トラックはスケートボードにとってとても重要なパーツだと思います。
理由としては、
- トラックが無ければスケートボードにウィールを装着して乗ることができません。
- トラックがあるからスケートボードの上に乗って体重移動することによってスケートボードをコントロールすることができます。
- トラックが無ければ「グラインド」というスケートボードの代表的なトリックができません。
このような理由からして、自分はトラックはスケートボードにとても重要なパーツだと考えています。
各メーカーからリリースされている現行のトラックはどれも品質が良く、製品不良の話を自分はここ何年も聞いたことがありません。スケートボードは各パーツを激しく消耗するスポーツなので、パーツの破損頻度がとても高く、各パーツはその強度を求められます。一昔前はトラックのベースプレートが割れたり、ハンガーが折れるということはよく聞く話でした。激しいライディングにより各パーツを消耗する今の若いスケーターのトラックをチェックさせてもらっても、ハンガーが削れて薄くなり、さらに中のシャフトも削れてほぼ引退状態でいつ折れてもおかしくないようなモノでも、ギリギリまで使用できていることが確認できます。トラック自体の動作性もトラックの形状とブッシュゴムの進化もあって、どのメーカーの製品もきっちり動くようになっています。自分がスケートボードを始めた’80年代のように「I社以外のトラックは動きが悪い!」なんてことはなくなったと思います。現行のブランド物は国内外ともにとても良質な製品をリリースしていますが、’80年代はまだまだギアも発展途上だったので各ブランドのさまざまなアイデアを盛り込んだユニークなトラックが数多く存在していました。
TRACKER TRUCKS
もちろん現行の製品もリリースしている老舗トラックメーカーです。’80年代後半にプラスティック樹脂系のベースプレートを使用した軽量モデルをリリースし、トニー・ホークを筆頭に世界中のスケーターが愛用しました。ハンガー部分を樹脂系のパーツでくるむように装着し、グラインドの際の抵抗を最小限に抑えるコーパーや、板の腹をリップに掛けた際にトラックがリップに引っかかることを最小限に抑えるラッパーなどのTracker専用パーツもリリースされていました。Tracker Trucksの40周年記念写真集にインターナショナルライダーとして写真が掲載されているディックマンこと早坂昌記プロ(’80~’90年代に活躍したプロスケーター)に話を聞いたところ、「Tracker Trucksはフラフラ板に乗るスタイルのスケーターに合った動きをしてくれるトラック」と言っていたのが印象的でした。実際彼のライディングスタイルは当時を振り返ると彼の説明そのものだったので納得しました。
Z-ROLLER TRUCKS
ハンガー部分をローラー構造にしてGrindingからRollingに発想を転換してしまった、実用新案的トラックでした。Zと言えばジェイ・アダムスやZ-Boysの印象が強烈ですが、今もなおデッキをリリースし続けているヴェニス発のブランドが開発した画期的なトラックのひとつです。そしてFESNの森田氏がこのZ-Rollerをいまだに現役で使用していることは有名です。
自分は初めて本格的なスケートボードのコンプリートを購入した時にはIndependent Trucksを選びましたが、運悪くそのトラックは2ヵ月程でハンガーが折れてしまいました。当時とにかくスケートボードに関する情報を集めていた自分は、自宅にほど近いMax Motionというスケートショップに集う、イケてるスケーターたちがAir Trucksという国産のトラックを使用しているという情報をキャッチしていました。当時「これはチャンス」と思い、迷わずAir Trucksを購入しました。日本のブランドということとアナーキックなスケーターたちが使っているということで、当時Air Trucksを使うことにプライドを持っていたのを覚えています。その後はベースプレートにスカルやナイフが刻印されていた、どう考えてもスケートパンクが使用すべきと思わせるThunder Trucksに飛び付き、今現在もなおThunder Trucksを使用しています。今のThunderのブランドイメージは決してパンクではなく、どちらかというとストリート中心な若い世代のスケーター向けに発信しているように思います。もちろんベースプレートにスカルやナイフが刻印されているといったこともありません。それでも自分はThunder Trucksが大好きです。ただのおじさんのノスタルジーなのですが、自分は’80年代後半に愛読していたThrasher MagでDeluxeの広告をよく見ていました。当時のDeluxeは今のようなサンフランシスコを代表するいくつものスケートブランドを取り扱うディストリビューションといった形態ではなく、広告は帯広告でスケーターが好むようなパンクロック、ハードコアパンクのヴァイナル、カセット、Tシャツ、ポスターなどを主に取り扱う通販専門業者でした。そんな音楽系メインの業者の広告には必ずオリジナルトラックブランドのThunder Trucksの広告が文字のみで掲載されていました。当時は当たり前のように何気なく見ていた広告ですが、今改めて見ると当時のThunder Trucksの立ち位置というか姿勢を垣間見ることができます。自分はこんな偏ったこだわりを持っていたりしますが、みなさんも何かしらそんなこだわりがあったりしませんか?
Air Trucks
今は亡き国産ブランドAir Trucks。ベースプレートに樹脂系素材を使用していて、当時フリースタイル用にハンガーまでも樹脂製のものも存在しました。グレーのハンガーに黒のベースプレートのモデルは自分も使用してました! 資料提供 by NSFN Dude!
G&S Trucks
軽量化のためにベースプレートにプラスティック系素材を採用し、さらにハンガー自体を空洞構造にしてしまった、かなり画期的なトラックです。当時G&Sがこのような画期的なトラックをリリースしたことに驚きを感じました。
1980年代のDeluxe AD
1987年4月号のThrasherに掲載されたDeluxeの広告。スケーターに人気だったクロスオーバー系と言われていたバンド、Attitude Adjustmentのアルバムを推しているところが当時を思い出します。
Z-Trucks
軽量化によるベースプレートの形状が特徴的な後期モデルです。資料提供 by NSFN Dude!
Venture Trucks Factory
’90年代アメリカのTV番組「Nickelodeon」で放映されていたSK8-TVで紹介されたVenture Trucksの量産風景。ブランドによってさまざまだと思うのですが、砂型成型なんですね。SK8-TVは先日残念ながら亡くなったSkatemaster Tateがホストをつとめていた伝説の番組でした。Skatemaster TateやSK8-TVに関してはぜひウェブで検索して欲しいです。