「これがメイクできれば一人前のスケーター」というトリックってあると思います。仲間とのスケート談義でよく挙げられるものとしてはフラットだとトレフリップ、縁石だとBsテールスライド、アールならブラントやピボット、5-0からのフェイキーといったとこでしょうか。あくまでも目安となるトリックで個人差はあるものの、まぐれでできるなんてものではありません。もっとシンプルな例がいいですね。それはズバリ「男ならオーリーで縦コーン」、これですね。いくらか安定したオーリーができるようになり、ステアやギャップにも応用できるようになってきた頃ようやく見えてくる縦コーン。トラ棒よりも少し高い約70センチの壁は、なかなか手強いってもんだ。
縦コーンを越えるオーリーの持ち主になるとストリートでの稼動範囲というか、攻めることができるオブスタクルがぐっと増えてきます。何かに登ったり降りたり、少し高めの縁石だって自信のあるトリックでの攻略が可能になります。とまぁそんな感じで僕も狙っていたトリックを映像に収めようとストリートに出掛けたはいいものの、返り討ちに遭うということが最近立て続けに起きました。自分が普段あまりやらないような少し高い縁石なんですが、オーリーがうまいことついてこなくてメイクに至らず。「これはまさか…」との懸念から後日縦コーン越えのオーリーに挑むも簡単に越えられず。えぇ、薄々感づいてはいましたよ。「縦コーンぐらいならまだ余裕で飛べるっしょー」とタカをくくっては日々のスケートライフで縦コーン越えを避け、今や飛べないかもしれない事実に向きあうのを避けてきたということを。実際にはその後のトライで越えられたので「辛うじて飛べる」といったところだろうか。いま30歳。これまでやり残してきたトリック、これからやりたいトリックもまだまだたくさんあるのに頭が痛いものだ。過去の栄光にすがるには早すぎる。それに、あーだこーだ書いてるヤツが「でもオメェ縦コーン飛べないじゃん…」なんて言われるともう何も言うことができないのである(笑)。
とあるスケーターは言います。「目標は50歳になってもオーリーで縦コーンを越える」と。これってとてもシンプルかつ自分のスケートの指標を探るのに有効なやり方のひとつだと思うのです。40代でも縦コーンを軽々飛び越えるスケーターも見かけるのですが、もちろんそれは日々の鍛錬あってこそでしょう。「初心忘るべからず」で見習うべきところですね。ハタチ前後の若いみなさん、縦コーンを重ねたり並べたりと自分の記録を更新し続けられるといいですね。アラサー前後のみなさん、「昔飛べてたけど…」が「まだ飛べる」になるといいですね。アラフォー以降のみなさん、50歳で縦コーン飛べるぐらいバリスケできると素敵ですね!
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)