旅の落とし穴 2

 みなさん、夏休みのツアーの予定は決まりましたでしょうか?
 私は昨年に引き続き、カナダのモントリオールで開催された世界大会であるJackalopeに稜さま(瀬尻 稜)が招待されたため、カメラマンとして同行させていただきました。昨年は3位という素晴らしい結果を残した稜さまですが、私は機材をパクられるというフォトグラファー失格的な最悪な事態に陥ってしまったので、今年は細心の注意を払い、保険金でパワーアップした機材を肌身離さずに抱えながらツアーに行って参りました。
 今年も昨年同様にグレッグ・ルツカやデイブ・バチンスキーなど世界の強豪たちが出場する本大会。稜さまは彼らと同じVIP扱いで、大会最終日のセミファイナルからの出場。そのため、それまでの数日間はプールに入ったり、レンタサイクルで移動しながらストリートで撮影したり、近くのスケートショップやパークに行ったりなど、もはや目的を忘れてしまいそうなほど楽しい時間を過ごしていました。しかし実は夜になると、ホテルの一室では喜怒哀楽をむき出しにしたバトルが繰り広げられていたのです。それはトランプ。そのバトルは隙さえあれば繰り広げられ、その際には必ずデリバリーのハワイアンピザにスチャダラパーのBGMが用意され、毎朝毎晩、そしてしまいには空港や機内でもバトルが繰り広げられるというエスカレートした状態に。トランプはスケートボードと同じように、言葉が通じなくてもルールさえ知っていれば誰とでも楽しい時間が共有できるという世界共通の素晴らしいコミュニュケーションのツールにもなると思います。しかし、一歩間違えるとバトルがエスカレートしすぎて誰かが大負けすることになり、ふてくされてしまう者が出てしまうのも世界共通のようです。是非、次の旅のチェックリストにはトランプを加えることをオススメします。
 こちらのバトルの話はどうでもいいとして、肝心な本ツアーの目的であるスケートボードのバトルの話を。セミファイナルから出場した稜さまは、小雨がぱらつく中いつも通り安定の滑りを披露し、ラン終了のホイッスルが鳴り響いた直後のロスタイムには一番イカついハンドレールでSsキックフリップからのFsボードスライドを見事メイク。観客のハートをがっちり掴んでおりました。そうしてファイナルへと駒を進めたのですが、バトルが始まりかけたときに突然大粒の雨が降ってきて、MCのデイブ・ダンカンから「大会は中止だ。ここままパーティ会場に移動!」というアナウンス。大会はまさかの悪天候による中止という残念な結果に終わってしまいました。というわけで今回の大会は中止になってしまいましたが、今後も稜さまは世界各地で行われる大会に出場する予定なので、まだまだ彼の動向から目が離せません。
 そして、もうひとつの夜の大会では、僕の懐から諭吉がどこか遠くへ飛んでいってしまうという結果に。そんな状況に動揺しながらも、必死でポーカーフェイスを保っていたのはここだけの話です。

–49n(Words & Photos)

 

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