ふと手が空いたらスマホの画面をスクロール、今や情報収集に欠かせない手段のひとつとなったインスタグラム。一方で流れてくる情報が多すぎて「インスタ疲れ」なるものも感じざるを得ない今日この頃。周りの仲間の投稿をすべてチェックするだけでパンクしそうなので、会えるかもわからない外国人スケーターなんかは余程興味がない限りフォローしないことにしています。とは言え、毎回僕のツボを突いてくる面白いアカウントはいくらでもあるわけです。その中のひとつが@asphaltposerclub。
現在のフォロワーは16万人近くとかなりの数で、フォローしていたり覗いたことのある方もきっと多いことでしょう。このアカウントからアップされるのはスケーター目線で見てニヤリと笑える感じの内容がメイン。ファッションマインドなスケートボードを皮肉ったものや、スケーターにアンチの多いインラインスケートやスクーター(キックボード)の鬼スラム・珍スラムをアップしては笑いを誘っています。その一方、たまにアップされるスケート映像といえば画期的なニュートリックから過去のスケートビデオの名シーンなどなど、スケートボードに関してしっかりとした見識のある一面も伺わせています。そんなアカウントを管理しているのは誰かというと、実はあのバム・マージェラ。アカウントに名前を出さず、自身の映像もほとんど出てくることはないのですが、以前に「実はこのアカウントをやっている僕はバム・マージェラ、最近はまたよくスケートできているよ。今後も応援ヨロシク」とカミングアウト。これには相当驚いた自分でしたが、当のアメリカでも知らなかった人が多かったようでコメント欄は炎上騒ぎに。
若いスケーターにとって馴染みは薄いかもしれませんが、バム・マージェラは’90年代後半〜’00年代に活躍したプロのひとり。自分ら世代だとMTVのバカ番組『Jackass』の番長として知られる有名人。時に一般人を巻き添えに街中の至るところで身体を張ったお笑いを連発。今で言う過激派YouTuberの先駆けのような存在。過去にはパンダの着ぐるみを着たJackassクルーが渋谷の街をジャック、ハロウィンで軽トラックを倒して喜んでいたDQNのニーチャンも顔面蒼白な暴れっぷりを披露していたのも記憶に残るところ。彼らに触発されて危険な真似ごとをし、中には命を落とす者もいたりと社会問題となったのは言うまでもありません。そんな危ないクルーのリーダーとしての認識が強かったバムのスケートビデオパートを初めて観たときは「この人、こんな上手い人だったの」と衝撃を受けたものです。特にトランジションでの特異な動きはいまだ斬新だと思えるほど。
来年で40歳を迎えるバム、若かりし頃と比べ体型はかなり丸くなりましたが、スケートにカムバックした今、かつての動きは健在のようでうれしく思う次第。そして何より、また何を仕掛けてくるのか楽しみにさせてくれるスケーターなのであります。
─Kazuaki Tamaki(きなこ棒選手)