’90年代に一世風靡した世界最強(?)のガールスケーター、トーニャ・ハーディングはご存知でしょうか? スケーターといってもフィギュアのほうなんだけど…。’94年に世紀のスキャンダルとしてお茶の間を賑わせた、ナンシー・ケリガン襲撃事件を題材にした映画『アイ、トーニャ〜史上最大のスキャンダル〜』が傑作すぎる。
ドキュメンタリータッチで描かれる映画の内容はざっとこんな感じ。オリンピック選考会となる全米選手権の会場で、トーニャ・ハーディングのライバルであるナンシー・ケリガンが何者かによって膝を殴打され、ガッデム。堂々(?)の優勝を果たし晴れてオリンピック出場を決めたトーニャ・ハーディングに疑惑の目が集まり事態はトリプルアクセルのごとく二転三転するといったもの(女子として史上ふたり目のトリプルアクセルを成功させたのがトーニャ・ハーディング。ちなみにお初は伊藤みどり)。トーニャの生い立ちの不憫さと、事件の首謀者である元夫とそのホーミーのダメさ具合が下手なお笑いコンビより数段面白い。
真実は小説より奇なり、なんてよく耳にするフレーズがぴったりのドタバタ劇。中でも最高なのが、超がつくほどの強烈なキャラをした母親の言動。スパルタというか常軌を逸した言動は今だったら完全炎上間違いなし、というか逮捕レベル。でもどこか憎めないっていうか愛情の裏返しとも思えるような熱血具合がハートウォーミングだったりもします。最終的に娘をマスコミに売ろうって魂胆も爆w どこまで忠実に事実が描かれているのかは不明だけど、随所に挿入される当時のリアル映像とキャスティングが完璧すぎて草。
もはやフィクションでもノンフィクションでもかまわない。最終的に悲劇を喜劇に仕立て上げちゃうアメリカンスタイルこそが、金メダル。将来的にはスケボーの選出を巡って、周りの大人たちが似たような襲撃事件起こしちゃったりね。クワバラクワバラ。
─KE
’94年リリースの名作といえばStereoの『A Visual Sound』。クラシック!