Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
HIROKI MURAOKA

現在もっとも乗れている日本人スケーターのひとり。スケートのスキルに加え、ペインターとしても非凡な才能を持つ。

第5回 : スケボーとアート

 みなさま、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。   
 ということで、今回は2012年一発目、初仕事の話をしようと思います。
 新年早々スケートの最新情報が欲しく、VHSMAGをチェックした人も少なくないかと思います。そんなみなさんはお気づきだと思いますが、年明けの数日間サイトのトップ画面に僕の手がけたアートワークが使われていました。コラージュ作品でスケボーを持っている手を描いたものです。画材は画用紙にジェッソ、アクリル絵の具、それにVHSMAGにて掲載済みの素材をプリントアウトした紙。この紙を切り、そして貼り、コラージュ作品を作りました。
 実はこの作品、VHSMAGに登場する少し前に、スケートカルチャー誌のSLIDERの最新号(Vol. 9)に掲載されていますので、そちらもチェックしてみてください。
 今回の仕事の話を頂いたのは昨年の年末。VHSMAGから連絡があり「VHSMAGの広告用にアートワークを提供して欲しい」というものだった。
 もちろん僕はふたつ返事で「OK」と答え、制作作業に取り掛かった。作業といっても始めの方は、どんな作品を作ろうかとイメージを膨らませているだけで、実際に制作を始めたのは数日後のことだが…。取り掛かったらそんなに時間は掛からず、すんなりと進行できた。イメージを実際に形にして出来上がり。個人的にはトータルで見て、良い出来栄えだと思っています。
 出来上がった作品をVHSMAGの編集部に入稿しに行き、VHSMAGのアートディレクターのハマちゃんにデザインを仕上げてもらって、あのような形で完成して掲載に至りました。
 このように、仕事としてアートワークを任せてもらえるのは、本当にありがたいと思っています。自分もアーティストとしてそれなりの活動をしていて、今では小さいながらも個展やグループ展に作品を出したり、ライブペイントしたりで作品を見てもらう機会が増えました。自分が手がけた作品に、目を通してもらうだけでとてもうれしいことなのに、中には購入してくれるファンの方もいたりして、作り手としては感無量です。どうやらスケーターとしての村岡洋樹としても、それなりに名前を覚えてもらえるようになりましたが、実は物心ついたときにはもう絵を描き始めていました。スケボーに夢中になるより先に、絵を描くことに夢中だったのです。独学ではありますが、それなりに勉強もし、デッサンなどにも挑戦してきました。

 スケートボードとアート。このふたつには大きな共通点があるように感じてなりません。それが具体的になんなのかは、一言で表すことを今は出来ませんが、これからもずっとスケートボードに乗り続けながら、絵を描き続けて行きたいと思っています。夢を追いかけながら。

 最後に漫画家の手塚治虫先生の言葉を引用させて頂きます。

みなさん
夢はふたつ以上持ってください
僕も漫画家と医者という
ふたつの夢を持っていました
夢がひとつしかないと
その夢が破れた時挫折してしまう
でもふたつ以上夢があれば
そうはならないでしょ

 テールを叩くのが怖い時「もし大怪我してスケボーできなくなっても、絵を描けばいいや」と自分に言い聞かせることがあります。そうやって自分の行動を納得させることで、新しい一歩が踏み出せることもあります。
 僕の中でスケートボードとアートは、かけがえのない大切なモノです。

 

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