Special columns written by skaters
スケート識者たちが執筆するスペシャルコラム
TAKUYA NAKAJIMA

2002年よりFESNの専属フィルマーとして活動後、
現在は都内の医療機関にて理学療法士として勤める
傍ら、某デジタル系会社に勤務するMr.魚眼レンズ。

第19回:フィルミングの代償

 今回はフィルマーをした代償として失ったものに目を向けてみる。まず一番始めに頭に浮かんでくるのはなんと言っても「時間」。ストリートで滑っていても、ツアーに帯同しても自分の時間を犠牲にしてフィルミングをしなくてはならない。自動的に失われていく時間を分類することに意味があるかはわからないが、改めて考えてみるとかなりの時間を失っているのではないだろうか。「フィルマーなら当たり前だろ」と言われれば言い返す言葉も見つからないのでこれ以上掘下げたくないが、数秒のフッテージに何十時間という時間が費やされるのは確かな事実だろう。 改めて考えるとライダーもフィルマーも同じ時間を失うが、ライダーの数だけ時間が倍増するので、相当な時間を費やしたということになる…。

 次に浮かぶのは「スケーターとしての向上心」。これは認めたくない部分もあるが、間違いなく失ったものなので書いてみたいと思う。良くも悪くもフィルミングするライダーは自分よりもスケートが上手い、というか一流中の一流ばかり。上手すぎて溜息が出る時だってある。もちろん自分もそうなりたいとは思うが、次元が違う話だなとも納得できる。ならば自分はフィルマーに徹しようとする。そうすることで少しづつスケーターとして高みを目指す気持ちが削られてくる。悪く言えば「諦め」で、良く言えば「割り切ってものを考える」というところだろうか。書いてて嫌になるが、これもひとつの事実だ(あくまでも超個人的意見なんだけど、共感してくれるフィルマーもいるのではないかと思っている)。

 あと思い浮かぶのは「健康」の二文字。一緒にスポットをトライして汗をかき、いざフィルミングとなると濡れたシャツを取り替えるタイミングを逃してしまう。すぐに撮影を終えることができればいいが、そう簡単に行かないことが多い。冬場なんかはこれでよく風邪をひく気がする。

 今回のコラムは「フィルマーをすることで失ったものに目を向ける」というネガティブな内容になってしまった。が、このネガティブな内容はもちろんアンチテーゼとして書かせてもらった。今回は省かせてもらったが、フィルマーをして失ったものより得たものの方が多いのは当たり前の話。事実、失ったものを考えるのにはかなりの時間が必要だったが、得たものはいくつでも思い出せる。
 失ったものに目を向けることで、取り戻さなくてないけないことも見えた気がする。よしスケートに出かけよう! Time is Big Money!!

nkz0522

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