Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
HIROKI MURAOKA

現在もっとも乗れている日本人スケーターのひとり。スケートのスキルに加え、ペインターとしても非凡な才能を持つ。

第3回 : どうかしてるゼ!!

 これはあくまでも僕、村岡洋樹の見解であり、かなり勝手なので深く考えずに読んで欲しい。それでは…。

 僕たちスケートボーダーは街に繰り出しスケートボードを楽しむ。ある程度うまくなるとビデオに撮ったりして記録に残そうとする。それがどんどんエスカレートすると、もう手の施しようがないのだ。撮影以外の時でさえスケートビデオを見てイメージを膨らませてしまう。

 そして普段の生活でも常にスポットを探してしまい、挙句の果てにいつも通らない道を通って目的地に向かい、迷ってしまい、ひとりでぶちギレなど。もうここまで来ると完全に中毒だ。
 そんな中毒者が集まりスケートの話をすると話は止まらなくなってしまう。「誰々のどのビデオパートが…」などと答えの無い会話が延々繰り広げられ、取り止めがなくなってしまう。一般人の目からみると完全にヲタクである。

 そして、一般人からはストリートの撮影風景なんてまったく理解ができないだろう。
 例えば「ものすごいスピードで転けたらどうするの!?」というようなハンドレールに何度も何度も突っ込んでいく人、半ば不法侵入で見つけたスポットに興奮し、明らかに怪しい姿で夜中に撮影しているスケーターもいる。そしてその後にでかい声で「FU●K」と叫び板を思い切り地面に叩き付けるスケーターなど、いろいろなスタイルのスケーターがいるが、普通に考えれば「いかれてる」の一言である。
 実際に自分も15年というスケートボード人生のなかで、数え切れない程の人に冷たい目で見られ変態呼ばわりされてきた。「何でここでやってるの? 他にいい場所があるでしょ?」なんて何度言われたことか。
 ああ、なんと悲しい。

 それだけではない、それ以上に迷惑と考える人も少なくは無いだろう。いや、騒音の事を考えればほとんどの人が迷惑と感じるだろう。そう、我々は 迷惑な変態ヲタクのスケートボード中毒者なのだ、コレはもうどうしようも無い事実。なんと残念な人生(笑)。
 しかしながら、若い僕の目にはそんな人たちが最高にかっこよくクリエイティブに写ったのだ(今もだが)。
 しかも僕は後悔していない。熱中できることがひとつでもあるというのは素晴らしいと考えている。

 そう言い聞かせ、はみ出し物の自分を励ましこの殺伐とした世の中を生きて行こうと思う。

最後に引用
ビル・ゲイツのスピーチ『学校では教えてくれない人生に役立つ11のルール』より

「ヲタクには親切にしよう。彼らの下で働く可能性が高い」。

そうなればいいのだが…。

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