僕は旅が大好きだ。実はこの文章を書いている今も、旅に来ている。旅先で暇になったので、コラムでも書こうと思いペンに手をしたとたん、編集部から催促の連絡が(笑)。
今回来た場所は、中国の広州。香港やマカオの近くで、気候は東京よりもずっと暖かくて湿っている。街は少し埃っぽい。そんな広州のホテルの中で旅のトラブルについて書こうと思う。
とりあえず僕が旅に出ると、かなりの頻度でトラブルが起きる。自分はトラブルメーカーなのか!?
もちろん(?)今回も、中国に着いて早々トラブルに巻き込まれた。
21:00に空港に到着し、迎えがあるということで待っているがなかなか来ない。30分ちょっと待ってようやくピックしてもらい一安心。そこから車で少し走ると空港出口のゲートがあり、そこでいきなり車が動かなくなった。車に乗って5分もしないうちにトラブル発生。後ろの車にクラクションを鳴らされまくり、ドライバーは中国語でガチギレしているが僕には何を言っているのかまったく分からない。しかも完全にこちらが悪い…。
そして何を思ったかドライバーは、おもむろに大量の水をフロントバンパーの中の一部分に入れ始めた。普通に水で直るのか!? と疑ってしまう。壊れた車の中で15分ほど待たされ、急にドライバーが車に乗り込み「ノープロブレム」と言い放ち、エンジンをかけたら本当にエンジンがかかった。奇跡だ。その後ゲートをくぐり無事に高速に乗り、20分ほど走っているとフロントバンパーからまたしても大量の煙が出て来た。やっぱり直ってないし奇跡なんて起きなかったのだ。とりあえず急いでパーキングに入り、またしても水を大量に入れるという行為を繰り返す。そして彼は優しく「長時間のフライトで疲れているだろうから、車の中で休んでなよ」と英語で言ってくれた。しかしフロントバンパーの中からは大量の煙が出続けている。アクショ ン映画で車が爆発するシーンが頭に浮かんだ。休むも何も、永眠になってしまっては困る。ドライバーには「ありがとう、でも外にいるよ」と伝え、ずっと彼が車をいじる姿を遠巻きに見ていた。しばらくして彼が僕の方に来て、再度「ノープロブレム」と言って車に乗り込んだ。僕はもうまったく彼を信じていなかった。とりあえず車に乗り込み運転開始。そこからは、30kmで走ったり、130km速さで走ったりと、訳の分からない運転だった。僕の不安は増して行くばかりだ…。
そんなこんなでホテルになんとか到着。すでに夜中の1時を過ぎていた。彼は英語で「また明日の朝迎えにくるね」とだけ残すと去って行った。この時点で「え!? 車は他にあるの!?」と思ったけど彼はすでに遠くにいた。着いて早々のトラブルで、すごく疲れた。なので、その日は速攻で寝る。
翌朝、彼は壊れた車で現れ「レッツゴー」と満面の笑みで言った。
「エッ、マジ!? ギャグでしょ」。
そう。これが今回の旅の始まりで、これを書いてる前日の出来事。この旅はまだまだ先が長いので、先行きが不安である。
しかし、ポジティブに考えると、振り返って笑えるレベルのトラブルは、旅の醍醐味かもしれない。以前、スケーターの高山 仁くんが言っていたけど、旅に出ると顔つきが変わってくるらしい。ちなみに僕の親友も世界一周の旅に出て、帰国後に久しぶりに会うと顔つきが凛々しくなっていた。それだけ旅というものは、経験値を上げてくれるのかもしれない。
不毛なことで時間やお金を浪費する暇があるぐらいなら、思い切って旅に出てみてはどうだろうか。
少なくても自分には、その方が有益なことだと思えますが。