スケートの歴史を振り返ると、それぞれの時代に物事の流れを根底から覆すブランドやビデオが存在しています。
’70年代にスポーティなスタイルに中指を立ててパンクなアティチュードを取り入れたZ-Boys。’80年代にスケートビデオというフォーマットを築いたPowell Peralta。’90年代にはUnderworld ElementやZoo Yorkといったイーストコースト発のスケートビデオを通じてHip-Hopヘッズが急増。その後、Bakerの登場でパンクのファッションが大流行。挙げ出したらキリがありませんが、これまでに実にさまざまな変化が起きています。
その中でもトリックの進化という意味で個人的に決定的だったのがPlan Bの『Questionable』(’92年)。パット・ダフィがハンドレールの可能性の扉を開き、ショーン・シェフィがパワーの重要性を実証。マイク・キャロルはテクニカリティをネクストレベルへ。NBDの連続でストリートスケートに革命が起こり、時代の潮流に劇的な変化をもたらしました。
それから四半世紀、同じような衝撃を覚える作品に出会いました。先日リリースされ、メイソン・シルヴァのパートがオンラインで解禁されたElementの『PEACE』。これまでにEmericaの名作を手がけてきたジョン・マイナーが指揮を執り、テクニカルからハンマーまで、スケートにはまだまだ進化の余地があるということが実感できる作品。各パートのレベルの高さに開いた口が塞がりません。
「『PEACE』は今の世代にとっての『Questionable』」とNine Clubの博識者、ロジャー・バグリーも太鼓判を押しています。現時点ではメイソンのパート以外オンライン公開されていないため、公式ページでゲットしてゆっくりご堪能ください。期待を裏切ることはありません。
–MK