Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
TAKUYA NAKAJIMA

2002年よりFESNの専属フィルマーとして活動後、
現在は都内の医療機関にて理学療法士として勤める
傍ら、某デジタル系会社に勤務するMr.魚眼レンズ。

第4回 : スポットに合わせた撮影方法

 今回は小さなスポットを大きく見せる撮影方法についてお話したいと思います。

 最近のスケートボードの映像を見ていると、街中のありとあらゆるモノを使ってスケートボードのトリックを展開していく映像が多く見受けられます。今までは高さが低いために、目にとまらなかった縁石や小さな段差などでもいいアイデアひとつで新しいトリックに結びつけることが可能です。そのような時代の流れに合わせてフィルマーもしっかりとスキルを向上させていく必要があります。スポットが小さくなったり、複雑な型をしている場合、今までと同じように撮影しているだけでは迫力に欠けてしまったり、そのスポットの特徴を上手く表現することができません。

 まずは下のふたつの映像をご覧下さい(図1)。下のふたつの映像は同じスポットで撮影しています。見た目は普通の大きさの障害物に見えますが、実際は膝下のとても低い障害物です。このように撮影するカメラのアングルで障害物を大きく見せることができます。撮影の方法としては、まず第一にカメラのフレームを埋めるように障害物を映すということです。もともと大きな障害物であれば、必然的にフレームを埋め尽くすことはできますが、小さな障害物では意識して映さないと、障害物以外の空白が多くなってしまいます。普段よりも距離を詰めて撮影しないと、フィッシュアイを使用している場合、余計に小さく映ってしまいます。また、なるべくギリギリまでカメラを障害物に寄せておく必要があるという点です。その理由としては、1トリック(1カット)約7秒で撮影するとして、実際に使われる映像は4~5秒ぐらいになります。特に小さなスポットではギリギリまでタメを作るとカメラを俊敏に動かさないといけないので、注意が必要です。
 もう1点としては、障害物をフレームのどの位置で捉えるのかも考える必要があります。あえてフレームの中央で捉えるという方法もありますが、なるべく左右3分割したどちらかに寄せた方が奥行きのある映像を作れると思います。

 僕がよく迷ったのは縦コーンを飛ぶ映像を撮影する時です。縦コーンは底辺に比べ上の方が狭くなっているので、ライダーにとっては飛びやすいかもしれませんが、カメラマンにとっては厄介です。フレームの全面を埋めるように斜め上から撮影すると、特殊な型ゆえに潰れたような絵になってしまいます。しかし、下からあおると三角形ゆえにフレームの中で空白な部分が多くなってしまいます。対策としては、僕の場合、シングルのトリックでも縦コーンの場合は並走してみたり、始めに縦コーンをフレームに入れず、ライダーが飛び越える瞬間にカメラを引いて縦コーンを映すように撮影していました。このように幾つかのオプションを持っていて、その場で試してみて最良の選択をするのがベストだと思います(図2)。

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