才能のある人間ほど早死にするとよく言われますが、今回紹介する人もそのひとり。映画が好きな人なら誰でもその名を知っているはずの名役者、フィリップ・シーモア・ホフマン。
体型も恰幅がよく、お世辞にもハンサムとは言えないと同時に極めて醜男というわけでもない。つまり、その外見には目立って印象に残るフィーチャーがないということ。それだけに演技が際立つのかもしれませんが、この人が演じると、どんな役柄でもそれぞれ別人が演じているかのように感じられる。何を演じても同じになってしまう流行りのアイドル役者とは違う位置づけ。アカデミーやゴールデングローブを受賞するほどの役者でありながら、着古したワークウェアに身を包んでいるというのも個人的に魅力に感じます。
今回、なぜこの役者を紹介しようと思ったかというと、ちょうど今、“スタイル”をテーマにしたSLIDERの特集記事に取り組んでおり、スケートだけでなく、どのような活動にも欠かすことのできないはずの、この重要な要素について考えていたから。本物のプロとして職業を追求する、スケーター以外の人について思いを巡らせたところ、この人を思い出したわけであります。
そんなシーモアは、2014年2月にNYCの自宅アパートでシリンジを腕に刺したまま他界しました。ヘロインのオーバードーズ。これまでドラッグやアルコールの依存症に苦しみ、何度か治療を受けていたそうです。このような悲惨な末路は見習えませんが、役者として残したパフォーマンスをシェアさせてください。個人的に、こういう人こそ“スタイル”があるのだと思います。
–MK