Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
HIROKI MURAOKA

現在もっとも乗れている日本人スケーターのひとり。スケートのスキルに加え、ペインターとしても非凡な才能を持つ。

第11回 : お碗

 今回は、とあるスケートスポットについて話をしようと思う。
 僕は今までいろんなスケートスポットに行って数多くのフッテージを撮影してきた。そしてそれが世に出ると、さまざまな反応が返ってくる。一番多いのは、スポットについて突っ込まれることだ。

 「あのビデオで出ていた場所どこ?」や「あそこ超楽しそうじゃん!」とみんなが見たことのない場所に興奮してくれる。その気持ちは、スケーターなので痛いほど分かる。実際に僕も、他のスケーターの映像や写真を見ていいスポットがあると気になってしまい「あれどこ?」と聞いてしまうからだ。
 そんな中でも今までで一番多かった質問は「あのお椀どこなの?」という言葉。

 『Night Prowler』や『created in japan』のパートの中で、僕がやっているお椀型の噴水のことだ。

 パートを見てない人は、ぜひともDVDでこのスポットをチェックしてもらいたい、ここがどうやら僕のパート中では、一番印象に残っているスポットらしい。
 そのスポットはというと、恵比寿ガーデンプレイスの目と鼻の先にある某公園の中。恵比寿という土地柄だけあり、おしゃれな外見の噴水なのだがほとんど機能してない。真ん中に水が出る穴があるため、ウィールとウィールの間に穴がくるように通過しなければならない。それに加えて、乗れるスペースはデッキ1枚分程度。ギャップを越えてお椀に乗り、再度ギャップを越えるという、かなり面倒なスポットだ。
 こいつとの出会いは『Night Prowler』の撮影中だった。渋谷、恵比寿をクルーズしている際に、フィルマーの勝己さんが「いいスポットががある」と紹介してくれたのが最初。見た瞬間に「やりたいっ!!」とワクワクした。ビデオカメラを持つ勝己さんにやると伝え、すぐに撮影に取り掛かった。まずはオーリーをメイクしてから、180をやったのだが、どちらも時間はかからずメイクできたと思う。クイックスポットは得意分野だ。

 その後、少ししてから僕の服のスポンサーであるColor Communicationsのビデオ撮りで、フロントポップをやりに再度訪れた。こちらも無事にメイクして『created in japan』のパートに収録されることに成功した。
 試写会でこのフッテージが大きなプロジェクターに流れ、歓声が起きた時は心底やって良かったと思った。しかもまだこのスポットで、実はやりたいトリックがある。できるか分からないけど…。

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