KENTO YOSHIOKA / 吉岡賢人

ストリートを席巻するapple首謀者にして、
日本スケート界のマッドサイエンティスト。
奇想天外な滑りの戦闘力は測定不能。
「カカロットかぁ!!」

Filmed by Kenya Koto / Edited by RESUNCE / Interview by VHSMAG / Photos by Iseki

Filmed by Kenya Koto
Edited by RESUNCE
Interview by VHSMAG
Photos by Iseki

[JAPANESE / ENGLISH]

VHSMAG(以下V): まず、いわゆる王道というか正当派ではない少しひねくれたスケートスタイルに至った経緯は?

吉岡賢人(以下K): 昔は堀米雄斗くんのような正当派なスタイルのトリックも練習してたんですけど、やっぱその方向性で目立つのは難しいなと思って。もともとユニークなスタイルも好きだったんです。HeroinとかWelcomeとかのビデオもチェックしていましたし。最初は「こういうのもいいな」と思って遊びでやってたんですけど、周りから面白いと言われるようになったこともあって、この方向性のほうが目立てると思いました。それが今のスタイルになった経緯です。

V: 影響を受けたスケーターは?

K: 弓山真吾くんとか……あとはそうですね……Shake Junziとか(笑)。古いスケーターも好きです。マーク・ゴンザレスもそうですし、ジェイソン・アダムスとか。そういうスケーターが好きです。

V: 理想のスケートスタイルは?

K: 普通のスポットで誰もやっていない使い方をするヤツとか。あとは見たことのないトリックをやっているヤツとかですかね。

V: 愛媛の出身だけど、東京に出てきたのはいつだったっけ?

K: 中学を卒業したときだから15歳の頃です。今年で3年目です。

V: 東京に来てどう?

K: スケーターがめちゃくちゃ多いから、いろいろ繋がって面白いことができたりとか。愛媛じゃあり得ないことがたくさんありますね。

フィルマーがいないというのを言い訳にしたくないんで「自分たちでやろうぜ」って

V: たとえばappleの結成もそうだよね。そもそもappleって何なの?

K: 東京の友達はスケートが上手いヤツが多いんで「せっかくだからみんなで映像を撮って何か面白いことをしたいな」みたいな。そうして始まったのがappleです。フィルマーがいないというのを言い訳にしたくないんで「自分たちでやろうぜ」って。みんなでiPhoneで撮り合っていい映像を作ろうといった感じです。

V: みんなでいろんな場所に行って撮影しているよね。これまで行ったのはどこ?

K: appleで行ったのは大阪、福岡、名古屋です。これから広島や岡山に行く予定です。夏になったら仙台とか東北のほうも攻めたいですね。

V: 同世代の仲間と旅したらそれなりのカオスがあるでしょ? シェアできる範囲で教えて。

K: そうですね(笑)。まあ、名古屋での出来事ですかね。appleはいつも15人くらいでつねにプッシュで動きまくってスポットがあればヒットするという感じなんです。それでとあるスポットで滑っていたらパトカーが来たんです。appleのルールは「警察が来たら逃げる」。逃げなくても大丈夫と思うときでもとりあえず逃げる。それでみんなで逃げたんですけど、ライトを持ってくれていたひとりが捕まっちゃって(笑)。それで逃げた先で電話がかかってきて…出たら警察だったんです。「全員戻って来ないとそいつを解放しない」って言われて…。迷ったんですけど、名古屋だし放っておけないということで全員で戻りました。そうしたら1時間くらい「友達を見捨てるな」って説教を食らいました(笑)。その他にも結構いろんなことがあります(笑)。

V: スケートしたことを怒るんじゃなくて友達を見捨てることに怒ったのね。いいお巡りさんだ(笑)。appleの他にもPokettPatrolという動画も作ってるよね。

K: 何十人の仲間と動くappleのワヤな感じのツアーが好きなんですよ。毎回そんなツアーを楽しみにしているんですけど、東京でもやりたいと思って始めたのがPokettPatrolです。appleのみんなでやるとappleになっちゃうんで、せっかくなら新しいことをやりたいな、と。それでapple の面子も出つつ、もっと幅の広いいろんな友達を出せたらと思いました。それをきっかけに有名になるヤツが出ればアツいと思ったんですよ。今はバンタンに通っているんですけど、そこの同級生でがんばっているスケーターも大勢いるんですよ。そんなヤツらもappleの豪華な面子と一緒に撮影できればいい刺激になると思いますし。そういうこともあって、あまり表に出られないヤツらをガンガン出したい、みたいな(笑)。日本はアメリカと比べて映像が少ないと思うんですよ。だから日本も最低でも月に1回くらいストリートで撮った映像を出すヤツがいれば盛り上がるのかな、と思ったりして。そういった感じで始めました。

スケート科が攻めすぎて悪い噂が広まっちゃって。今はスケート科は嫌われています(笑)

V: そういえば同級生の話が出たけど、バンタンのスケートボード科に通っているんだよね? バンタンはどう?

K: バンタンはめっちゃ面白いです。みんなスケートが上手くなるスピードがハンパじゃなく早いです。スケートの授業は週に2回あるんですけど、それ以外でもみんなで一緒に滑りに行ったりしています。みんな仲良いですね。スケート科だけ辞めるヤツがいないんですよ。他の科は2、3人辞めるヤツがいるんですけど、スケート科だけは団結力が強すぎて、スケートが好きすぎて誰も辞めないんですよ。最高っす(笑)。

V: 全員男子?

K: 全員男子っす。

V: じゃあ、男子校みたいなもんだね。

K: でも、スケート科以外はほぼ女子なんですよね。

V: じゃあ、映像編集、デザイン、英語とかスケート以外の授業で女子と絡むこともあるってこと?

K: それはないんですよ。でも校内で会うことはあります。

V: 男子が圧倒的に少ないなら最高なんじゃないの?

K: そうすね(笑)。スケート科しか男がいないから……ほかの科の女子が「スケート科のあの子どうなの?」とか(笑)。

V: 何それ(笑)。

K: いや、一時はそんな感じになっていたんですけど、この1年でスケート科が攻めすぎて悪い噂が広まっちゃって。今はスケート科は嫌われています(笑)。「あいつスケート科でしょ? ダメっしょ」みたいな感じになっています。

V: でも入学した頃からメディアに出ていたからモテたんじゃないの?

K: ぶっちゃけクソモテたっすね(笑)。毎日のように女子から連絡先を聞かれていましたね(笑)。でも今はかなり嫌われてるらしいです。マジで暴れすぎました。スケート科はみんな仲がいいから超うるさいんですよ。だから文化祭とか行事ごとにはスケート科だけ呼ばれないんですよね(笑)。スケート科は反省文とかしょっちゅう書いてますから。それで文章が上手くなったりして(笑)。

V: でも誰も脱落者が出ないのはすごいね。

K: そうですね。最初の頃はスケートがあまり上手くなくて来なくなった同級生もいたんですけど、みんなで迎えに行ったりして盛り上げたら、今はステアをガンガン飛べるまで上達して……。やっぱスケート科は団結力が強いです。誰も辞めないから先生も「仲良いからいいか」みたいな感じになっているのかもしれないです。バンタンには感謝していますね。

V: 青春真っ只中だね。話は変わるけど、USのTWSからオンラインパートが出るって聞いたけど? それはどういう経緯で実現することになったの?

K: 一昨年にNYに行ったときにTWSと繋がっているフィルマーと知り合ったのがきっかけです。そのときにそのフィルマーと撮影した映像がモンタージュの一部として前にTWSで公開されたんですよ。それで去年の10月頃にまたNYに行って、3週間ほど滞在して2分半くらいフッテージが撮れて。動きまくりましたね。ソロパートのつもりで撮っていたんですけど、帰国してからフィルマーに連絡するとまた前回みたいにモンタージュに組み込まれると言われて……。だから絶対にイヤだって言いまくったら「じゃあ、もっと撮るからもう一度NYに来てくれ」と言われました。だから、これからまだもう少し撮影をする予定です。結構いいのが撮れているんで楽しみです。

V: では今回のパートについて。撮影期間は?

K: 1年くらいですね。でもこのパートのために撮っていたというわけじゃなくて、使いみちを決めずにつねに撮りためていたんです。それが今回のFeatureパートになった感じです。今もずっと週2、3日くらいのペースで撮影しています。

V: 今回のパートの撮影で大変だったことは?

K: 普通のトリックはあまりやりたくなかったので、新しいトリックをかなり練習しましたね。それでいいスポットを見つけて撮影するという感じでした。とりあえず滑りまくっていました。練習しつつ新しいトリックを考えるのが大変だったかもしれないですね。

V: 新しいトリックはどうやって思いつくの?

K: フリースタイルの映像を観ることが多いです。ロドニー・ミューレンの映像とか、クリス・ハスラムもよく観ます。あとは古いビデオを観て今風にアレンジできるトリックを探したり。

V: ダブルのノーコンプライはどうやって思いついたの? 特に2段階で足をつくストレートのノーコンプライはこれまで見たことがなかった。

K: あれはアイデア勝負ですね。みんなで滑っているときに「それでもう1回足をついたら、もう1回ノーコンプライすればいいんじゃね?」みたいな感じで言われてアイデアが浮かびました。それで練習して身につけた感じです。

V: では今回のパートで一番思い入れのあるトリックは?

K: やっぱりエンダーですね。実は上京して1年経ったくらいの頃からずっと狙っていたんですよ。でもビビってなかなかトライできなくて……。それで最近ようやく覚悟を決めました。だからやっとできたって感じです(笑)。

V: 怖かった?

K: めっちゃ怖かったですね(笑)。でも意外と6、7発でメイクできました。何回もやりたくないんで1回目から乗りに行くつもりでトライしました。鬼ゴケも特になく、踏み外しもしなかったです(笑)。しっかり足をつくことだけに集中していました。板を掴めなくてもいいから、とりあえず足はつこう、みたいな(笑)。

V: エンダー以外に苦戦したトリックやラインはあった?

K: 考えると、案外、全部30分以内でメイクできたかもしれないですね。撮影の前日に撮るトリックをめっちゃ練習するんですよ。しっかり練習してから撮影に行きます。

V: では最後に今後の予定は?

K: appleの広島・岡山ツアーとNYに行く予定です。appleツアーやPokettPatrolでみんなを撮っている合間に自分も撮ってもらったりしてるんで、それをまとめてパートを出そうかなと考えています。相変わらず使いみちは決まっていないけど撮影はつねにしています。Welcomeもいい感じになってきて、インスタにも映像を出してくれたり、メールで彼らとやり取りもしています。荷物も直接アメリカから届くようになりましたし。だから今年はパートを出しまくってアピールして何かしら出世したいと思います。

Name:吉岡賢人

Date of birth:1999年8月21日

Blood type:A

Birthplace:愛媛

Sponsors:Welcome、Venture、Bones、EAZY M!SS、Dickies、Instant、Maison Shake Junzi、adidas Skateboarding(Flow)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です