうことあるんだって(笑)。
V: いいね。動けば動くほどそういう出来事が増えそう。では逆に大変だったことは?
K: 東京はキックアウトが早いですね。基本的に人の目も冷たかったし(笑)。だからずっと忍者みたいな感じでスキを見ながら動いてました。だから大した問題にも遭わずに済みました。KEの動きが神レベルなんで(笑)。いや、本当すごいんですよ。曜日と時間帯でスポットを選んでくれるんで。KEのおかげですね(笑)。
V: ではパートに取り組む際に心がけたことは?
K: 当たり前のこととは思うんですけど、自分ができることの限界ぎりぎりまで追い込みました。自分自身に甘えないようにしようとは思ってました。
V: それでも撮れなかったトリックはあった?
K: ひとつだけあったんですよ。そのスポットには2回通ったんですけど、警備員が走ってきてレジで使うようなバーコードのスキャナーみたいなものを顔に近づけてきて「ピッ」ってやられたんですよ。何だかよくわからないですけど…顔をスキャンされたのかな。あれは何だったんだろう…みたいな。だから3回目は怖くて行けないんですよ。あれは勘ぐりましたね(笑)。
V: 今回のパートではかなりでかいスポットを攻めてたけど、毎回どんな感じで撮影に臨んでるの?
K: 行くスポットは撮影の当日に決めたいんですよ。普通のスポットなら前日に決めても平気なんですけど、でかいスポットに行くときはその日の流れとか感じで決めないと緊張して前日に寝れなかったりするんで(笑)。緊張してスポットに着いたらステアが超でかく感じて、スラムするのが怖くて打てないことも結構あるんで…。もちろん日比谷のステアとかそういうでかい場所はやりたいスポットのリストに入ってるんですけど、当日のノリで行ったほうが調子いいですね。
V: 思い入れの強いトリックは? やっぱり日比谷のインポッシブルのテールグラブ?
K: あれは結構ヤバかったですね。1時間以上やったのかな…。キックアウトも2、3回来たんですよ。でも別日にリベンジは絶対にできないと思ってたんで。体力的にも精神的にも別日に持ち越したらダメというか。マジでボロボロだったんですけど…最後の最後でメイクして血尿が出たっすね。
V: 血尿(笑)!?
K: 血尿が出て…。メイクして「うおおおおお!」ってなって、オシッコしたら自分の尿が見えなくて。「えっ?」って感じでライトで照らしたら黒くて…。半日くらい血尿が続きました。めっちゃビビったっすね。
V: 特に股間を打ったとかじゃなくて?
K: なんか着地で地面に転がる瞬間に腎臓とかかが傷つくらしくて。それの血っぽいですよ。あのスポットは二度とやりたくないです(笑)。
V: でもバトルに打ち勝った証だね。精神力の賜物。途中で心が折れそうにならなかったの?
K: いや、もう折れてました。ほぼ泣きながらやってた感じです(笑)。でもやんなきゃみたいな。絶対にこの映像がほしいって思ってたんで。やっぱりこういう映像がないとパートが締まらないと思ったんですよ。でも相当イヤだったっすね、あれは。
V: でも心が折れて、よくそこから持ち直せたね。
K: そういうときに考えることがあるんですよ。やめたところで悔しさしか残らないって。やらないで後悔するよりやって後悔するほうがいいじゃないですか。でもあれは完全に修行でした(笑)。
V: 他に思い入れのあるトリックは?
K: ギャップオーバーのレール越えのハーフキャブフリップ。1年くらい前にBsフリップはしてたんですけど、それが結構ギリギリだったからそれ以上のトリックはできないと思ってたんですよ。でも高山レオくんとふたりで撮影してたときに「フェイキーで叩いたらヤバい」ってなって、何回かトライしたらいきなり乗れたんですよ。今回のパートで唯一の奇跡がそれですね。
V: では今回の撮影を通して身についたこととか学んだことは?
K: 周りを見るようになったことですね。何か言ってきそうな人を見極めるスキルみたいな。KEから完全に盗んでるっすね(笑)。忍者スキルが身についたと思います。
V: 個人的にパートの見どころは?
K: 今回はできることをほとんどやったんですよ。ウォール、ポーリー、クイック、ハンマー。あとみんなが知ってるようなスポットでもいいのを出せたと思います。新しい一面を見せることができたと思うんでそういうところも面白いかなと思います。
V: バトルの連続だったと思うけど、パートが完成した今の率直な心境は?
K: 正直言うとちょっと寂しいんですよね。やりきった感はあるんですけど…明日からでもすぐに動きたいですね。
V: では今後の予定は?
K: この後すぐに映像を撮り始めるんで、春くらいにはまとまった映像をもうひとつ出せるかなって思ってます。これからいろんな意味でいい感じになっていくと思うんで楽しみです。
V: さっきパートが完成して「寂しい。明日からでも動き出したい」って言ってたけど、そのモチベーションはどこから来てるの?
K: いや、もうスケートしかできないんで…。もう24歳だからスケーターとしてベストな時間がどれだけあるかわからないんで「やるしかないっしょ!」って。いけるところまでいくしかないですね。
Kouki Arima
@kouki__arima
Date of birth :
October 2, 1996
Blood type :
B
Birthplace :
Yokosuka, Kanagawa