今年で13年目を迎えるGRAVISの歩みは、革新と挑戦の歴史であった。ブランド設立当初にはシューズ市場に
これまで存在しなかった「ライフスタイル」というコンセプトのシーンを作り上げ、最近では誰も挑戦しなかった
ドレスシューズをスケートシューズに変貌させた。そんなGRAVISの歴史をもう一度おさらいしたい。
1998年、スノーボードブランドBurtonのライフスタイルブランドとして派生したGRAVIS。「アフターライディングシューズ」というコンセプトを打ち出し、スノーボーダーをメインターゲットにブランドを展開。'00年にはストリートのアイコン的存在となり人気が爆発。スニーカー市場を席巻した。
GRAVISは'07年、Burton本社のあるバーリントンから西海岸のアーバインへ拠点を移動。同時に慣れ親しんだブランドカラーとロゴをブルーに一新、約10年間継続してきたイメージのチェンジを敢行。つねに新しいアイデアを求めているGRAVISの柔軟性が、ボードスポーツのメッカである西海岸への拠点の大移動を決定したのだ。
10年も経つと、'98年当時ファンだったユーザーも当然のごとく年をとりライフスタイルも変化する。それは、供給側であるブランドスタッフも同様である。ユーザーとともに年を重ね成長しブランドも成熟してきたのである。近年GRAVISがリリースするアイテムは洗練され、プレミアムを前面に打ち出した多くのアイテムが人気を博していた。しかしながら、ストリートカルチャーの衰退とともに、若年層からの支持、アプローチも薄れていたのは否めない事実である。そこで、アメリカのスニーカーマーケットで圧倒的なシェアを誇るスケートシューズのプロジェクトが浮上したのである。
そこでスケートへのアプローチを'08年7月に発表するとともに、GRAVISが放つスケートプロジェクト「GRAVIS Skateboarding」が始動する。同時にGRAVIS本体もロゴを一新。GRAVIS IVとGRAVIS Skateboarding、このふたつのコレクションが、より広いブランドの世界観を打ち出すこととなる。
第1弾のシグネチャーモデル、The Viking Hi LXを発表するアート・サーリ。1年以上の歳月を費やし、最高級かつ本格仕様モデルを完成させた。また、チームライダーの一翼を担うディラン・リーダーはモデルもこなす端正なルックスからそのイメージピッタリのシグネーチャーを発表。ラグジュアリーなドレスシューズを見事にスケートシューズに作り変えた。このモデルを実現したデザインと技術力、そして柔軟性はGRAVISならではだろう。
10年前に誕生し、ストリートで話題となったブランドが今いったいいくつ存在しているのだろう? 今後もGRAVISは間違いなく要注目である。
持ち前の洗練されたルックスと媚びることのないアティチュード、そして確実なスケートスキルで時代の寵児となったディラン・リーダー。GRAVISからは自身がディレクションを努めるDYLAN LIFESTYLE COLLECTIONもリリース。今、もっとも目の離せないスケーターである。
VHSMAG(以下V) GRAVISに加入したきっかけを教えてください。
ディラン・リーダー(以下D) まずマーク・オブロウとアート・サーリからGRAVISのスケートラインを再始動させるから参加してくれと誘われたんだ。それで今に至る感じだね。
V ではGRAVISの印象を教えてください。
D GRAVISに加入するまでブランドの知識はあまりなかった。どちらかというと、スケートシューズブランドというよりは、ライフスタイル重視のシューズブランドというイメージのほうが強かった。現在のGRAVISに関しては、オブロウとアートのクリエイティビティとオレのライフスタイルが形になったブランドだ。GRAVISはオレたちが思うスケートシューズブランドの在り方を体現するブランドなんだよ。
V 自身のDylan Lifestyle Collectionのコンセプトついて聞かせてください。
D 誰でもそうだけど、着るものに対しては心地良さを求めるものだ。だからそれがコンセプトだね。
V ショートビデオ『Dylan.』について。Alien Workshop『Mind Field』のパートに満足できなかったのがこのビデオをリリースした理由だと聞きました。グレッグ・ハントとの撮影秘話と『Dylan.』を撮影した目的・目標について聞かせてください。
D 特に裏話なんてない。グレッグ・ハントと一緒にAnalogのビデオを撮っていて、映像がたまったから他のプロジェクトでそれを使うことになったんだ。そうして『Dylan.』が実現したんだ。プレッシャーなんてなく、納得がいく映像がたまった段階で自然とあのパートをリリースした感じだね。
V GRAVIS製品の一番いいところは何ですか?
D カラーウェイ、クオリティとスタイルの全部。すべてが素晴らしい。GRAVISのスケートラインはオレたちのアイデアやオレたち自身を投影させたモノなんだ。オレにとってGRAVISはスケートアイテムやスケートシューズの未来形。これ以上のモノはないと思う。
V ディランは他のスケーターとは一味違ったファッションで知られていますが、影響を受ける人はいますか?
D オレが影響を受けるのは、人生、音楽、上質なコットン、よくできた洋服だ。また高品質のプロダクト、洋服、シューズなどを作ること自体にもインスパイアされる。日々の生活、仲間、そしてオレの女もそうだね。
V では最後に普段のファッションで心がけている点を教えてください。
D オレは一度気に入ったTシャツを手に入れると、ボロボロになって着られないようになるまで、何も残らなくなるまで着続ける男だ。オレはボロボロの服が好きなだけだよ。
カリフォルニア州ガーデングローブ出身、ロサンゼルス在住。幼少期からオレンジカウンティのスケートパークに通い詰め、いまやスケートシーンを代表するスケーターへと成長を遂げる。
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ハンドレールやステアなどといったビッグトリックで、スケート史にその名を刻んだアート・サーリ。GRAVISからシグネチャーシューズをリリースし、ブランドのディレクションにも深く携わっている。GRAVISの魅力や最近ハマっているという写真についても聞くことができた。
VHSMAG(以下V) GRAVISに加入したのはいつのことですか?
アート・サーリ(以下A) GRAVISがスケートシューズのラインを本格的に始動した5年前にチームに加入して、チームマネージャー兼フォトグラファーのマーク・オブロウと出会ったんだ。
V GRAVISの印象を教えてください。
A GRAVISはもともと素晴らしいシューズをリリースしていて、スケートインダストリーで成功できる大きなポテンシャルを持っていたけど、本格的なスケートシューズは製造していなかった。今は最高のスケートシューズを製造しているから、今後が楽しみだね。
V あなたにとってGRAVISとは何ですか?
A スタイル、エレガンス、そして素晴らしいスケートシューズブランド。
V GRAVISが他のシューズブランドと一線を画すところは何だと思いますか?
A GRAVISは他のシューズカンパニーとくらべてチームが小さくてタイトだから、お互いをしっかりとケアすることができる。シューズのシルエットやクオリティも他のシューズブランドとの違いだね。また厳選されたチーム構成とブランドに関わる素晴らしい人材がGRAVISの魅力だよ。
V アートのシグネチャーシューズの特徴について教えてください。
A オレのニューシューズ、Arto Midはきれいなシルエットのミッドカットで、シューズを保護するためにオールドスクールなオーリーパッドを採用している。また前作よりグリップをよくするためにソールを改良した。いいシューズに仕上がったからワクワクするね。
V アートはフィンランド出身ですが、アメリカで名が売れるようになるまでにどのような苦労や葛藤を経験しましたか?
A ただスケートをしていただけだから、苦労や葛藤と呼べるようなことはなかったと思う。今まで本当にいろんな経験を積むことができて、この先もスケートを続けられるように身体が持ちこたえてくれることを願うよ。
V スケートは過去にさまざまな流行やフェーズを通り抜けてきました。アートがプールをスケートしている映像や写真を最近よくみますが、今後のスケートはどのように変わっていくと思いますか?
A 昔の時代のように、今のスケートはまたオールラウンドになっていっているように思う。ただのバーティカルスケーターやストリートスケーターという偏ったスケーターではなく、何にでも対応できるスケーターがもっと増えると思う。それがスケートに対する最適のアプローチだよ。
V スケート以外では写真を撮っているようですが、写真の何に惹かれますか? どのようなものを撮るのが好きですか?
A 写真にはスケートや旅を通して出会った。今では自然とつねにカメラを携帯しているし、写真を撮ることはスケートと同じようにワクワクさせてくれる。いい写真が撮れると、最高のトリックをメイクしたときにようにうれしさが数日続くものだよ。旅に出てスケートを撮るのも好きだし、最近はポートレートや風景も撮るようになったね。
V 最近の活動内容と今後の予定は?
A 現在、予定されている大きなプロジェクトはLAで開催されるフォトショーと、近い将来に予定されているGRAVISのビデオパートだね。
V 最後にメッセージを。
A スケートへの情熱を絶やすことなくスケートをするために生き、生きるためにスケートをしろ。
フィンランド出身、カリフォルニア州ロサンゼルス在住。'01年にThrasherのスケーター・オブ・ザ・イヤーに輝き、現在はGRAVISやAnalogのキーマンとして活躍する。
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現在、もっとも注目を浴びるストリートスケーターを挙げるとすれば、この人を外すことはできないだろう。大都市ニューヨークで培った、都会のストリートで生き抜く知恵やイーストコーストのプライド。ニューヨークを代表するスケーター、ジェイク・ジョンソンに話を聞く。
VHSMAG(以下V) まずGRAVIS Footwearに加入した経緯を教えてください。
ジェイク・ジョンソン(以下J) '08年にAlien Workshopの『Mind Field』の撮影で各地をチームと一緒に回っていたんだ。当時はディラン(・リーダー)とLAにあるAlienのスケートハウスに住んでいて、グレッグ・ハントと撮影をしていた。同年の夏にディランとアート(・サーリ)がGRAVISのスケートチームを立ち上げて、オレも一緒にツアーに出るようになった。ヨーロッパツアーにも誘われたよ。そのときに他のチームメンバーとも仲良くなった。そうやってGRAVISのチームに参加するようになったんだ。
V GRAVISに加入する前と後でブランドに対する印象は変わりましたか?
J 長続きはしなかったけど、GRAVISにかつてスケートチームがあったことは知っていた。でも加入してからは、アート、ディラン、ハヴィエル(・メンディザバル)やスティーブ(・フォスナー)といった新生GRAVISと一緒にツアーに回ってスケートするうちに、ブランドが打ち出すイメージが少しずつ理解できた。そして国境のないグローバルなチームや最高品質でシンプルなシューズに惹かれた。GRAVISのブランドイメージがライダーの滑りによって形成されているところが最高だね。
V GRAVISが他のシューズブランドと一線を画すところは何だと思いますか?
J それはGRAVISがライダーの意見をしっかりと取り入れるところだよ。ブランドのデザインやイノヴェーションの多くがライダーの意見から取り入れたもので、たとえそれが今までにない奇抜なアイデアだとしても、ライダーがいいと思えば臆することなく取り入れる。チームライダーは厳選されていて少人数で構成されているから、僕らがプロダクトのクオリティを管理することができる。他のシューズカンパニーは大企業だったり、長く複雑な歴史があったりするからライダーを中心としたブランディングが難しいと思うんだ。
V GRAVISのお気に入りのシューズのモデルは何ですか? その理由は?
J Viking 1のハイカットとローカット両方だね。もう製造されていないけど、まだ履いているよ。足をしっかりと保護してくれるし、頑丈なんだ。現在リリースされているシューズの中ではArto LXが気に入っている。まったく壊れないしシルエットも最高。ヴァルカナイズドソールも少し分厚いんだ。
V ジェイクはRawな都市型ストリートスケートで知られていますが、NYCのストリートでスケートしていて出くわしたクレイジーな出来事を教えてください。
J NYCのような大都市は人やイベントであふれかえっている。だから1日ストリートでスケートをしていると、異様で、危険で、愉快な出来事に確実に出くわす。スケーターは良くも悪くも歩行者の視線を浴びるだろう? NYCでは何が起きても不思議じゃないよ。
V カリフォルニアではなくイーストコーストのスケーターが名を広めるためにもっとも大切なことは何ですか? イーストコーストにいることの良いところ、悪いところは?
J どこを拠点にしていても、名を広めるために大切なことはまず地元で自分の地位を確立させることだよ。ネットが普及した今は情報がすぐに広まるから、仲間と一緒によりよいスポットで映像を撮りだめることも大切だね。でも口コミに勝るものはないと思う。地元で名が広まれば自然と外にだって響いていく。ローカルビデオで新たな才能が発掘されるのはいいことだし、見たことのないスポットが拝めるのも最高だね。
南カリフォルニアにはスケートインダストリーが集中していて、スケートやサーフィンのメンタリティが根づいているからスキルを磨くにはいいだろうね。環境はすべて揃っているし、プロと出会う機会が多いことでスポンサーもゲットしやすい。でもそれはスケートの本質を見失いやすくしているという悪い面でもある。スケートパークでしか滑らなかったり、カメラが回っていなければ滑らなかったりするプロだっている。オレにとってスケートの魅力は、地形や環境をスケートに適応させるというスケーター特有の能力なんだ。南カリフォルニア以外のスケーターは、大抵周りにスケートショップを経営するアツい人や、本当にスケートが好きなクルーがいるんだと思う。もしスキルが高くて、スケートの本質を見失っていなければ、誰にだってチャンスはあると思う。拠点にする場所のハンデなんて気にすることはない。まずは地元で精一杯がんばるのが一番だよ。
V '90年代半ばと比べてNYのストリートスケートが少し落ち着いてしまったように感じます。最近NYにスケートパークが増えていますが、そのことがストリートスケートに与える影響はありますか?
J NYにスケートパークが増えて思うことは、若い世代が育っているということ。環境が整ったおかげでNYのスケーターは成長が速くなったね。でもやっぱりトリックはストリートで覚えて、毎日のようにスケートパークに行くのはおすすめしないけどね。でもパークで鍛えたスキルをストリートで発揮してフッテージを残しているキッズもいるからいいのかも。'90年代のNYのシーンはもっとアンダーグラウンドで、当時はそれにプライドを持っていたんだと思う。
V スケートパークでも滑るとは思いますが、ストリートにこだわる理由は? あなたにとってストリートスケートの魅力とは何ですか?
J もちろんスケートパークでも滑るよ。でもオレにとってスケートの魅力は、ストリートで繰り広げられることや、街に点在する建造物で時間を費やしたことによって生まれる考え方なんだ。ストリートではオレらを嫌う歩行者、警察、警備員といった、スケーターとは違った文化に生きる人たちと出くわす。ストリートではそういった人たちをどう対処するかといった方法も学ぶことができ、それは今後の人生にも役立つことになると思うんだ。
ペンシルヴァニア州出身、ニューヨーク在住。長身を活かしたバネで、常人のレベルを遥かに超える高さのスポットアプローチに定評がある。大都市ニューヨークが育んだ生粋のストリートスケーター。
スポンサーはGravis、Alien Workshop、Quiksilver、Destructo、Autumn
スケートシーンはもとより、いまやファッションシーンにも大きな影響力を持つディラン・リーダーのライフスタイルをコンセプトにしたスペシャルラインがGRAVISとその兄弟ブランドであるANALOG CLOTHINGからリリース中。ディランの高いファッションセンスを感じ取ってほしい。
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