Interview by KE(VHSMAG) Photos by AYATAKA
VHSMAG(以下V): まずはじめに、TORIOTOKOってなんなの?
TORIOTOKO(以下T): なんだろ…。昔に友達と西新宿のWセットをお金を賭けて必殺技で跳ぶって内容のDVDを作ったことがあって、そのタイトルが『鳥男』で、そのままフィルマーとしての名義になってしまった感じです。
V: タイトルすごいね(笑)。映像はいつから撮ってるの?
T: よくある話なんですけど、友達を撮影した映像を観ていたら、曲とか乗せたくなるじゃないですか? それで2008年頃にVX-1000を買ったんですよ。そこから一応本格的(?)にスタートしたんですけど、その前にTRV900ってビデオカメラは使っていましたけど。
V: うわぁ、あのビデオカメラ良かったよね。オレもMETROPIAの動画はTRV900でほとんど撮ってたから。まだVX-1000で撮っているみたいだけど、HDカメラも持ってるんだよね?
T: 持ってます(笑)。ただ使い方が分からなくて、家でホコリ被っています。
V: とりあえず自分の使いやすいビデオカメラじゃないと余計なことばっかり気になって撮影に集中できないよね。そういえばTORIOTOKOってDVDとか作品ってよりも、短編っていうかティーザーが多いのはなんで?
T: 意図は全然ないんですよ。DVDも作りたいとは思っているですけど、なかなか…。インスピレーションが生まれた瞬間にいきなり作っちゃうんで、結果ティーザーが多くなっちゃうんです(笑)。
V: てか、スケート映像うんぬんよりも、カオス好きでしょ? 変なヤツに絡まれたり、警察に追われるのとか美味しいと思ってるでしょ?
T: あ、そうっすね。変なヤツが出てきたらすかさずバレないように撮っちゃおうかなって。
V: スケート映像だけだとお腹いっぱいになりがちなところに、リアリティが入ってくるからドキュメンタリー作品に近いよね。 昼の歌舞伎町で撮影していた動画なんて、ストリートカオス待ちなのがバレバレ(笑)。
T: 完全にそうですね。撮れなかったんですけど、あの日、(金子)次郎ちゃんホームレスのオバちゃんにおもいっきり腹殴られてますからね(笑)。
V: さすが(笑)。多分みんな気になっているだろうから訊くけど、TORIOTOKO作品によく出てくるPILOT 加藤って何者なの?
T: あれは高円寺から出ない人です。人が集まる場所へは絶対に行かない人なんで、わりとみんなに知られてないですね。最近僕にビビって近寄ってこないんですよ。僕の側にいると動画で出されるんじゃないかって勘ぐっちゃって(笑)。なんで新しい人材を発掘しないとです。
V: そういえば“裏REAL TOUGHNESS”の動画とか、世の中斜めから見ている感じのスタイルがオレはすごく好きなんだけど、やっぱり好きなんでしょ?
T: あぁ、ありがとうございます。なんていうか、王道なモノから一歩ズラしたくなるっす。そういう癖があるというか。
V: そういえばあの “偽 IPPON”ってなんなの?
T: あれはなんなんすかね(笑)。
V: 人気コンテンツだからもっとやって欲しんだけど。バズってますよ。
T: マジすか? じゃ今度KEさんでいきましょうよ。
V: オレ? 偽過ぎて偽IPPONにならないよ。じゃあ、話を戻して、スケート映像的に影響を受けた人とかっているの?
T: やっぱりFESNの森田(貴宏)くんですかね。『Subway』(’96年)とか好きです。 KEさんがアキバでGTS履いて滑ってたの何度も見てましたよ。
V: マジだ(笑)あの頃は代理店の都合でHalf Cabとか流通してなかったタイミングだったから、安いシューズ重視みたいな。そもそもスケシューは苦手な方だったから、Skateboardingラインが出る前のadidasとかNikeを安くゲットして履いてた。てか、オレの話じゃなくてTORIOTOKOの話きかせてよ。次の作品は?
T: 特に作ってないんですよね…。
V: ハロウィーンの時に撮影した作品がお蔵入りになったって聞いたけど?
T: あれはお蔵入りにさせたくないんですよね、ガッツリ作ったんで。まあ、いろいろあって問題になりかねないので、ひとまず公開が保留となっています。
V: ボカシとか入れたら?
T: ボカシ加工をするやり方がわからなくて…。あ、でもそれいいですね。10分の超大作なので出したいんです。
V: 前から感じていたんだけど、TORIOTOKOクルーってわりと’90年代のスタイルを継承しているよね。オレらの現役時代がフラッシュバックするというか。スケートボードも好きだけど、紙一重のところで遊んだり無茶したり。それでいて悪意がないっていうか、懐かしい感じ。
T: そう言われてみればそうかもしれませんね。自分たちのこと分析したことなかったんですが、そういった感は確かにあります。
V: 普段は?
T: 会社員やってます。スーツ着て(笑)。面接のときに「安室奈美恵のPVに出た」って話はしたんですよ、面接官に。
V: 観たことあるよ、それ。人事の担当者にはそれが刺さったんだろうね。会社に入れたわけだし(笑)。あれはどういう経緯で出たの?
T: あれは当時付き合っていた彼女がダンサーで、PVでスケーター探していたときにちょうど話が舞い込んできて。ギャラは1日拘束で8000円でした。
V: 安室奈美恵が絡んでいるPVでそれは安いかもね。それにしてもいいオーリーしてたよね。PVで思い出したけど、もっと強者がいるよ。
T: 誰すかそれ?
V: 次郎。以前PVの仕事を振ったことがあって、ギャラが1万円。撮影日が雨になったんだけど撮影は決行されて、雨の中ストリートでプッシュさせられまくってデッキがご臨終。翌日1万出して、新しいデッキ買ったみたい。
T: (爆笑)
山口県出身、東京都在住。日本のスケートシーンに舞い降りた堕天使フィルマー。渋谷界隈で巻き起こるストリートカオスを撮り続けるイルでイッちゃってるイノーマルな自称普通の人。完全なるオリジナルフレーバーでスケート界をかき回すドラム式。代表作は、主にティーザー。