Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
DAISUKE MIYAJIMA

M×M×Mの敏腕スタッフにして自称映像作家のジマこと宮島大介。
伝家の宝刀Fs 180フリップをなくした今、どこへ向かっていけば
いいのか迷走中。本能の閃きをたよりに書き綴る出口なしコラム。

第10回:じじいのボクとアナタ

 よく思うんですが、スケーターの会話をお笑い芸人に置き換えると大変なことになると思います。

 「最近あんま滑ってなくない?」
 「何言ってんだよ!? がんがん滑ってるぜ!」
 「あ、そうなの? お前やっぱ好きだね〜」
 「いやいや、やめられないっしょ」

 考え方によってはかなりセンスの高い芸人のようにも思えます…。という話はさておき、スケーターならばだれもが一度は考えたことがあると思う「一体自分は何歳まで滑ることができるのか」ということを考えてみたいと思います。

 ここで言う「滑る」というのは、第一線で戦うレベルではなくとも、自分の得意なことが気持ち良くできて楽しめるってこと。スケートはやはり楽しんだもん勝ちですから。僕が思うに50歳くらいまでは滑れるんじゃないかと思います。50歳でもキックフリップのバックサイド50-50ぐらいならなんとかできるんじゃないかな〜と自分勝手に想像しているワケです。しかし僕は今年で35歳、15年後の自分の身体は未知すぎてまったく分かりません。さらにその後の60歳、70歳なんてどういう状態なのでしょうか? 生きていればラッキーくらいの感じですが、スケート以外の部分もちょっと具体的に想像しておいて、その時のために備えておくのも良いかもしれません。

 例えば、60歳過ぎになって自分は一体どんなファッションをしているのでしょうか? 「もう60歳だから」という理由でウール生地のスラックスにツイードのジャケットなんかを羽織って革靴を毎日磨き大事に育て、お気に入りのステッキを片手に軟弱な自分の武勇伝を語っているのでしょうか? いや、きっとパーカにコーチジャケット、パンツのサイズが34から32くらいにはなっているかもしれませんが、きっとDickiesのワークパンツだったり、Levi’sのデニムだったりでしょう。もし60歳の時にシルバータブのバギーフィットなんかを見つけたら即買いすると思います。きっと現在のおじいさんがしている格好も僕らからみればジジくさいとか言うワケですが、そのおじいさんにとっては自分の若い頃クールだった格好に違いありません。てことはデニムやワークパンツ、そしてパーカやコーチジャケット、ベースボールキャップなんかは僕らがじいさんになる頃にはジジくさいと呼ばれるファッションになってしまうのでしょうか。しかし頭の固い僕らじじいには、きっとその時の若い子がしているファッションをどう頑張っても許せることができず、「まったく理解できん!」とか逆ギレするのです。

 もうひとつ気になるのは女性の好み。やっぱじいさんになってもピチピチの若いギャル(もう古い表現?)が好きなのでしょうか? はたまたやはり同年代の自分と同じ時代を生き、同じような感性をもったばあさんの髪をかきあげる仕草なんかにぐっときたりするものなのでしょうか? じいさんになってばあさんとコンパとかしてみたいですね〜。意味あるんでしょうか? とかそういう疑問は置いといて…です。久々の刺激にショック死とかしない程度にテンションあげていきたいですね。ってかどこからコンパ持ってくればいいんだ? ストリートでナンパですかね? いいかもしれない。

 そして、スケボーに対する欲というか熱はどうなっているのでしょうか? 自分ができないとなると興味は無くなってしまうのでしょうか? スケートボードは日々進化しています。僕が始めた時はすでにスケートデッキはノーズもテールも反り上がっている、いわゆるダブルキックという今の形になっていました。その僕が初めて「あ、新しい時代になる」と思えた瞬間がありました。2002年に出た『PJ Ladd’s Wonderful, Horrible, Life』にでてきたPJ・ラッドです。このパートを初めて見たときの感覚は今でも良く覚えています。「なんか1個多いな」的な感じ。当時テールスライドとかから270アウトとかのイメージがあまりクールではなかった時代(僕の感覚かな?)。やっている人もまだあまり多くなかったと思います。そこにさらにフリップやヒールの回しを入れこんでくるのです。しかもラインで。そしてクール。それを観て「こんな桁違いのヤツががいたんじゃオレはスケボーしてたって意味がない」と言ってスケボーやめてしまった友達もいたくらいです。やめることはないでしょ…ともちろん思いましたが、彼も本気だったのでしょう。

 最近それに似た感じをくらったのはHabitatのマーク・スチュウ。やっぱなんか1個多いんですよね。ラインというよりもコンボに近い5mくらいの空間で3個くらい詰め込んできたり、それの最後は普通に裁くだけでも全然すごいのに、そこでスイッチフリップとか今までなかったようなおかしな方向に抜いたりとか。マーク・スチュウのインタビューを読んだら、すごく好きなスケーターがPJ・ラッドって書いてあって「ほら、やっぱり」なんて思ったり。

 とか言いながら、日本人の僕はやはり去年のChopper氏やGou Miyagi氏が海外メディアに取り上げられているのに興奮したり、今年に入って公開された松尾氏のパートが日本人の壁? なるものを見事に破壊している姿に感動したりしているワケです。

 話があっちゃこっちゃ行きましたが、要するに何が言いたいかというと、おじいさんになってもスケボーの映像とかを観て敏感にいろんなことを感じていたいな〜ということです。欲を言えば、60歳で現場にいてフリップのバックサイド50-50も……いや、ユビスケで我慢します。

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