大手コーヒーショップチェーン店に、ドトールがある。もう何年も利用させてもらっている。現在僕が住んでいる家の近くには、ドトールが2軒もあり、ひとつは最寄り駅に、もうひとつはガソリンスタンドと一体型の店舗で、なんと24時間営業なのだ。立地条件は最高。スケート前に、スケート後に、仕事前に、仕事後に。1日に、3回利用する日もよくある。24時間営業の方には、深夜寝る前に行くこともある。かなりうざい客だ。しかも、僕はその店舗を勝手に「デシの間」と読んでいる。
そんなドトールでのホッとひと息は、僕の1日にとって、句読点のような役割なのだ。だから、しばらく行けない日々が続いてしまうと、かなり辛くなる。
昨年、Skate Atom全国47都道府県ツアーで東北を周っているころ、僕は仙台で腰を強打した。痛くて眠れないほどの激痛がしばらく続いた。さらに、東北の一足早い秋の寒さが、僕の身体に直撃し、まともに動けなくなっていた。とはいえ、ツアーはまだ始まったばかり。どうしよう。あと40県ほども残っているのに…。強烈なプレッシャーまでもが直撃し、心まで不安定になりつつあった。
そんな状態のとき、旅を共にしていた、フィルマーの長岡ひとしが「ねぇ、ヨシ(彼は僕のことをヨシと呼ぶ)。今日は撮影いいから、たまにはドトールに行ってくれば? ヨシはドトール行かないと、すぐソワソワし出すからなぁ~」。
正解。よくご存知で。大ちゃん(南 大道)も「今日は休みましょうよ。うちらがスポット探しときますから、明日にしましょ? さっきドトールありましたよ」。
うん、知ってる。さっきあったね。しっかりと気になってたよ。ありがとう。おめぇら最高だぜ。
青森に着いた日、僕はふたりに甘え、ドトール八戸店でひとり心を落ち着かせた。そして、その日以降、心も身体も驚くほどに回復し、旅は順調に進んで行った。
日本全国どこのドトールも、僕を裏切ることはない。やはり、僕の生活に、ドトールは欠かすことはできないのだ。
ただ、以前あるスケーターからこんなことを言われたことがある。
「デシくんて、そんなしょっちゅうドトール行って、何してるんですか?」
いきなりの質問に戸惑ったが、少々カッコつけ気味に、こう答えておいた。
「自問自答だよ…」。
彼はキョトンとしていた。そして無表情のまま、さらに質問してきた。
「自問自答ってなんスカ? で、それ意味あんスカ? しかもドトールじゃなきゃだめなんスカ?」
「………」。
今度は僕がキョトンとしてしまった。はたして意味などあるのだろうか。そして彼が言うように、ドトールでないとだめなのか? 言葉が出なかった。うるさいぞ、キミ。別にいいじゃないか、人がどこで何しようと。あと、そのスカスカ言うのやめなさい。ちきしょー悔しいぜ。
今後も、誰かにそのようなことを聞かれたら、
「いいかい。すべてのことに、意味があるともいえるし、ないともいえる。この世は幻だからね。だからオレは、好きなところで、好きなことしてるだけだよ」。
っと、ごまかすことにしよう。