Interview by VHSMAG, Photos by BLABAC PHOTO courtesy of DC, Special Thanks: DC Japan
VHSMAG(以下V): まずはブラジルのスケートシーンについて聞かせてください。
TIAGO LEMOS(以下T): ブラジルには才能あるスケーターが多いけど、シーンはまだ発展途上。シーンを本当の意味でサポートするブランドやスケーターが運営するブランドも少ない。だからキッズにあまりチャンスが回ってこない。ブラジルではまだスケートで生活をするのは本当に難しいけど、多くの才能を輩出しているとは思う。
V: ブラジルでスケートをしながらグローバルな認知を得るのはやはり大変だった? 初めて名前が世界に広まったと感じたのはいつ?
T: たしかにグローバルな認知を得るには大変だった。オレは貧しい家族に生まれたから、夢なんて何も叶わないと思っていた。アメリカでキャリアが始まるなんて思いもしなかった。マジでクレイジーだ。どうやってここまで来たのか正直わからないけど、昔から尊敬してきたスケーターたちがオレの存在を知っていることを知ったときに夢がかなったと感じた。実際に会ったことがないのに、オレの名前を知っているんだ。ジョシュ・ケイリスやマイク・キャロルのような人たちがオレのことを知っているという事実にぶっ飛ばされてしまう。
V: ティアゴにとってスケートキャリアの転機はいつだったと思う?
T: 『We are Blood』がリリースされてから、スポンサーも含めてすべてが好転した。
V: DCに加入したきっかけは?
T: まずはブラジルのチームに加入したんだ。チームマネージャーがコンテストでオレの滑りを見て、シューズをもらうようになった。そしてある日、ツアーに誘われたんだ。人生の転機になると思ったから全力でがんばった。ツアーを終えると、チームマネージャーにDCのオフィスに呼び出されてチームに加入することになった感じだね。
V: DCの魅力は?
T: DCの魅力はもちろんシューズ。最高のシューズでスケートできると同時に、昔も今も影響を受けるスケーターと同じチームで肩を並べられるところが最高だね。
V: 『De La Calle/Da Rua』ではラストパートを飾っていたよね。
T: 『De La Calle/Da Rua』はブラジルチームをグローバルチームに紹介するという意味を持つプロジェクトだった。オレ、カルロス(・イクイ)、セイナン(・コスタ)とすでにグローバルチームの一員のフェリペ(・グスタヴォ)がフィーチャーされている。
DC『De La Calle/Da Rua』より、ティアゴ・レモスのパート。
V: ティアゴのパートが公開されて反響はあった?
T: 『De La Calle/Da Rua』はかなり好評だった。でも追加でもう何トリックかほしかったのが正直なところ。マニュアルトリックがひとつもなかったからね。完璧なパートに仕上げたかったけど、最終的にリスペクトするスケーターたちが褒めてくれたから嬉しかった。SNSでも反響があったし、キッズから「インスパイアされた」というメッセージも届いた。本当に金では買えない経験だよ。
V: パートの中で一番大変な思いをしたトリックは?
T: ラストトリックだね。3日間連続でトライし続けたから。小さいレッジでメイクはしたんだけど、精度がクソみたいだった。だから、高さのあるピクニックテーブルでトライすれば、ボードをフリップさせやすいと思ったんだ。うまくいって良かった。
V: パートの撮影秘話は何かある?
T: ブラジリアのスポットでウェス(・クレマー)が顔面をケガしたことかな。あれはクレイジーな出来事だった。あの日は最高のセッションをしていて、ちょうどオレがトライしていたトリックをメイクした直後のこと。そして、ウェスに「次はオマエの番だ」って言ってウェスがトライしたら顔面を打ち付けてパックリと割れてしまった。最悪の出来事だったから忘れられないね。
V: DCからティアゴのPlazaというモデルがリリース予定だよね?
T: Berricで『De La Calle/Da Rua』を公開してから、DCからカラーウェイのオファーを持ちかけられたんだ。驚いたと同時にマジで嬉しかった。スケートに適したシューズだし、オレの名前がDCのシューズにプリントされるなんて今でも信じられない。さらにやる気になるね。
V: 初めてサンプルを見たときの感想は?
T: 幸せだった。マジでスケートしやすいしね。
V: それと同時にBoulevardのプロランクに昇格したわけだよね?
T: カルロス・イクイと同時にBoulevardのプロに上がったんだよ。プロに昇格することは知らされていたけど、オレの誕生日にサプライズがあった。ある夜、『Quinto』の撮影でJKwonのレッジをスケートしていたんだ。ロドリゴ・ピーターセンがパートのラストトリックをメイクしたと同時に、(ダニー・)モントヤがオレのシグネチャーモデルを持って登場したんだ。何が起きているのかわからなかった。おかげで最高の誕生日になった。
V: そうしてBoulevardのフルレングス『Quinto』が公開された。
T: その通り。みんなオレのヤバいフルパートを期待していたようだけど、結局は短いパートになってしまった。かれこれ2年ほどこの作品の撮影を続けていたんだけど、その間に『Gold Goon』、『We are Blood』、『De La Calle/Da Rua』といったさまざまなビデオプロジェクトがあったんだ。しかも、Boulevardのパートの撮影の終盤に差し掛かった頃に手の手術を受けることになったから、3ヵ月近くスケートができなかった。でも、自分ではいいパートになったと思っている。
Boulevard『Quinto』より、ティアゴ・レモスのパート。
V: では、ずばりBoulevardの魅力とは?
T: Boulevardの魅力は、みんな仲間だということ。ともに助け合うことができる真の家族。つねに笑い合い、楽しい時間を過ごすことができる。最高のクルーだ。
V: DCで予定されているプロジェクトは?
T: オレのシューズのプロモーションとして、10月頃にThrasherで映像とインタビューが掲載される予定。
V: では最後に、2016年の目標は?
T: 2016年の残りはただただスケートして、ハンドレール、ステア、レッジ、マニュアルなど……ずっと思い描いているトリックを撮影して、オレのできるすべてが詰まっているビデオパートを残せれば最高だね。どうなるか楽しみにしていてくれ。
DCやBoulevardに所属し、最近プロに昇格したことで注目を集めるブラジル人スケーター。強靭なポップと巧みなボードコントロールに定評がある。代表作はDC『De La Calle/Da Rua』、Boulevard『Quinto』など。
www.dcshoes.jp/