Interview by VHSMAG Photos courtesy of P.I.C.
VHSMAG(以下V): まずはetniesからMagentaとのコラボとしてシグネチャーシューズをリリースすることになった経緯から聞かせてください。
上原耕一郎(以下K): 最初はetniesとMagentaでコラボシューズを出す計画があったんですが、Magenta側が自分の名前を載せてKoichiroのシグネチャーとして出そうってなったんです。etniesのブランドマネージャーがヨーロッパ出身で、僕のことをすでに知っていてくれたみたいなんですよ。Magentaからプロモデルが出ていたのと『LENZ II』パートの効果もかなりあったので話は早かったと思います。
V: どのようなプロセスでシューズが完成したのですか?
K: このプロジェクトを聞いてから、etnies Japanのチームマネージャーを務める安くんとよく連絡を取り合いました。USのetniesとのやり取りは安くんが間に入ってくれて、自分はMagentaとやり取りしながらいろいろ詰めていきました。安くんには本当に感謝しています。ありがとう! 靴はMarana Vulcを採用して、デザインはMagentaのアートディレクターでもあるソイ・パンデイが担当してくれました。
V: シューズ2型に加えてジャケットもリリースされましたが、それぞれについてデザインや機能性、こだわった点について聞かせてください。
K: シューズのひとつはetniesでも人気のMarana Vulcで、これは自分自身もよく履いているモデルです。Maranaの機能性を継承しつつ柔らかいバルカナイズソールになったうえ、大阪のストリート100%のヴァイブスが注入されて誕生したモデルです。もうひとつのシューズはScoutというモデルで、めちゃくちゃ軽いシューズなんですよ。これはチルシューズとしてリリースされるモデルです。普段履きやクルージングしながら遊びに行くときなんかにオススメです。本当に軽くてビックリしますよ。ジャケットについては実は何も知らされていなかったんですよ。靴のサンプルが上がってきた時に知った感じです。ジャケットにも名前が入るとか最初は信じられなかったですね。デザインはすべて統一されていて、ソイが担当してくれました。ソイがデザインし、TBPRのTシャツとMagentaの僕のデッキに使用したグラフィックがあるんですが、そのデザインをシューズにうまく落としこんでくれました。だからこのシューズはetniesとMagentaのコラボアイテムですが、ある意味TBPRも加えてくれた、ソイの僕に対する気持ちが詰まったものだと思っています。
V: 日本人スケーターとして海外のシューズカンパニーからシグネチャーモデルをリリースするのは日本人初の快挙と言えますが、率直な感想を聞かせてください。
K: 異例過ぎるでしょ。まさか自分が!? って感じですよ。ハンパないうれしさとハンパないプレッシャーが入り交じってます。
グローバルブランドよりシグネチャーシューズ2型、そしてジャケットのリリースは日本のスケート史の中でも異例のニュース。
V: シグネチャーモデルのリリースに併せてプロモパートも公開されましたが、マイク・マンズーリとの撮影はどうでしたか?
K: 最初の緊張とプレッシャーはすごかったですね。etniesが自分だけにフォーカスして撮影してくれるっていう…。変な汗が出まくってました。だから撮影初日は相当気合い入れて(ビッグトリックをするわけではないですが)臨みました。「外人に大阪スタイル見せたるわい!」って思いながら気持ちを上げてましたね。撮影も自分のスタイルが出せるスポットを選んで撮影したんですけど、終わってみればみんないい感じに捉えてくれたみたいで、一気に気が落ち着いたのを覚えています。マイク(・マンズーリ)も自分のスケートスタイルを気に入ってくれたみたいで「お前の撮影は新鮮な映像ばかりで撮ってて本当に楽しい」と言ってくれたときはマジでうれしかったですね。本当に楽しそうに撮影してました。またさらにマイクがたまらなくいい人で! こんなにすごい巨匠と撮影してるなんて感じさせないくらいリラックスして撮影できてました。というかマイクがそういうヴァイブスに持っていってくれてた感じです。マイクとはまた撮影したいですね!
V: 撮影期間はどれくらいでしたか?
K: トータル12日間です。最初はetniesのツアー期間だけで撮影する予定だったんですけど、マイクだけツアーの後1週間大阪に残って撮影を続けることになったんですよ。
V: ロケーションについても聞かせてください。
K: 撮影地はほぼ大阪で、1日だけ神戸にも行きました。全世界で配信されるので、やはり大阪のスポットっていう部分は意識しました。地元Love。
V: プロモパートでこだわった点は?
K: すべて夜の映像でまとめました。マイクもナイトセッションが好きみたいだったので、最初に打ち合わせした時にすぐにパートのコンセプトが決まりました。あとは自分のスタイルをブレさせないよう意識しました。撮影が終わってみればレッジトリックがひとつもなかったです。なのでレッジトリックを一切していないところもこだわった点にします(笑)。
V: 撮影で印象に残っていることはありますか?
K: 撮影時のマイクの姿勢ですね。機材を変えたり、ライトの位置だったり、撮影準備の時に何するにもつねに走ってるんですよ。あと撮影が何時に終わっても絶対「疲れた」って言わなかったですね。「お前が滑れるならオレはいつまででも撮影するぜ」って言ってくれたり、ライダーの意識を高めてくれるんですよね。素材映像なんかもすごかったですね。撮影中や移動中など、あらゆる場面で何かイメージをしている様な感じで、いきなり何か閃いて素材撮影が始まることがほとんどでした。極めつけは、最後の撮影が朝5時に終わってみんなへとへとでマイクも相当疲れてたのにTBPRで使用しているライトに興味を持ち始め、いきなり自分のライトとの比較テストが始まったこともありました。またそれを楽しそうにするんですよ。そういったプロ意識の高さが随所に感じられました。やはり海外の超プロはすごかった。
V: このプロモパートにも見られるように、クイックオーリーがトレードマークなっています。現在のスタイルに至るまで、どのようなスケーターに影響を受けてきましたか?
K: 自分の中で不動の好きなケーターが、東 大樹、ジミー・ラノン、ポール・シャイアの3名なんですけど、中でも東さんは一番影響されましたね。Grapevine Asiaの(まだVHSの時代の)ビデオで『The Skaters High』っていうビデオがあるんですが、そのビデオの東さんのパートは当時衝撃を受けたのを覚えています。クイックオーリーの本当のかっこよさを教えてもらったパートでした。『The Skaters High』のDVD化希望です(笑)。
V: etniesからシグネチャーモデルをワールドワイドリリースしたわけですが、etniesでのポジションや待遇に変更はありましたか?
K: さっきHASCOの(高澤)祐介くんから電話がきて「etniesのオフィシャルサイトに載ってるで〜!!」って聞いて、すぐチェックしたら名立たるetniesライダーの下に自分の名前と写真が載ってました! マジ半端ないですねー! 正直まだ実感無いですよ! でも、この事実は未来に繋げられそうでいいなと思います。自分のような一部のストリートでしか滑れないスケーターで、特にビッグトリックや難しいトリックをするわけでもないスケーターでも、自分のスケートスタイルにこだわり続けたら直接サポートされるまで上がれるんだっていうのは他のストリートスケーターにとっても希望になるんじゃないかなと思うとうれしいですね。
V: では、最後に今後の活動予定を教えて下さい。
K: まずは靴のプロモーション活動ですね。その一環として何かで写真の特集を形にしたいですね。映像もそうなんですけど、最近写真で自分のスケートを表現したい気持ちが高まっています。あまり見たことない様な写真を撮りたいです。また、Magentaが今年で5周年を迎え、そちらの動きもいろいろとあるみたいなので各地に足を運ぶかもしれません。あとは最近オープンしたショップ、SHREDを盛り上げていきたいです!
etnies Japanの加入を記念して制作されたアド。
レールで魅せるトランスファーのバックテール(2011年2月)。
オーリーアップからのクイックなFs 5-0(2011年7月)。
落差のあるスポットで魅せるクルックス(2012年8月)。
湾曲したレールで決めるノーズブラントスライド(2014年夏)。
大阪を拠点にTBPR、etnies、MagentaやParadise Wheelsの一員として活動し、クイックマスターの異名を誇る。etniesからはMagentaとのコラボレーションとして、シグネチャーシューズ2型とジャケットをリリースしている。