個人的に大好きなHip-Hopトリオ、De La Soul。9thアルバムとなった『And the Anonymous Nobody...』がグラミーの最優秀ラップアルバム賞に輝いたのも記憶に新しいですが、彼らのデビューアルバム『3 Feet High and Rising』が今月でちょうどリリース30周年を迎えました。同アルバムに収録された曲はスケートビデオでも使用されているため、特にHip-Hopが好きじゃなくても一度は耳にしたことがあるというスケーターも少なくないと思います(Mizunoからリリースされた江川芳文のシグネチャーモデルの名前もThree Feet High)。
ただ、30周年ということで手放しに「めでたい!」と言えない事情があるようです。というのも、本作に使用されたサンプリングが訴訟問題に発展し、当時所属していたTommy Boyと対立関係がずっと続いているのです(本来レーベルが著作権をクリアするはずが何もしなかったとのこと)。このサンプリング問題がなかなか解決されないため、これまで同アルバムは一度もデジタルで配信・販売されたことがありません。つまり、デジタル社会の現代でDe La Soulがこのアルバムから得られる収益はほぼ皆無ということ。
しかし先月、Tommy Boyが同作のデジタル配信を解禁すると発表。しかし、その契約条件は収益の90%がレベールに、De La Soulにはわずか10%しか入らないという衝撃的な内容。それに納得できるはずもなくデジタル解禁は延期。このようなアーティストに対する冒涜にNasやThe RootsのQuestloveが立ち上がり、Tommy Boyをボイコットしようという運動にまで発展しています。
このような大人の事情に振り回されることなく、名盤のリリース30年周年を気持ちよく祝福したいものです。ということで、同アルバムに収録された曲をいくつかご紹介。ちなみに今年はPete RockとDJ Premierがプロデュースする新作のリリースが控えているとのこと。デビューアルバムを振り返りながら、新作の発表を首を長くして待ちたいと思います。
--MK
https://www.youtube.com/watch?v=sj3MU97pgCY