Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
HIROKI MURAOKA

現在もっとも乗れている日本人スケーターのひとり。スケートのスキルに加え、ペインターとしても非凡な才能を持つ。

第6回 : 硝子のハート

 今回はタメになる、少しいい話をしようと思う。

 突然だが、自分と他人を見比べてしまい自己嫌悪に陥ったり、上には上がいる、などと考え悲観的になる。
 「オレって(私って)イケてないんじゃないか?」
 読者のみんなは、そんな風に考えたことはないだろうか?
 僕の見解だが、どんなポジティブな人間でも1度はそんな思いをするはずだ。
 実際、僕は考えすぎて落ち込むことがよくある。
 悪い方からまた悪い方に考え泥沼状態に…。
 そして、僕の硝子のハートは粉々に砕け散る。そこからは酒に逃げ、次の日の二日酔いで後悔するという流れが出来上がっている。完全にダメ人間だ。

 そんな僕にWadappこと和田さんがいい話を教えてくれた。

 「自分のことが不安になったら自分の周りにいる人のことを考えればいい。そして周りの人が大好きで、尊敬できたら自分は心配しなくていい」。

 これはMagical Mosh Misfitsの宮内社長が言っていたらしい。
 この話を聞き、素直になるほどと思った。

 みんなはどうだろうか? 周囲に好きな人、尊敬している友達、恋人、家族がいるだろうか?
 絶対にいるはずだ。
 もしいなければそれは致命傷だ。あなたが相手に好感を持って接することができなければ愛は返ってくるはずはない。
 いれば問題はないのだ。なぜならば共有時間は相手も同じ、相手も好感を持って接してくれているはず。ともに人生の重要な時間を過ごしてくれているのだ。
 嫌な人とは一瞬たりとも一緒にいたくはない。それが普通の人間の心理だと思う。

 幸い僕の周りには最高の仲間や最高の家族がいる。みんな大好きで尊敬している。僕から言わせてみれば、この人たちは最高にイケているのだ。
 そう考えられるようになってから僕のハートは少しだけ強くなった。
 前に比べてポジティブに物事を考えられるようになったのだ。
 もし、これが単なる自分への言い聞かせだったとしてもそれでいいのだ。
  なぜなら、病気になる一番の原因はネガティブな感情(ストレス)らしいのだ。
 精神が身体に与える影響は大きく、ストレスを抱えることにより免疫力が下がるらしい。
 逆にポジティブな感情は身体にいい影響を及ぼす。
 こんな話を聞いたことがある。癌が発症して、延命治療をあきらめて最後の人生を楽しむため、長期の旅行に出かけた夫婦が旅行を満喫し、帰って来てすぐに病院に行ってみると癌細胞が消えていた。医者は愕然としたという話だ。
 これは科学的に証明出来ないんだとか。
 病は気から、健康でなければ何もできない。スケボーもできず、絵も描けない。
 もし人生を豊かにしたければ愛を与えようと考えることが一番の近道なのかもしれない。

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