今一番観たいドキュメンタリーを発見。シネイド・オコナーの半生を描いた『Nothing Compares』。
この人は'90年に“Nothing Compares 2 U”というヒット曲を送り出したアイルランド人シンガーソングライター。アイドルではなくアーティスト性で勝負するために頭を丸めたその容姿でも注目を集めた歌姫だと認識しています。そしてスキャンダラスな事件を起こし全米を騒がせた人。
その事件とは'92年に生中継された『サタデーナイトライブ』でのパフォーマンス。ボブ・マーリーの『War』をアカペラで披露した後、ローマ教皇の写真をカメラの前に掲げて破り捨て、「真の敵と戦え」と言い放ったのです。当時はローマカトリックの聖職者による児童虐待が取りだたされた時期。自身も幼少期に修道院に送られ悪夢のような日々を過ごした経験があるだけに、戦う決意をしたとのこと。
もちろんそれをきっかけに彼女のキャリアはメインストリームの世界から「キャンセル」されることに。事件の2週間後にボブ・ディランのデビュー30周年ライブに参加した際にも同じ『War』を披露し、18000人の観客から大ブーイングを浴びることとなりました。本ドキュメンタリーのトレーラーの冒頭のシーンがそれなのですが、そのときの彼女の冷静でありながらも悲しげな眼差しが印象的。
そんな壮絶なキャリアの持ち主の半生を描いた作品なのだから観るしかない。さまざまな賞にも輝いているそうなので、本当に楽しみです。
--MK