Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
LAURENCE KEEFE

エンゲル係数高すぎスネークスタイルで、世界の秘境をスケボー片手に渡り歩くザ・トラベラー。合言葉は「旅の恥はかき捨て」。
ローレンス流、地球の歩き方。

第13回:金がなければ楽しくない

 高給の職や旅費を出してくれるスポンサーがなければ、どうやって世界を巡るスケートトリップの費用を捻出できるのか。ゴミ箱に住む? 精子を売る? ストリートファイトのトーナメントに出場する? 盗みを働く? ヤクザのもとでバイトをする? 食べるのをやめる? いやいやいや…。答えは簡単。節約するのだ。

– ゴミ箱に住むのはやり過ぎだが、ゴミ溜めならいいだろう。オレの現在の住居は、大人になってから一番ナイスな場所。今までは治安の悪いバルセロナの一角で、窓すらない穴ぐらに何年も住んでいた。ジメジメしたスポンジのようなベッドがある独房。当時の彼女はその部屋を嫌がったが我慢するしかない。おかげで、毎月の家賃は高給レストランで食べる食事ほどの金額で済ますことができた。

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– フリービアやフリーフードのパーティがあれば、必ず参加して遠慮なくお世話になれ。こういったパーティはいつも開催されている。だから周りの動向に注意しろ。オレのモットーは“ただならもらう”だ。

– 男をATMのように扱わない彼女を作れ。いい女は脳みそを持っているため、幸せになるために毎週Louis Vuittonを買ってもらう必要なんてないのだ。高給ブランドを買う金がないなら、女を喜ばす他の方法を考えろ。料理を覚えろ。セックスのスキルを磨け。そして、もしオマエに浅はかな物質主義の彼女がいるなら、中国までパチモンのブランドを買いに行け。

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– 何かを学ぶには学校で先生に教わるのが一番。しかし、これには学費がかかる。インターネットなら、無料であらゆる情報を収集することができる。このご時世、天才になるために必要なのは己のモチベーションのみ。また、たとえ30分でも空き時間があれば本屋に行くがいい。興味がある本を開いてひたすら読むのだ。

– 食をケチるのは絶対にNG。オレも一時、パスタ、トマトソースとツナ缶で食費を削ろうとしたことがある。しかし、次第に体が緑がかり言うことを聞かなくなったため、あっけなく断念した。スケーターはある意味、アスリートだ。肉や野菜が必要なのだ。ステーキを食えるだけ食え。ただし遅い時間のスーパーでセール品を狙え。でも忘れるな、安い食い物が必ずしも体にいいとは限らない。半額のものは、正規のものと比べて半分ほどの栄養素しか含んでいないものなのだ。結局、それではスケートに注ぐエネルギーを満足に摂ることができない。

– 最後に、これが一番大切なことだ。スマートフォンなんてクソ食らえ。いつから四六時中、他人とつねに繋がるために月に$100以上の電話料金を払うことが普通になったのだ? 昔の同級生が朝食に食べた卵の写真。6年前の祝日に一夜限りの情事に興じた男の自画撮り。こんなものを見たいと思うオマエは正気ではない。おかしいと思わないのか。頼むからやめてくれ。オレも同じく被害者だが、みんながいつも携帯しているこの未来の全体主義社会を象徴するような追跡装置は、実は愛する人たちや大好きなもの、そして現実世界からオレたちを遠ざけているのだ。やがて、オレたちは電子音を鳴らし続けるバカげた小さな箱をうつろな目で見つめながら、ヨダレを流してゾンビのように街を徘徊し始める。世界の終わりは思ったよりも早く訪れる。現代社会において、ソーシャルメディアなしで生活するのは困難だが、オレは妥協案を思いついた。SIMフリーのiPhoneをゲットし、プリペイドのSIMカードを適切なサイズに切って本体に入れるのだ。すると、通話はいつでもできるが、WiFiがあるときだけインターネットにアクセスすることができるようになる。これでゾンビにならなくて済む。それに電話料金はたったの月¥1,500。

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 おめでとう。これでキミも立派なチープスケート大学の卒業生だ。年に$5,000を節約する術をキミは身につけた。2ヵ月のスケートトリップ、そして新しいPCやカメラも買うことができるだろう。あのLouis Vuittonだって買うことができるぞ。そんなものが本当に必要だったらの話だけどな。

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