Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
LAURENCE KEEFE

エンゲル係数高すぎスネークスタイルで、世界の秘境をスケボー片手に渡り歩くザ・トラベラー。合言葉は「旅の恥はかき捨て」。
ローレンス流、地球の歩き方。

第19回:渋谷でBBQ

 渋谷は英語で“The Bitter Valley”、直訳すると“渋い谷”。そんな渋谷はこの地球上でもっとも人口密度が高い場所だ。この15km²の区の現住人口は推定200万人以上。ショッピングやナイトライフを思う存分楽しめる街ということで、郊外や海外から実に多くの人が押し寄せてくる。ということで、渋谷では164名の人間に与えられたスペースはわずか1㎡。10名の人間につき1店のコンビニ、15台の自動販売機、3軒のラブホテル、2台のタクシー、12匹のゴキブリ、そして25名のiPhone中毒のゾンビが振り当てられるという計算だ。この人口密度の高さは大きな問題となり、人混みに押し潰されて怪我をしたり命を落としてしまう人もいる。その結果、子どもたちの門限は7pm。ペットを飼うことすらできない。

土曜の午後の典型的なスクランブル交差点の光景。

土曜の午後の典型的なスクランブル交差点の光景。

 そんな渋谷がオレの職場だ。渋谷で働くのは楽しいが、疲れ果ててしまうこともある。一番の問題は夜の帰宅だ。オレの自宅は渋谷から比較的近いにも関わらず、人口密度が高すぎて時に人混みをサーフィンしながら帰らなければならないこともあるくらいだ。そのため、最近では人混みサーフィンに対する警察の取り締まりが厳しくなってきている。帰宅問題の解決策は、朝まで飲める場所を見つけて夜を過ごしてそのまま出勤することだろう。

人混みサーフィンをしながら出勤する典型的な光景。

人混みサーフィンをしながら出勤する典型的な光景。

 ということで、渋谷スケートクルーの年長者の40歳の誕生日を渋谷のストリートBBQという形で祝う大変さを想像してほしい。前述の人口密度の問題、街で火をおこすことが違法であること、そして金玉が縮み上がるほど寒い1月の気候。これらの悪条件を考えると、渋谷ストリートBBQ誕生日会は、何人ものバカどもが考え出したもっともバカげたアイデアだと言えよう。そして、もちろんこれをメイクできるのはバカしかいない。

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 まず、オレたちに必要なのは大量のビール。そして、ここで大いに役立つのがキリンビールが行っているキャンペーンの応募シールだ。キリンの缶ビールにはそれぞれ応募シールがついており、ある一定の数を集めて応募するとビール6缶セットがプレゼントされる。幸運なことに周りの仲間が全員アル中寸前であるため、すぐに数千枚の応募シールを集めることができるだろう。こうして、応募シール集めのプロジェクトが発足。この情報はあっという間に広まり、仲間や見ず知らずの者たちが応募シールを寄付してくれるようになっていった。GoogleマップでFTC Tokyoを検索すると、オーストラリアのビール党として知られるカラム・ポールが「キリンビールの応募シールはFTC Tokyoまで」とコメントしてくれている。カラム、ありがとう!

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 心優しいキリンビールの方々から大量のビールをゲットできたことで酒の心配はもうない。次に必要なのは肉棒だ。ソーセージなくしてBBQなんて成立しない。そんなときに頼りになるのが、FATBROSヘッドクオーターのシュン・ザ・ファイヤー。ヒーター、テーブル、スパイス、寿司、フライパン、肉、チキンを揚げる油と鍋、あらゆる魚のマリネ、焼きそばなどなど、これでもかというくらいの完全装備で登場。KP Tokyoクルーもウイスキー持参で合流し、最終的に誰も歩けなくなるまで酔っぱらえる準備も万端。警察が来たとしても、誕生日会の参加者が多すぎてBBQをしていることすら気づかれないだろう。大成功! ゲトーな渋谷グルメの世界へようこそYO!

ちなみにバースデーボーイはこの御方。

ちなみにバースデーボーイはこの御方。

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