あまりに面白くて読了後、夢から覚めたような気持ちになって寂しくなる。まるで遊園地から帰宅する途上の後ろ髪をひかれる感じ。素晴らしいひとときが終わりを迎え悲しい気持ちになる…そんな素晴らしい本に出会ってしまったので、これはぜひ紹介しないと! と勝手な義務感にかられフィーチャーさせていただくのが面影ラッキーホールことO.L.Hのリーダー(sinner-yang)とヴォーカル(aCKy)のふたりによる『けだものだもの』。
その内容はふたりに寄せられた人生相談を中心に、昭和歌謡批評コラムを加えたもの。人生相談と言えば古くは新聞やラジオ、今ではYahoo!知恵袋や発言小町など、時代は変われど人の悩みは無尽蔵なわけで、それはもうトップクラスの人気コンテンツなのであります。しかし、この本で投げかけられる悩みはすべてイル。そんなイルな人様の悩みを肴にふたりは面白おかしくトークを繰り広げるのですが、その内容が超絶クレイジー。ミュージシャンだけに最終的に質問者にふさわしい曲などをレコメンドして締めるのですが「これほど他人事な人生相談はいまだかつてあったのか」というくらい無責任すぎて痛快。「着エロとAVの区別がつきません」という質問者にオススメするのがMiles Davis『Pangaea』とKing Crimson『Red』ってだけでどんなに強烈な本だかわかってもらえますでしょうか? 本のカバーイラストや挿画として彼らをサポートをするのはTerry Johnsonと根本 敬っていうんだからサブカル臭がさらに120%アップ↑ とまあそんな素晴らしい書物なのですが、良い子はもちろん、真っ当な人生を歩みたいという人には完全NG。「これ読んでイルになってしまった」なんてクレームは受け付けませんので完全自己責任でお願いします。その半面、人生に刺激を求めてイル…なんて人にはバイブルになること間違いなし。
とまあここで最後に、オジサン世代には定番の恋愛相談の鉄板回答を若者たちに伝授して終わりにしたいと思います。
恋愛に悩んだときは「ソープ行け! ソープ!!」(北方謙三)
–TM