Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
TAKUYA NAKAJIMA

2002年よりFESNの専属フィルマーとして活動後、
現在は都内の医療機関にて理学療法士として勤める
傍ら、某デジタル系会社に勤務するMr.魚眼レンズ。

第1回 : フィッシュアイとロングレンズの選択について

 まずは自己紹介から。僕の名前は中島卓也です。NKZ(ナカジ)と呼ばれていて、FESNプロダクションにおいてフィルマーとして活動していました。主なスケート作品としては『overground broadcasting』、ミュージッククリップだとCalmやTha Blue Herbになります。その活動の中で、沢山のスケーターの撮影をさせてもらいました。フィルマーとしての活動の中から学んだ知識や、フィルマーとしての心得を、これからここでお話させてもらいたいと思います。
 スケートボードの歴史とビデオ撮影の歴史はともに歩んできたと言えます。名作と語りつがれるビデオパートには(名作でなくても)、必ず撮影される側と撮影する側があり、どちらも最高のパフォーマンスを出す必要があります。今回は撮影する際のアングルの選択についてです。フィルミングを行う際には、フィッシュアイかロングレンズのどちらで撮影するのかの選択を強いられます。今回はこのふたつのアングルの利点と欠点についてお話したいと思います。
 フィッシュアイの最大の利点は、ライダーとのコミュニケーションがとり易いという点があげられます。特に初めてセッションをともにするライダーとの距離感を縮めたい場合に有効です。なので僕は、初めて撮影するライダーにはなるべくフィッシュアイを選択するようにしています。次に、なんと言っても迫力のある映像を撮影することができるということ。普段見ることのできないアングルなどから撮影することが可能であり、臨場感溢れる映像を撮ることができます。逆を言うとフィッシュアイを選択しているのに、撮影する位置が遠いと被写体が小さくなってしまいます。そして、最大の欠点としては高額な機材にリスクを追わせてしまうということです。迫力のある映像が撮影できても、カメラを破損させては意味がありません。フィルマーが機材を無くしたらただの人です。フィルマーにとっての機材とは、それほど大切なものです(しっかり手入れもしましょう!)。ちなみに自分は、VX-1000を何台大破させたか分かりません…。偉そうに言っていますが、とても恥ずかしいことです。
 次にロングレンズの利点として上げられるのは、スポットや被写体の情報量を伝えることができます。特にビックトリックなどはステアやギャップの大きさを伝えることができとても有効です。逆に欠点としては、フィッシュアイに比べてセクションやトリックが大きくないと迫力のある映像が撮影できないということです。ただし、ズーミングを巧みに操ることによりトリック後の失速や、デッキから降りてしまうなどのスケッチーな動作をカバーすることができます。
 以上、ざっくりとですがフィッシュアイとロングレンズの利点と欠点についてお話しました。実際は何度もふたつのアングルを見比べて最良の選択をします。自分のアングルがしっくりくる前に、メイクされてしまったなんてこともありすが、その時は頼み込んでもう1度トライしてもらいます。もちろんそこにライダーとの確かな信頼関係を築いておくことが必要ですが。
 今回は大雑把に話しましたが、次回からは細かいテクニックなどについてお話していきたいと思います。では次回までの宿題として、下の図から正しいスケードボードの撮影方法をしているフィルマーをひとりだけ選んで下さい(実地問題ですので、かなり高得点です)。

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