Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
HIROKI MURAOKA

現在もっとも乗れている日本人スケーターのひとり。スケートのスキルに加え、ペインターとしても非凡な才能を持つ。

第7回 : 僕が小学生のころの話

 鳥取の片田舎でスケートボードに熱中していた時期。学校が終るとすぐに帰宅し、速攻で着替えて板を持ちスケボーをしに出かける。これが毎日の日課だった。

 しかし鳥取は、冬になると雪が降り積もってしまう…。
 幸い、そんな時にも滑れる場所が僕たちにはあった。

 それがスイカ選果場。

 スイカ選果場には屋根があるため、雪でも滑れる。しかもスイカの出荷が終わる冬には完全閉鎖する。なかにあるのはパレットにベニヤ板を敷いただけのジャンクなバンクだけ。それを夢中になって飛んでいた。そのころの僕には絶好のセクションだったのだ。

 ある日、親に頼みスイカ選果場まで車で送ってもらい、ひとりで滑り始めた。何回か飛んで、ポップショービットをしようとした。その直後、着地と同時に「ゴリッ」という鈍い音がした。どうやら板と足が巻き付き、そのまま着地し足首をひねったようだ。
 来て5分程度、ひとり、激痛、極寒、携帯なんて持ってないし、親には2時間後に迎えに来てと伝えて有る。最悪な状況。とりあえず迎えが来るまで耐え抜いた。歩けないため、親におぶってもらい、すぐさま病院。検査結果は靭帯が切れていて、足の甲の骨が折れていた。

 ガキンチョの僕には痛みより当分スケボーができないことがショックだった。家に着くころには、足はギブスでガチガチに固められていた。しかしながら、元気がありふれていたクソガキの僕は雪の中をギブスで走り回ったり松葉杖でスケボーに無理矢理のったり、無茶ばかりしていた。病院の先生には「ギブスは絶対に濡らさないようにしてくださいね」と言われていたのだが、僕のギブスはびちょびちょだった。

 とある日の夜、足が痛みが強くなり目が覚めた。これは異常だ、ギブスの中で何かが起こっている。とりあえず親を起こしたが相手にされず、朝まで痛みをこらえた。翌朝、病院に着くと直ぐにギブスを外してくれた。中から現れたのは何ともおぞましいカビだらけの僕の左足だった。ギブス装着部分が全体的にふやけ、カビや腐敗で緑や紫色になっていた。病院の先生にはこんなの見たことがないと言われ、看護婦さんには蔑んだ目で見られた。おまけにギブスには兄と自分で書いた意味不明な落書きが書いてあった。
 人間のクズになった気分だった。

 今になって思うが、こんなクソガキの自分を親はよく育ててくれたものだ。僕に子どもができたら絶対に僕の幼少期ようなクソガキにはなって欲しくない。

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