今回ご紹介するのは、4名のスケーターをフィーチャーしたドキュメンタリー映画『PUSHED』。スポットシーカー、そしてゴミでコラージュアートを作ることで知られるボビー・プーリオ。DIYスポットのムーブメントを世界中に広めたスウェーデンはマルメのポンタス・アルヴ。Tシャツをキャンバスにして創作活動を続けるアーティストのステファン・マークス。そしてドイツのzine、ANZEIGEBERLINの編集長を務めるアダム・ゼロ。
　この4名に共通するのは、スケートに出会ったことで、ものの見方や生き方そのものが変わったということ。時代の潮流に乗り、メインストリームのトレンドを追うのではなく、自分の信じる道を進む。近年のスケートシーンに忘れられがちな、ユニークな個性やメンタリティが本作『PUSHED』には詰まっている。
　もちろん、社会に迎合しない生き方を選べば、苦悩や葛藤もあるだろう。本作はそのような生き方をするスケーターの光の部分だけでなく、闇の部分をもしっかりと描いている。過剰なハイプやコマーシャリズムを排除した、真摯なドキュメンタリー映画だといえよう。
　『PUSHED』は、スケーターならずとも、自分の生き方を知り独自の哲学を持っている人であれば、誰でも共感できる作品だと思う。そして、自身の生き方を見つめ直すきっかけとなるかもしれない。