中学1年生の夏前にスケボーを始めたのですが、当時世間では「スケボーは不良がやるスポーツ」という印象があったものです。自分もそんなイメージを持ちつつ仲間と恐る恐るその世界に足を踏み入れました。ほどなくして通い始めたローカルスポットの先輩スケーターもおっかない集団にしか見えません。飲酒・喫煙は当然のこと時折バイクを乗り回し「よくそれでスポットが存続したものだ」というやんちゃ話も数知れず。そんな先輩らを見て「この人らとスケートをすると自分も数年後にゃこうなっているのか?」と自分の将来に不安を感じつつ通っていました。そんなある日、「お前、次からオレに敬語使ったら●すからなぁ!」と脅された僕は、本当の仲間に入れてもらえたような気がしてうれしかったのを覚えています。スケートボードを始めた頃に受けた衝撃のひとつです。
探してみるとヤンチャな世界を渡り歩いてきたスケーターというのも実に多く、やはり「スケボーは不良がやるスポーツ」呼ばわりされるのも無理もない話。自分は非行に走ることなく10代の多くをスケートに費やしたのですが、一方でバイクや女、悪事に手を染めてスケートからフェードアウトする仲間を多く見てきました。あれから時は過ぎ今現在。いつの間にか昔の不良タイプのスケーターをほとんど見かけなくなりました。ワルいのがかっこいいと言われなくなったり、価値観も変わってきたのでしょう。ですが、不良でやんちゃな精神はスケーターにいまだ根強く残っています。スケートボードとはルールや決まりごとを煙たがり、既成概念を壊すことを良しとされる世界。そうやって今まで街のあちこちに居場所を押し広げてきました。コミュニティ内でのマナーやルールは守られつつも、不良の遊びは今なお健在なのであります。
ちなみに「滑りがやんちゃで既存のものをぶっ壊しまくっているな…」と驚かせてくれるスケーターのひとりがVantanスケート高校に通う戸倉大鳳。一回り以上も年下の彼にいつもボコボコにやられます(もちろんスケート的にね)。この先も世界の不良どもを相手にその存在を知らしめていくのでしょう。あぁ、おっかねぇおっかねぇ。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)