ELEMENT JAPAN TEAM “FAR EAST FLOW”

初となるフルレングスビデオ『FAR EAST FLOW』の公開を控えたELEMENTジャパンチーム4名による対談企画。お酒も入ったレイドバックなヴァイブスの中、撮影秘話や作品に込めた思いを語ってもらった。

[ JAPANESE / ENGLISH ]

Interview photos by Kentaro Yamada, Skate & lifestyle photos courtesy of Element Japan (Kenji Haruta & Naoshi Imai)

 

VHSMAG(以下V): まずは『Far East Flow』の完成おめでとうございます。長い撮影、本当にお疲れさまでした。今の率直な気持ちを聞かせてください。

川渕裕聡(以下B): やっと出た、やっと形になった、という感じです。紆余曲折あったけど、結果的にみんなで作品を出すことができて良かったかな。みんながいなかったら何もできないんで。「こういうことをやっておけば良かった」とか思うことがこれから出てくるとは思うけど、今は出せて良かったと思ってます。

瀬尻 稜(以下R): たしかに長かったですから。撮影に数年かかって、さらに途中でBerricsで公開された『New World Element』っていう別のプロジェクトも入ってきたから、それで一度振り出しに戻ったんです。そこからまた撮り溜めて2年かな。だから長かったという印象です。
 

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B: 稜はあのプロジェクトでフッテージがいっぱい使われたから大変だったよね。それで出るタイミングが遅れたっていうのは多少あった。

増田竜万(以下T): オレの場合は、大々的にフィーチャーされるのはこのビデオが初めてなんです。チームのメインメンバーとこれだけ一緒動けるようになったのは去年くらいから。最初はいい映像を撮れればビデオに出られるということで撮影を始めました。そこからメインの撮影に入り込めるようになった感じです。
 

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V: このプロジェクトが始まったのっていつだったっけ?

R: #FarEastFlowのタグ付けを見てたんだけど、たぶん2013年か2014年くらい。

阿部直央(以下N): でも、もともとこのプロジェクトについて話し始めたのは7、8年前。チームで何をしたいか聞かれたときに「ビデオっしょ」って答えたんだよね。当時は稜ともそれについて話してたし。それを今井さん(Elementマーケティング)がうまく形にし始めてくれて。それでオフィシャルに始まったのが2013年くらい。

V: やっぱり撮影はツアー先が多かった?

T: Make It Countコンテスト開催地で撮ったり、あとは個々で連絡を取りあって撮影したりという感じです。

B: そうだね。地道に撮り溜めてきた感じだね。台湾に行ってもVHSMAGで流すツアービデオの撮影もあったし。だから本当に少しずつしかフッテージを溜められなかった。

N: そうそう、大変だったよね。Make It Countもぶっちゃけ車で四国とかまで行って、デモをして、酒を飲みまくった翌日に撮影という感じだった。稜を筆頭にヤングたちはピンピンしてるけど、オレたちは結構きつかった(笑)。ねぇ、ブチ。

B: そうだね。最初はフィルマーがヒデくんしかいなかったんで1日1スポットで終わっちゃうこともあったし。だから自分もカメラを持って行って撮ったりしてた。少しでもフィルマーの労力を軽減できればなと。

N: VHSMAGでのツアービデオのフッテージが増えたのもブチのカメラがあったからだったし。


 

B: みんな攻めるスポットが違うから効率的に撮影するには手分けするのが一番。

R: そうだね。夜に集まって翌日の動きについてミーティングをしたり。それで最終的に出た答えがフィルマーを増やすことだった。そうしてコトくんがフィルマーとして加わった感じ。最後に行った台湾ではヒデくん班とコトくん班に分かれて毎日撮影してた。だからすごく効率が良かった。

B: おっさんクルーは時間がかかるトリックが好きだから班を分けたほうがいい(笑)。

N: バンバン決めていくと疲れちゃうから。オレたちはとりあえずカーブから(笑)。オレたちふたりはそれが決まると調子に乗るタイプ。そんなときにフィルマーが一見さんお断りスポットを出してきてくれる。そこで結果的に悲鳴を上げるかメイクするかって感じ(笑)。

V: 稜と竜万のヤングクルーはどんな感じだったの? お台場の特大ステアでふたりともハンマーをメイクしていたけど。

T: 当初は稜ちゃんのあのトリックを撮りに行くのが目的だったんです。それについて行ったんです。

R: そう。でも前日に遊びすぎちゃって筋肉痛がすごくて1回も飛べなくて(笑)。「ごめん」って謝ってたら、代わりに竜万や(阿部)涼太が滑ってくれて。

T: 最初は全然無理そうだったんだけど、とりあえずみんなトライしてるからそのままやってみようって感じで。それで、しばらくしたら足元にデッキが来るようになって。そろそろ身体の限界と思ったときにメイクできた感じ。そもそもあのトリックを狙いにあのスポットに行ったわけじゃなかったからラッキーでした。それでヒデくんとかみんながぶち上がってくれて。そこから沖縄ツアーにも参加できるようにElementにお願いしてくれたんです。

R: そうだったね。結局オレがリベンジしに行ったのは1年後とか。行こう行こうと思ってたんだけどなかなか行けなくて…。改めてトライしたんだけどその日は人も多くてメイクできず。ビデオの締切も迫ってたから、パートのラストトリックが必要だった。だからギリギリのタイミングで乗れた感じです。あれはうれしかった。

N: あれは本当にすごい。竜万のトリックなんて他に誰ができるんだろうって思うし、稜だってあそこをスイッチで飛ぶなんて…。もう…ないない。マジで。

R: 数年狙ってたから最後の最後でメイクできたときはぶち上がりました。「ラストトリック撮れた〜!」って。

B: オレはナオちゃんのボードスライドも好き。あの落差があるやつ。

N: おっさんになるとベーシックが基本になってくるから(笑)。

V: ナオくんはバルセロナの映像もあったね。あれはMake It Countで行ったときのフッテージ?

N: そうそう。AbemaTVの仕事と抱き合せで行ったんです。バルセロナには合計2回行ったのかな。うねうねスポットにも行って、最初はノーリーキャバレリアルをトライして粉砕。枯れ葉が底にたまっているからそれを片付けるのも大変だったし。あのスポットは5個くらいうねうねをクリアしてから飛ぶんです。だから10回ほどトライしたら疲れちゃって終わり。

B: 500mlの缶ビールを3本飲み干しちゃうくらいの時間(笑)。

N: そうだね。オレは4本目から付き合う感じ(笑)。

V: そういえば稜のパートでごついハンドレールでスイッチFsボードをメイクして大笑いしてるシーンがあったでしょ? あれはなんで笑ってたの?

R: いや、うれしかったからですかね、たぶん(笑)。「乗れた〜!」って、それだけです。別に変な意味はないです(笑)。たしかあのときは涼太も一緒にセッションしてて先にメイクしてたんです。だからひとりでトライしてメイクできたから単純にうれしかったんだと思います。

V: なるほど(笑)。大笑いしてたから気になっちゃって…。では、バルセロナ、台湾、沖縄…撮影でいろんな場所に行ったと思うけど、思い入れの強い場所はある?

N: オレはやっぱりバルセロナが楽しかった。一見さんお断りの扉があるんですけど、その扉を開けることができたことが人生の中で一番価値のある出来事でした、はい。

V: その内容はあまり突っ込んじゃいけないやつ?

N: そうですね、詳しくは後でこっそり話します(笑)。

 

 

T: オレは沖縄かな。やっぱりここまで来れたのは沖縄ツアーがあったからだし。映像を撮るという目的のある初めてのツアーだったんです。いろんなことを体験して学ぶことができたツアーでした。先輩でありライバルでもあるチームメイトに囲まれて毎日刺激だらけだったし。2週間という限られた時間の中で上がったりへこんだり。自分にとっては沖縄が思い出深い場所です。

 

 

R: 台湾もバルセロナもよかったけど、オレも沖縄かな。昔は三鷹のスケートパークで滑ることが多かったんですけど、あそこはやたら沖縄のスケーターが多くて。だから沖縄には知り合いが多かったんです。一緒に滑ったり遊んだり。オレが小さい頃によく滑ってたスケーターたちがいて、改めてこういう形で交流できたことが思い出深くて。スケートも沖縄のクルーと会えるのも楽しい。温かい先輩がいっぱいいるんで沖縄が最高でした。

 

 

B: オレは最後の台湾ツアー。その後は仕事が忙しくなっていくのもわかってたから「これが最後か〜」っていう感じで感慨深かった。でも初日に足の筋を痛めちゃって。ずっと痛かったんだけどやるしかないし。そんな状況で無事に終えたツアーだったから思い出に残ってる。「ちゃんとやりたい」と思って行ったツアーだったんで。今後またみんなで一緒にツアーに行けるかなんてわからないし。

 

 

V: ちなみに阿部涼太はどうなったの? ずっと一緒に戦ってきた同志が途中でチームを抜けたわけでしょ?

N: 稜が一番よく知ってるんじゃないの?

R: いや、オレにもそこまで詳しくは話してくれてなくて。自分でよく考えて決めたことだと思うから。

N: あいつはいいラーメン屋だから。いい意味で頑固なの。こだわりが強いというか。あいつは頑固なラーメン屋だから一度決めたら貫くんだよね。涼太がElementを辞めることを本人から聞いたのは、デモが始まる5分前のランプのプラットフォームの上。「ナオくん、ちょっと相談があるんすけどいいすか? Element辞めようと思うんすけど」って。とりあえず「デモが終わってから相談を聞く」って返して…。結局夜はテキーラを飲みまくって終わったんですけど(笑)。後日電話で話したんだけど、やっぱりこれだけいろんなツアーに行かせてもらってるんだから、これまで撮った映像をどうするか今井さんとよく話すように言って。彼はそれをちゃんとクリアしてきれいに辞めたんで、しょうがないというか、あいつの長いスケート人生の中での一区切りという感じだと思って見てます。

B: 涼太には自分の中でトライしたいことがあるんです。一緒に『Far East Flow』でパートを出したかったというのはもちろんありますけど。

R: 自分のこだわりに沿って生きて行きたいんだと思うんです。Elementのことも大好きだし、ずっと一緒に動いてきたオレらのこともきっと大好きでいてくれていると思うし。でも小さい頃からの憧れを諦められないということだと思うんです。

B: 涼太が夢に挑戦するのを止める権利なんて誰にもないし。

T: オレは半泣きしたっすけど。

N: 「せんぱ〜い! 行かないで〜。第2ボタンくださ〜い」って(笑)。 涼太がやりたいことだからいいんだよ。それでいいんだよ。

V: 今回はフレンチ・フレッドがアドバイザーとして入ったんだよね。作品としてみんなの感想は? どうしても使いたかったフッテージが使われなかったとかいうこともあったと思うけど。

N: オレたちは滑るだけです。編集するのはその道のプロ。オレたちはあくまでも素材だから、それをどう調理するかは料理人次第ってことです。

B: オレたちが一番感謝してるのはヒデくん。

N: そうだね、ヒデくんはいつも寝ずにがんばってくれたから。酒も飲まないし、ずっと運転してくれるし。超タフで機敏なんです。バスケのポイントガードをしてたのは伊達じゃない。あの人は米を食わないから、ツアー中はずっと麺屋を探してた。「米を食った日は撮影しねぇからな」ってずっと言われてたから(笑)。でもマジでヒデくん、ありがとうございました。

 

 

V: では最後に、『Far East Flow』という大きなプロジェクトが完成したわけだけど今後Elementでやりたいことは?

T: やっぱ同じ面子でもう一度何かを形にしたいです。チームでWパートを撮ったりするのも面白いかもですね。ブチくんとナオくんのWパートは見てみたいです。

N: 大人の事情や予算とかいろいろあると思うけど、オレの希望は今まで行ったことのない国で撮影したいです。できればインドネシア、ブラジル、南アフリカ。この3ヵ国には行きたい。また一見さんお断りの扉を開けるかもしれないので(笑)。

R: オレもやっぱこのメンバーでツアーがしたいです。そしてまたビデオを作りたいです。Elementは若手も増えてるから、さらにパワーアップできると思うし。みんなの作品を作ることができたらうれしいです。

B: スケーターは滑るのが仕事だから、ライダーが活躍できるプロジェクトや機会を絶えず作ってほしいです。ナオが言ったように、大人の事情とか予算とか越えなければならない壁があるのはわかるけど、ライダーに仕事が来るようになってほしいです。そんな感じですかね。

 

 

Element @elementjapan

世界最高峰のライダーがチームに名を連ね、Make It Countやスケートキャンプなどさまざまな形でスケートコミュニティの活性化に尽力するグローバルブランド。ジャパンチームには瀬尻 稜、阿部直央、川渕裕聡、増田竜万などが所属し、フレンチ・フレッドがアドバイザーを務めたフルレングスビデオ『Far East Flow』もリリースされたばかり。

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世界最高峰のライダーがチームに名を連ね、Make It Countやスケートキャンプなどさまざまな形でスケートコミュニティの活性化に尽力するグローバルブランド。ジャパンチームには瀬尻 稜、阿部直央、川渕裕聡、増田竜万などが所属し、フレンチ・フレッドがアドバイザーを務めたフルレングスビデオ『Far East Flow』もリリースされたばかり。

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