NOT A CRIME

 ネットニュースを読んでいると気になる記事に目が止まりました。栃木県の繁華街で滑っていたスケーターが道路交通法違反で逮捕されたというもの。そこでは以前から通報があり、再三の警告にもかかわらずやめなかったのだから逮捕されるのも仕方がない話。おそらく警察側も見せしめとして逮捕に踏み切ったのでしょう。自業自得だと言ってしまえばそれまでなのですが、スケートに偏見のある社会や警察に憤りを感じると同時にやるせない気持ちになってしまいました。
 言うまでもなく我々スケーターというのは警察の世話になることの多い人種のひとつ。こと都市部においては路上をプッシュしては止められ、ついでに「アブナイ物とか持ってない?」という決まり文句でモチケンまでされる。僕の周りのスケートしない人はそもそも職質の経験すらないというのだから、もはやデッキを持っているだけでお巡りさんをおびき寄せているようなもの。そこで思うのは、キックアウトにせよ単なる職質にせよそこで悪態をつくのはいかがなものかと。特に職質においてはよほど「アブナイ物」なんて持ってない限り、多少気分は悪くとも素直に応じるのがまだスマート。「海外だと職質とかあり得ないから」、「法律上だと強制はできない」とゴネてみてもさらに面倒になることは確実。そそくさと身の潔白を証明し、他にパトロールでも行ってもらう方が世のため人のため。そもそも彼(彼女)らも警察官である以前に人間。向こうがよほど悪い出方でもしてこないかぎり人として最低限のリスペクトを持ち、ピースアウトで終わらせたいものであります。
 「街でプッシュしてるだけで怒られるような国で、オリンピックにスケボー? 反対だね!」 先日聞いたとあるスケーターの意見に妙に納得してしまった。一方で賛成派の自分としてはお巡りさんにも社会にも「スケボーって遊びはそんな悪いモンじゃねーんだ」ってのが世の中に伝わるいい機会になってくれたらなと。そして両者がうまく共存するために、スケーターも社会の一員だという自覚を持って日々を過ごしていただければと願ってやみません。

─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)

 

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